東日本大震災からの復興に向けて歩む福島県。県を訪れる観光客数は回復傾向にあるが、福島第1原発事故の影響はいまだ大きい。事故の収束とともに、対象地域で進められている放射性物質を除去する除染作業が急がれる▼本紙1面に「除染-『造らない』現場に挑む」が24日まで計7回掲載された。国が直轄事業で除染を行う除染特別地域。この地域を取材し、どのような体制で除染が実施されているかをリポートした▼対象となるエリアが広く、除染作業には多くの人員を要する。建設工事を経験したことのない作業員も多い。工程管理や安全管理は一般的な建設工事と同じようにはいかず、作業員や職員のモチベーションをどう維持・向上させていくかも大きな課題という▼一生懸命に除染作業を進めても、住民は戻ってきてくれるだろうか。携わる人たちの願いは「早期復興」で一致するが、そんな複雑な胸の内を明かしてくれた人もいる▼現地取材でよく分かったことがある。除染現場はものこそ造らないが、未知の作業に挑むための管理手法など、さまざまなものを造り上げなければならない現場だった。
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