2017年8月31日木曜日

【19年度着工めざす】出島架橋(宮城県女川町)、計画実現へ技術検討進む

 宮城県女川町の離島、出島(いずしま)と本土を結ぶ「出島架橋」の設計方針や架設計画などを検討する「町道女川出島線出島架橋技術検討委員会」(委員長=中沢正利東北学院大学工学部教授)の第2回会合が28日、県庁で開かれた。  補剛桁のアップリフト対策や支承の数、ケーブルの固定方式など細部構造について意見交換。18年度初めに開く第4回会合から施工会社を交えて詳細設計や施工計画などを固め、19年度の本体着工を目指す。  会合では、県側が主要構造のうち細部構造の検討結果を報告した。地震時に負の反力が生じる補剛桁のアップリフト対策では、橋桁内の下部にコンクリートを充てんする「カウンターウエート方式」が有利と説明。橋桁内に作業用のスペースを設けるため、幅1メートルの通路を残して両サイドを充てんする案(桁高2・3メートル)と、全幅に充てんしその上部を作業空間とする案(2・8メートル)を比較した結果、コストはやや増えるものの、作業性に優れる桁高2・8メートル案を選定した。  補剛桁とアーチリブの交...

【供用開始は18年度から】富士訓練センター新本館・教室棟、近く鉄骨建て方完了

 富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)の建て替えプロジェクトで、1月に竣工した共用棟・宿泊棟に続き、4月に着工した新本館・教室棟の建設工事が順調に進んでいる。  8月3日に始まった鉄骨建て方作業は、月内完了に向けて最終段階に入っている。年度内に工事を終え、18年度に供用を開始する予定だ。  共用棟・宿泊棟に続き、設計・施工を木内建設(静岡市)が担当する新本館・宿泊棟の建物は、S造2階建て延べ約2000平方メートルの規模。教室18室のほか、講師室、事務室、教務室、応接室、歴史資料保管室などで構成する。  現在の鉄骨建て方が月内で終わると、工事の進ちょく率は「33%に達する」(河村毅所長)見込み。9月中に屋根ふきを行い、その後、外装の施工や内装工事に入る。竣工後、機能を移した後の既存施設の解体や外構工事を半年ほどかけて行う。  同センターは今月、不登校、発達障害、肢体不自由といった困難を抱えた子どもたちが参加した夏の富士山自然体験合宿に協力。建設現場の仮囲いを使用した壁画づくり...

【東京・六本木に〝魅せる〟駐輪場】技研製作所、区営住宅に機械式駐輪システム納入

 技研製作所は、東京都港区六本木にある区営住宅の建て替えに合わせて整備された自転車駐車場に、機械式駐輪システム「エコサイクル」2基を納入した。  直径8・1メートル、高さ11・9メートルの円筒形スペースを新築した施設内に2カ所構築し、計408台を収容する。入出庫は自動で行うことができ、ICタグとICカードで管理する。六本木地区最大の駐輪場で、自転車の放置や盗難被害の減少に期待が寄せられている。  駐輪場は「港区営住宅シティハイツ六本木等整備工事」の一環として、公共棟に組み込む形で整備された。外装の一部をガラス張りとし、収納される自転車や機械装置の動きを美しく見せるデザインも特徴で、夜間にはライトアップし「みせる駐輪場」として街並みを彩る。  所在地は港区六本木6の5の19。東京メトロの日比谷線六本木駅の1b出口から近い。周辺は、大使館や高級ホテル、大型商業施設などが立ち並び、駐輪場用地の確保が難しい。港区は、エコサイクルの省スペース・高収容、最短8秒で自転車を取り出せる機能性の...

