放射能という見えない相手を対象に除染作業が進む |
福島再生の第一歩となる「除染」。2012年1月に放射性物質汚染対処特別措置法が施行され、除染作業が始動した。国と各自治体がそれぞれの対象地域で除染実施計画を策定し、本格的な除染に取り組む。当初は「これまでに経験のない広域除染」といわれた除染事業だが、成果は着実に上がっている。
除染は、環境省が国の直轄事業として進める除染特別地域(11市町村)と、市町村が実施する汚染状況重点調査地域(99市町村)とに分けて行われる。直轄地域では放射線量に応じ「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」―の3区域を設け、それぞれの状況に適した方針で除染を進める。除染実施計画は、復興の具体化や進展に伴い除染の進め方を柔軟に見直す。市町村の状況も踏まえた現実的なスケジュールで作業を推進。田村市や川内村(一部区域)では面的な除染を終え、事後モニタリングを継続しつつ避難指示が解除された。これから線量の高い帰還困難区域にある双葉町や浪江町などでも除染作業が本格化する見通しだ。
市町村による除染は当初104市町村が対象だったが、線量低下などにより5市町村が指定を解除され、現在は福島県内39市町村、県外60市町村の計99市町村となっている。環境省がまとめた除染の進ちょく状況(県内14年11月末、県外14年9月末)によると、子どもの生活環境を含む公共施設などは県内外とも約8割以上の除染が終了。住宅や農地・牧草地、道路、森林(生活圏)では県内外ともに既に7割以上の除染工事が発注されている。
除染の効果として環境省では福島県楢葉町を例に、宅地での線量が除染前後で約46%低減したと報告。事後モニタリングの結果、面的な除染効果が維持されていることも確認されているという。
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