2015年3月20日金曜日

ゼネコン各社/新卒獲得で知恵の絞り合い/需要拡大で採用競争激化

合同企業説明会での採用担当者の説明にも熱がこもる
 建設需要の拡大に伴いゼネコン各社が一斉に採用枠を広げたことで、本格化している16年春の採用活動で企業間の人材競争が激化している。優秀な人材をより早く確保するため、インターンシップや企業説明会の実施を多くしたり、リクルーターを増員したりなど取り組みはさまざま。これまで採用実績がなかった大学や高等専門学校、学部や学科へのアプローチ、外国人留学生を対象にした説明会やセミナーなど、あの手この手で新卒獲得競争を勝ち抜く姿勢が鮮明になっている。 
 採用活動で重要となるのが大学へのアプローチ。多くの社がインターンシップの実施回数や会社説明会の機会を増やしている。「採用実績がない大学や高等専門学校、学部や学科からも採用するようにした」(竹中工務店)、「留学生対象の学校説明会やオープンセミナーを開催している」(大成建設)という社もある。アプローチの方法として、フジタは学校OBによる訪問を強化。前田建設、熊谷組、三井住友建設、東急建設などがリクルーターを増員した。五洋建設と西松建設は現場の雰囲気に触れてもらうため、現場見学会を開催。安藤ハザマ、飛島建設は「1Dayインターンシップ」と銘打ち、インターンシップの日数を短縮することで多くの学生が参加しやすくした。
 若い世代が使い慣れ、一度に多くの情報を提供できるホームページ(HP)やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用も進む。求人広告媒体を増やしたり、高等専門学校のデザインコンテストに協賛したりすることで、認知度を高める動きも。
 16年春に大学を卒業する学生の採用に向けた企業の会社説明会が、従来より3カ月遅れとなった影響に対し、東洋建設は「採用活動が新入社員を受け入れる準備と重なり、負担増となる」と指摘。清水建設は「会社と学生間の相互理解を深める期間が従来より短くなるため、職務理解を促し、会社の魅力を伝えていく機会を設ける必要がある」と柔軟な対応を見せる。
 最近の学生は地元志向が以前にも増して高くなっている。転勤が当たり前のあるゼネコンを敬遠しがちな面もあるが、公務員や他産業との人材争奪戦に打ち勝つには、各社が自社だけでなく業界全体の魅力をPRしていくことも必要になりそうだ。

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