【長周期地震動の揺れ半減】NTTファシリ、AI活用のアクティブ制振技術開発

NTTファシリティーズは超高層建物の長周期地震動対策として、振動制御にAI(人工知能)を活用する新たなアクティブ制振技術を開発した。  強化学習と深層学習(ディープラーニング)を組み合わせた「深層強化学習」の機能によって最適な振動制御を学習したAIが、地震の揺れに応じて建物内部のダンパーを電動アクチュエーターで自律的に制御する。従来のパッシブ制振に比べ建物の揺れが50%以上低減できるという。第1号の採用案件は関西エリアのビルを予定している。  新たなアクティブ制振技術は、NTTデータ(東京都江東区、岩本敏男社長)とNTTデータ数理システム(東京都新宿区、箱守聰社長)が協力し、コンピューター内の建物地震応答シミュレーターを使ってAIに制振効果の高い制御を自動的に学習させる。制御を学習したAIは建物に設置されるセンサーの計測データを使い、地震時にダンパーの減衰力を自律的に制御し、建物に生じる揺れを抑える。パッシブ制振と同じ制振性能を半数程度のダンパーで実現し、工事量の削減と工事期...

【回転窓】平和を願う舞踏を

今年はインド独立70周年に当たり、日印友好交流年として日本でもさまざまなイベントが実施されている▼先日インド大使館で舞踏公演を鑑賞する機会を得た。同国北部ジャンムー・カシミール地方のスワンザル財団舞踊団が来日し、現地語によるオペラや音楽、ダンスを披露。スピード感のある動きとしなやかな所作は見る者をうっとりとさせる魅力があった▼オペラは擬人化された鳥や花たちが主役。大雪で苦しめようとする冬の季節に打ち勝って、暖かな春を迎えるというストーリーで、平和への敬意や平穏への願いが込められているそうだ▼カシミール地方は豊かな自然に包まれた美しい場所だ。旅行で訪れた際に見た荘厳なヒマラヤの姿は今も脳裏に焼き付いている。ただ美しい風景とは裏腹に領有権を争う隣国パキスタンとの紛争地帯という側面もある。第2次世界大戦後の国境の線引きがいまだに混乱の火種としてくすぶっている▼同地方の現状は緊張が高まる東アジア情勢とも重なる。武力を背景にけん制し合う状況は打開しなければならない。互いに平和の舞を鑑賞でき...

2017年8月30日水曜日

【回転窓】地域を支える建設業の使命

16年4月に発生した熊本地震。3日後に現地入りして見た被災地の光景は、今も脳裏に焼き付いている▼被害を受けたインフラのうち、南阿蘇村の中心部と立野地区を結ぶ道路「長陽大橋ルート」の応急復旧が完了し、先頃開通式が開かれた。「開通が村の復興にとって希望の懸け橋になることは間違いない」と吉良清一村長。恒久的な復旧にはまだ時間は必要だが、住民の方々にとっては大きな一歩であろう▼今夏は記録的な長雨が続き、日本各地で水害が相次いだ。7月には九州北部で大規模な豪雨災害が発生。日本だけでなく中国や米国など世界各国でも水害や土砂災害が起きている。拡大傾向にある豪雨災害に備えた危機管理のあり方をどうすればいいのか▼阿蘇長陽大橋ルートの復旧では行政機関や建設関連企業が密接に連携し、道路の新設や橋の架け替え、斜面対策などに尽力。24時間態勢で事業が進められた。新学期からは地元の小中学生が大きな迂回(うかい)をせずに学校に通えるようになるそうだ▼地域に希望の明かりを灯す仕事。建設業が担っている社会的な役割...

【公共事業関係費16・3%増】国交省、18年度予算概算要求発表

国土交通省は29日、18年度予算の概算要求を発表した。  一般会計の国費総額は前年度比15・5%増の6兆6944億円。うち公共事業関係費は16・3%増の6兆0238億円と、15年度分から4年連続で6兆円を超える要求になった。ストック効果を重視した公共投資で経済成長を図りながら、経済再生と財政健全化の双方を実現するため、必要な公共事業予算の安定的・持続的な確保を目指す。  「新しい日本のための優先課題推進枠」には1兆4228億円を計上。通常要求と合わせて同推進枠を最大限に活用した要求内容となっている。公共事業関係費のうち一般公共事業費は5兆9703億円(16・4%増)、災害復旧等は534億円(増減なし)。非公共事業として、その他施設費に683億円(10・9%増)、行政経費に6024億円(9・1%増)を計上した。 東日本大震災復興特別会計は4859億円(8・6%減)。財政投融資は44・4%減の2兆0202億円となったが、前年度にリニア中央新幹線の前倒し開業に向けて鉄道建設・...

