2015年3月26日木曜日

回転窓/秘仏に願いを…

 江戸時代の2人の仏師、円空と木喰の木彫り像を集めた展示会を見た。切り込み跡が荒々しく、力強さが特徴的な円空。柔らかく、丸みを帯びた像を多く残した木喰。彫り方は全く異なるが、どちらの仏像・神像にも同様の温かさを感じる▼各地を巡りながら作り上げた数々の像は人々から深く信仰された。見る者に荘厳さや畏怖の念を抱かせる像とは異なり、素朴なぬくもりに満ちた像だからこそ、庶民に愛され続けたのだろう▼一方で、人の目に触れないよう厨子などに納め、扉を閉ざしてまつられる秘仏もある。一般社会との隔絶によって像の神秘性が高まり、見えないものへの信仰心をかき立てる。ただ、その像を作った仏師の思いはどこにあるのかとも考えてしまう▼長野・善光寺の阿弥陀三尊像は秘仏として有名だ。将来にわたって全く公開されない「絶対の秘仏」とされるが、数え年で7年に1度行われる御開帳では、代わりの「前立本尊」が姿を見せる▼今年の4~5月がその御開帳の時期に当たる。秘仏への信仰心に加え、北陸新幹線の延伸効果で地元は多くの参拝客が訪れることに願いを込める。


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