2015年3月23日月曜日

駆け出しのころ/日本国土開発取締役執行役員経営企画室長兼企画部長・増成公男氏



 ◇一つの駒にも重要な役割がある

 学生時代は仙台市内のコーヒー専門店でアルバイトをしていました。この店の常連さんに日本国土開発仙台支店(現東北支店)の方がいて、「うちの会社どう」と声を掛けていただいたのが入社試験を受けるきっかけでした。
 入社して最初の配属は縁のある仙台支店で、総務部経理チームに勤務しました。法学部出身の私にとって、経理の仕事を覚えるのは本当に大変でした。何カ月かたち、今度は先輩に連れられて現場の月次(決算)を教えてもらいました。しかし、最初のころは間違ってばかり。伝票を1冊無駄にしたこともあります。
 仕事にだんだん慣れてくると、現場の地元説明会なども手伝うようになりました。しばらくして支店の事務社員が減ったこともあり、東北6県にある大型現場以外のすべての現場の経理を3人ほどで担当することになりました。私もその一人として、青森、秋田、岩手3県の現場を担当しました。各地の現場には車を運転して出向き、月間走行距離が約5000キロに上ったこともありました。
 自分で自らのスケジュールを立て、そして自分で管理する。こうした貴重な経験を積めたのがこのころでした。どんなに忙しくても相手と顔を合わせるのが大切なことも学びました。制約を受けて窮屈に仕事をしていたら、今の私はなかったかもしれません。
 小さな支店でしたから、それこそ何でもやりました。地鎮祭や竣工式の準備なども含まれます。かなりの数の現場があり、外部の式典業者と一緒に移動しながら設営と撤収を繰り返していったこともありました。
 そうした式典ではいろいろなことにも直面しました。予定していないのに突然にテントの外に出て弓で矢を放ち始めたり、ホラ貝を吹き始めたりする神主さんもおられました。神主さんが連絡も取れずに遅刻されて来た時は、さすがにどうしたらいいものかと真っ青になりました。
 会社の若い人たちには、自分の仕事がどのような位置付けにあるのかを考えようとよく言っています。例えばこの伝票を切らないと、支店の月次ができず、それが会社の月次ができないことにもつながり、さらに会社の営業成績を発表できないことになってしまう。一つの駒だとしても、それぞれに重要な役割があるのです。
 会社には自分がステップアップできるためのさまざまな機会や道具、情報があります。家にいてはとてもそろえられないものばかりです。そう考えれば仕事に対する意欲も出てくると思います。
 (ますなり・きみお)1981年東北大法学部法学科卒、日本国土開発入社。広島支店事務部長、管理本部総務部総務・法務グループリーダー、執行役員事業管理部長、同経営企画室副室長兼企画部長などを経て、14年8月から現職。広島県出身、58歳。

東北の支店で経理を担当していた当時。
さまざまな仕事に携わった

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