【東京駅丸の内地下に新商業施設】グランスタ丸の内、4期エリアきょうオープン

 JR東日本グループの鉄道会館がJR東京駅丸の内地下エリアで進めている商業施設整備事業(計55店舗、店舗面積約3600平方メートル)で、第4期エリア(約1250平方メートル)の9店舗が30日にオープンする。  同事業では改札内で「グランスタ」の新エリア、改札外で新施設「グランスタ丸の内」を4期に分けて整備を進めてきた。  改札内を中心とした第1期エリア(約1200平方メートル、23店舗)は昨年7月に、改札内外に21店舗が点在する第2期エリア(約1050平方メートル)は4月に、改札外の第3期エリア(約100平方メートル、2店舗)は6月に順次開業した。  第4期エリアの9店舗はすべて改札外にあり、業態はレストランやベーカリーカフェ、デリ、グロサリーなどの飲食関係となる。  28日には第4期施設が報道機関に公開された。鉄道会館の井上進社長は「今回の開業で段階的に開発を進めてきた商業空間がグランドオープンとなる。新たなにぎわい空間として、周辺施設とも連携しながら相乗効果を高めていきた...

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/建設業界、鉄筋価格引き上げを拒否

9月の建設シーズンを控えて、建設・資材業界間に戦雲が漂っている。建設業界は、製鋼会社が先週相次いで断行した鉄筋価格引き上げの動きを拒否することで意見を集約した。  仁川市南東地域でのミキサートラックのストライキと西海岸での海砂減少によるレミコン需給の逼迫問題と価格上昇圧迫問題に対しても、今月末までに速やかに対応することとした。  建設業界の資材担当者の集まりである大韓建設資材職議協会は、18日に招集した緊急総会でこうした方針を決定。16日に韓国鉄鋼を筆頭とした6大製鋼会社の鉄筋価格引き上げが、寡占的地位を悪用した一方的措置であるために建設業界全体で受け入れないことにした。  同協会のクォン・ジョンソン鉄筋担当副会長は、「購買者を無視した6大製鋼会社の一方的単価引き上げは受容できないというのが大半の意見だ」と話した。 (CNEWS、8月21...

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/埼玉大学との廃棄物リサイクル共同研究始動

 建設事業の増加とともに、建設廃棄物の適正管理とリサイクルが大きな課題となっている。日本の政府開発援助を活用し、リサイクル資材の技術開発などを目指す国際共同研究がこのほど始まった。  科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が共同で実施している地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の枠組みで行われ、実施主体は埼玉大学と国立土木工学大学(NUCE)。25日にハノイ市内で議事録の署名式が行われた。  研究期間は5年間を予定し、リサイクル資材を使った環境技術の開発やリサイクルを推進するためのビジネスモデル構築などに取り組む。JICAはこれまでにも環境問題の解決に協力しており、建設廃棄物のリサイクル率を50%にすることを目標に掲げている。 (セイ・ズン、8月26日)...

【海外ボランティア事業の運営方針は】JICA・山本美香青年海外協力隊事務局長に聞く

 ◇制度発足から半世紀、多様なニーズに柔軟対応◇  国際協力機構(JICA)が展開する海外ボランティア事業の推進役を担う青年海外協力隊事務局。15代目の事務局長に今春就任した山本美香氏は、途上国支援にとどまらず、国内産業界の人材育成に役立つボランティア事業の意義を強調する。国内外の社会・経済環境が大きく変化する中、「従来の制度や事業の進め方などを柔軟に見直し、より多くの参加者が活躍できる体制整備に力を入れたい」と意気込みを語る。  --初の女性事務局長として、ボランティア事業をどう運営する。  「女性ならではの視点というものもあるかもしれないが、今や協力隊員の半分以上を女性が占める。赴任先でも女性が多方面で活躍している。女性だからと意識せず、自然体で業務に当たる。開発途上国の社会・経済発展への貢献、相互理解の深化、帰国後の社会還元といった当初からの事業目的は変わらない。ボランティア事業への『持続する情熱』を大切にしながら、国内外のニーズに柔軟に対応していきたい」  「世界...

2017年8月29日火曜日

【ものづくりへのこだわり表現】熊谷組、創業120周年記念ロゴ制定

熊谷組が18年1月に創業120周年を迎えるに当たり、記念ロゴマークを制定した。「お客様の願いと使う人の想い」を大切にしてきた同社のものづくりのこだわりを、手書き風の文字と人間味あふれるバランスでレイアウトした。  誠実さを表す「クマガイ・ブルー」を基調にした色彩で、シンボリックで愛らしいクマの輪郭を「120」の中に配置している。  ブランドを継承すると同時に、未来を担う次世代に向け、親しみやすく、発想豊かなアイデアを柔軟に形にしていく「新たな熊谷組」の姿を表現したという。  名刺や封筒に印刷するほか、ホームページなど対外的な場面で活用していく。「当社120年の歩みを支え、応援していただいたすべての皆さまへの感謝のメッセージを記念ロゴマークに込めて届けていきたい」(同社)としている。  1898年、石工職人だった熊谷三太郎がその腕を見込まれ、福井県の「宿布発電所」の水路建設工事を請け負ったのが同社の始まり。建設事業を通じ社会に貢献してきた。バブル崩壊後は厳しい経営状況が続い...

【回転窓】アルピニスト建築家・吉阪隆正

コルビュジエに師事した3人の日本人建築家のうちの一人、吉阪隆正(1917~80年)には、建築家ともう一つ、ヒマラヤの8000メートル峰を目指す登山家の顔があった。少年時代をスイスで過ごし、父の手引きで本場のアルプスの登山に熱中した経験が「アルピニスト吉阪」を育んだといわれる▼東京の世田谷文学館で開催中の企画展「山へ!」(9月18日まで)は、「時代を超えて同じ〈山〉というフィールドで繰り広げられてきた多様な〈知〉と〈表現〉」に迫るというユニークな展覧会。「文学」の深田久弥、「日常」の田部井淳子らと並び、「建築」で吉阪の業績が取り上げられている▼〈山の建築が立派になることは第二のチロルを生み出すもとでもある〉との信念の下、吉阪の研究室が計画した山小屋、ホテル、鉄道駅などの山岳建築は20件超。うち12件が実際に建設された▼険しい地形や強風・豪雪などの気象条件に適応した設計が特色で、展示された模型や図面、スケッチからもそれがうかがえる。過酷な自然環境にさらされながらも10件は現存している...

【応急復旧が完了】南阿蘇村道・長陽大橋ルートが開通

 熊本地震で大きな被害を受け九州地方整備局が権限代行で進めていた南阿蘇村道栃の木~立野線の「長陽大橋ルート」(熊本県南阿蘇村河陽~立野、延長約3キロ)の応急復旧工事が完了し27日、現地で開通式が開かれた。  関係者や地元の小中学生らがテープカットやくす玉開披を行い、新学期に間に合わせた夏休み最終日の開通を祝うとともに熊本地震からの早期の復旧・復興を祈念した。  式辞で石川雄一国土交通省道路局長は「開通により南阿蘇中心部と立野地区との間で生じていた大きな迂回(うかい)が解消され、通勤通学や緊急時の医療機関への搬送など地域間の移動時間が大幅に短縮される」と述べ、引き続き恒久的な復旧などに全力を挙げると表明。蒲島郁夫熊本県知事は「開通は物流や観光などの回復にも大きな弾みになる」と期待を寄せた。  増田博行九州整備局長と本来の道路管理者である南阿蘇村の吉良清一村長が引き継ぎを行い、吉良村長は「開通が村の復興にとって希望の懸け橋となることは間違いない」と謝辞を述べた。テープカットとくす玉...

【運営企画の旅行会社も募集】北海道開発局、公共施設見学ツアーに工事現場追加

北海道開発局がダムや橋梁など公共施設の見学コースを旅行商品(ツアー)に取り入れた「公共施設見学ツアー」の対象に、工事中の現場3カ所を新たに加えた。  いずれも道路工事で、開通前のトンネルなど通常は立ち入ることができない現場を見学することができる。申し込み方法などは同局ウェブサイトに掲載している。  開発局では、民間の旅行会社のツアー企画に公共施設の見学会を盛り込む取り組みを13年度から実施している。見学会への参加者に公共施設の役割や社会資本整備の必要性などを広くアピールするのが狙い。  公共施設見学ツアーに追加された建設現場は▽国道228号函館・江差自動車道茂辺地木古内道路工事(渡島トンネル)▽38号旭川十勝道路富良野道路工事▽38号・44号釧路外環状道路工事-の3カ所。開通前のトンネルの内部を見学したり、掘削工事の進め方を学んだりしながら、迫力のある土木工事の現場を間近で体感できるのが魅力だ。見学対象の追加に伴い、ツアーを企画する旅行会社の募集も開始し...

【18年度中に事業者選定へ】有明アリーナ、コンセッションの基本的考え方公表

有明アリーナの完成イメージ(2015年10月時点、提供:東京都) 東京都が2020年東京五輪のバレーボール会場などとして使用する「有明アリーナ」(江東区)の管理・運営に関する基本的考え方を公表した。コンセッション(公共施設等運営権)方式の適用を前提に12月にも条例・実施方針を制定・公表し、18年5月に民間事業者の募集要項を明らかにする。五輪後の運営期間は25年程度とし、ネーミングライツ(施設命名権)を導入する方針も示した。  募集要項の公表後、18年9月に提案を受け付け、同11月に候補者(単体またはグループ)を選定する。19年1月の仮契約締結、同3月の運営権設定議決・契約締結を想定している。  契約締結から有明アリーナ竣工(19年12月)までを準備期間に充て、選定事業者には、その期間中からスポーツ大会や興業イベントの誘致・予約受け付けといった開業準備の実施を認める。五輪開催中には施設の維持管理業務を任せる。コンセッション方式に基づく実際の運営期間(約25年)は、五輪後に都が...

【15社が現場公開、延べ384人参加】17年けんせつ小町活躍現場見学会が終了

 日本建設業連合会(日建連)が女子小中学生と保護者を対象に行った17年の「けんせつ小町活躍現場見学会」が27日、全日程を終えた。  会員企業が工事を行っている全国15カ所の現場で開き、子ども217人、保護者167人の計384人が参加。「けんせつ小町」の愛称で呼んでいる会員企業の女性職員らが参加者を引率したり、建設の仕事に親しんでもらえる企画を提供したりした。  今年で3回目、過去最多となる会員企業15社の現場で実施した。例年を上回る早さで参加者募集を終えた現場が多く、日建連の担当者は「夏のイベントとして定着してきた。建設の仕事や現場の人気の高さがうかがえた」と手応えを話す。初参加が多い中、3年連続参加の親子もいた。  現場では作業を見学した上で、鉄筋の結束やタイル張りなどを行ってもらった。竣工後に見えなくなる部分に名前や絵を書いてもらうなど、施主と協力して企画を立案した現場が少なくなかった。  バーチャルリアリティー機器を使った安全教育の体験イベントを行った現場もあり、働きや...

【凜】コマツ建機マーケティング本部・山関 珠実さん

 ◇常に新しいことに挑戦したい◇  大学時代、外国語学部だったこともあり、カナダへ留学した。現地で一緒になった他国の留学生から、海外では日本の製品に対する信頼性やブランドイメージが依然として高いと聞かされた。  「日本のモノづくりのレベルの高さを改めて知り、メーカーで働きたいと思うようになった。中でもインフラ整備など幅広く社会に貢献できる建設機械メーカーに魅力を感じ、入社を決めた」と振り返る。  現在、入社から11年目。最初の6年間は、小型エンジンなどを製造する小山工場(栃木県小山市)で生産管理に携わっていた。その後、貿易や販売企画などの部署を経て、16年4月に設置された建機マーケティング本部グローバルコミュニケーション部に異動した。  現在の部署では、国内外の市場情報を調査し、経営陣やマーケティング担当者向けに情報を発信。社内コミュニケーションを促進し、業務を円滑化するための仕組みづくりにも携わっている。  「今の仕事で最も難しいのは、課題や問題点を自分で見つけ出し、それ...

【サークル】富士古河E&C ゆいまーるマラソンクラブ

 ◇結び合いと助け合いでフルマラソン完走◇  フルマラソンを完走することを目的に1998年に発足した「ゆいまーるマラソンクラブ」。名称に使用している「ゆいまーる」は沖縄の方言で「結び合い」「助け合い」などの意味を持つ。2017年8月時点での部員数は約40人。技術部門を中心に管理部門、営業部門や関連会社の社員などで構成している。  代表を務めるのは、福田一矢さん(電設・建築事業本部電設事業部第三技術部長)。「自ら目標を設定し、無理せず楽しみ、ランニング後の『飲みニケーション』も大いに楽しむことを活動のモットーにしている」と笑顔で話す。  毎月第3土曜日に皇居ランニングをするほか、茨城県のかすみがうらマラソンと、沖縄県のNAHAマラソンへ出場するのが主な活動。ほかにも各地で開催される大会へ参加したり、同社のサイクリング部と合同で合宿を開いたりと積極的に活動を展開する。  福田さんは、「フルマラソンの楽しさを皆さんに味わってほしいと声掛けしている。マラソンと聞くと『きつい! 辛い!...

【駆け出しのころ】不動テトラ執行役員地盤事業本部副本部長兼技術部長・大林淳氏

 ◇いずれ役に立つ時が来る◇  大学の研究室では交通工学を勉強しました。ゼネコンを就職先に選んだのは、「全国だけでなく世界のいろいろな所に行ける」と考えたからです。当時の不動建設(現不動テトラ)は海外事業も積極的に展開していました。  最初に配属されたのは地盤改良事業を扱う特殊工法事業本部の研究室です。新人で地盤について深い知識があるわけでもなく、研究室で飛び交う専門用語を聞いた時はびっくりしました。新人の頃は「これはまずい」と相当に焦っていたと思います。建築の仕事をしていた父が、私が家に帰ってきても土質工学の教科書を開いていると知り、「会社人生は長いんだから、焦らず少しずつやっていけばいい」と言ってくれたのを覚えています。  東京本社の勤務でしたが、大変に忙しい部署であり、入社1年目から支店や現場の設計支援でよく出張していました。出張と言っても泊まるところは会社の寮です。夜に仕事を終えると、テレビもなく布団だけある部屋に帰って眠り、翌朝にまた仕事に行く。これが1カ月近くに及ぶ...

2017年8月28日月曜日

【回転窓】ヒマワリの次はダイコン

 7月後半から8月中旬にかけて毎年、鮮やかな黄色い花一色に埋め尽くされる山梨・明野のヒマワリ畑。その数約60万本といわれる。26年目となった今年の「北杜市明野サンフラワーフェス」は、ぐずついた天候の影響で人出が例年の8割ほどにとどまったという▼「きょうもお客さん少ないかな」。霧雨の中、会場に設営された朝採れ野菜の直売所に立ち寄ると、主人が心配そうに空を見上げていた▼雨雲が途切れて薄日が差すと、滴を載せた黄色い花がきらきらと輝いているように見え、青空の下とはまた違った映え方をする。「たまにはこういうヒマワリもいいでしょ」という主人に、雨中の畑を歩く元気を頂いた▼「次はダイコンよ」と現地の農業関係者。いくつかの畑は、しおれたヒマワリごと耕し、名産の「浅尾大根」の栽培を始めた。毎年、文化の日の「北杜市浅尾ダイコンまつり」で振る舞う▼8月も終わりに近づいて天気図にようやく太平洋高気圧が目立つ。東日本では8月の前半や盆休みは夏らしからぬ天気に閑散とした行楽地が少なくなかった。それもまた自然。淡々と受け入れ、次のイベントを待と...

2017年8月25日金曜日

【公設民営で収支黒字化めざす】豊橋新アリーナ構想、実現へ報告書取りまとめ

豊橋新アリーナの完成イメージ  愛知県豊橋市が豊橋公園内を建設候補地に検討している「豊橋新アリーナ構想」で、コンセプトや整備・運営手法、経済波及効果などを明らかにする調査報告書がまとまった。中心市街地に立地する文化・スポーツの新たな拠点に位置付けるとともに、美術館や野球場、吉田城、既存商業施設などと連携し回遊ネットワークの形成を実現する。  アリーナはプロバスケットボール(Bリーグ)・三遠ネオフェニックスの本拠地として利用するほか、コンベンションやコンサートなどで幅広く活用。興行価値の高いイベントを開催することで利用料収入を拡大し、運営キャッシュフローの黒字化を目指す。  調査報告書では、新アリーナの規模を延べ1万3000㎡と想定。Bリーグトップカテゴリーの座席数基準(5000席以上)を満たす条件として1階に可動席1312席、2階に固定席2160席、3階には固定席1496席とVIP席104席を設ける案を設定した。  ネオフェニックスのホームゲームでは5000人程度を収...

【周辺エリア巻き込む開発実現を】今治スタジアム実現へ報告書取りまとめ

 トップチームのJリーグ昇格にあわせて、1万5000人規模の複合型スマートスタジアムを建設する-。サッカー日本代表元監督の岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治(愛媛県今治市)が実現を目指すプロジェクトの方向性や課題を示した報告書がまとまった。  人を呼び込む機能と快適な観戦スタイルを提供する機能を組み合わせた「複合型スマートスタジアム」の新設と併せて、周辺エリアに宿泊施設やサービス付き高齢者住宅などを整備。「健康・スポーツ・教育」をキーワードに、スタジアムを中心としたエリア全体でにぎわいや収益を生み出す仕組みの実現を目指すという。  検討に当たっては今治市やFC今治、民間企業、金融機関などで構成する協議会が事業モデル案や整備運営手法案などを議論した。  報告書ではサッカー専用スタジアムを単体で整備した場合、複合機能を持たせた施設でも運営を黒字化するのは困難と指摘。スタジアムが提供可能な基本機能と周辺エリアで提供する拡張機能を組み合わせて、地域の活性化や課題可決につなげる方向...

【より長く使うために】豊スタ長寿命化計画策定業務、日建設計JVに

愛知県豊田市は、「豊田スタジアム長寿命化計画作成支援業務」の公募型プロポーザルを行い、日建設計・日建設計コンストラクション・マネジメントJVを委託先に決めた。  施設の現状や運営上の問題点などを調査した上で、健全度・緊急度を判定し、長寿命化計画を作成する。履行期限は18年3月22日。...

【器械体操の新たな拠点に】新潟県上越市、新アリーナ整備を計画

新潟県上越市は、大潟区に建設する体操競技専用施設「(仮称)上越市体操アリーナ」の用地取得費と造成工事費を28日にも公表予定の9月補正予算案に計上する。  施設の基本・実施設計はハート一級建築士事務所が担当しており、履行期限は18年3月20日。市は18年度早々にも建築工事を発注して、同6月に本契約を結びたいとしている。完成は19年12月を予定している。  建設地は大潟体操アリーナ(大潟区潟町)から東に約1キロの場所にある国際石油開発帝石所有の土地約1万1700平方メートル(大潟区九戸浜居ノ町361の3他)。取得価格は同社と詳細を協議して決定する。  新施設は2階建て延べ約3800平方メートルを想定。器械体操の男女合計10種目の同時開催が可能な施設とする観客席は250席設ける。148台収容可能な駐車場も整備する。土地取得費を含めた事業費は最大26億...

【何事も体験が大切】兵庫建協のサマーセミナーに学生30人参加

 大学生や専門学校生、高校生らが実際の工事現場を体験する兵庫県建設業協会(川嶋実会長)の「建設サマーセミナー」が、兵庫県姫路市で開かれている。  建設業の将来を担う若者にものづくりの大切さを理解してもらおうと毎年開催、県西部地区では20回目となる。厳しい暑さのなか、参加した学生は真剣なまなざしで作業に取り組んでいる。  実習場所は、マリモ(広島市西区)が北条口で建設を進めている「ポレスター姫路ザ・レジデンス新築工事」(RC造15階建て延べ8366平方メートル、工期18年7月末)の現場。施工を担当する前川建設が学生を受け入れた。  実習には岡山理科大学、神戸芸術工科大学、修成建設専門学校、日本工科大学校、県立龍野北高校、県立東播工業高校、相生学院高校から女子学生3人を含む30人が参加している。  21日午前に開講式を行い、4班に分かれて実習を開始。日曜日を除く28日までの7日間行われる。学生らは鉄筋、型枠、造作、左官、仮設、電気、設備の7項目を受講する。  ひょうご建設産業若...

【回転窓】インフラ健康診断書に期待

インフラの保全・更新の必要性を国民にどう分かりやすく伝えるか-。そんな発想から生まれたのが、米国で始まったインフラの健全性を評価する「社会インフラ健康診断書」。今は英国や日本にも広がっている▼第三者の立場で診断書を作成するのは、いずれも各国の土木学会。米国土木学会(ASCE)が行っている診断は、通信簿形式を採用し、5段階で評価する仕組み。国民にも好評だそうだ▼ASCEはインフラを16部門に分けて状態、予算、将来需要、維持管理、安全・安心などの8項目を評価。現状だけでなく、資金調達方法などの実行策も示す。その信頼性の高さは、インフラ投資の必要性を説くオバマ前大統領が演説で引用したほどという▼日本の診断書づくりは昨年始まったばかり。部門はまだ道路、河川、下水道の三つ、項目は状態、維持管理の二つにとどまり、16部門の診断書が出そろうのは21年度という。評価項目や表現方法の充実も必要で、土木学会は信頼性を高めるためASCEと意見交換を始めた▼国のインフラ政策への影響は未知数だが、千里の道...

2017年8月24日木曜日

【年額1億円以上、期間は5年】吹田スタジアム、ネーミングライツの募集手続き開始

大阪府吹田市は、Jリーグ・ガンバ大阪が本拠地として使用する「市立吹田サッカースタジアム」のネーミングライツパートナー募集を開始した。  年額1億円以上(税込み)、使用期間5年などが条件。漢字、ひらがな、ローマ字などは問わないが、必ず「吹田」の文字を入れる。法人名や商品名、ブランド名などの使用が可能。利用者の混乱を避けるため、原則として使用期間内にネーミングは変更できない。愛称の使用開始は2018年1月1日を予定している。  募集期間は8月21日~9月28日。8月29日に現地説明会を開く。最低募集価格以上のネーミングライツ料(年額)を提示した応募者を対象に、市が設置する選考会議が提案内容などを審査。優先交渉権者と次点者を決める。審査内容は応募者の経営基盤、名称案の親しみやすさ、ネーミングライツ料の3項目。評価項目に一つでも0点があれば選考対象から外れる。応募者が1者の場合も選考会議で審査する。  愛称の看板はスタジアム外側の西・北・東の3面、スタジアム内側のメインスタンド上部...

【どうなってるの!?、五輪施設整備】最終回の6回目は札幌ドームや埼玉スタジアムなど5会場

 「どうなってるの!?、五輪施設整備」シリーズ、最終回の6回目は札幌ドームや埼玉スタジアム2002など5会場の現状や今後の見通しなどを紹介する。 札幌ドーム 天然芝ピッチにした札幌ドーム(ⓒ tokyo2020) 【所在地】  北海道札幌市豊平区羊ケ丘1  【開催競技】 サッカー 札幌ドームの全景(ⓒ tokyo2020) 【施設動向】 サッカーと野球2つのプロチームの本拠地となっているドーム型スタジアム。施設は札幌市が所有し、札幌市と民間が出資する第三セクターが運営管理を行っている。約4万人が入場可能で、2019年ラグビーW杯でも使用される。札幌市が札幌ドーム保全計画を策定していて、ホヴァリングサッカーステージの天然芝の更新、サッカー用照明設備の更新などが予定されている。新たな照明をLEDタイプにして明るさ向上と使用電力の低減を図り、ラグビーW杯や東京五輪に備える。 宮城スタジアム 宮城スタジアムの全景(ⓒ tokyo2020) 【所在地】  宮城県宮城郡利府町菅谷字舘40の1  【開催競技】 サッカー 宮城スタジアムのトラックとフィールド(ⓒ...