2017年8月23日水曜日

【こちら人事部】三井住友建設/折れない心の育成に注力


 ◇求めるのは失敗を恐れないチャレンジ精神◇

 日本を代表する企業グループの建設会社として明治に誕生した三井建設と住友建設が合併し、2003年に発足。業界トップクラスのプレストレスト・コンクリート(PC)橋梁、超高層マンションの設計、施工実績と技術力を生かして国内とともに、海外でも積極的に事業展開している。

 事業を支える人材の確保はここ数年、計画通りに進んでおり、毎年90人前後を安定的に採用できている。

 採用を担当する管理本部人事部の岡里明彦次長は「三井グループと住友グループの双方に所属する唯一のゼネコンというブランド力が大きい」と話す。実際、三井、住友それぞれの歴史や事業精神、三井住友グループの安定感に興味を持って応募してくる学生が多いという。

 人材の採用で重視するのは、ものづくりへの興味や情熱、人の暮らしを支える仕事への熱意、そして失敗を恐れずに何事にも挑戦できるチャレンジ精神。「最近の若者は、一度失敗すると心が折れてなかなか立ち直れず、そのまま退職につながることもある」(岡里次長)ことから、面接の際には、今までのチャレンジ経験について話を聞き、「失敗経験を持っている学生には興味を持って注目している」(同)。

 教育を担当する駒ケ嶺何千子人事部課長は「インターネットの普及で、最近の学生は何をするにも失敗しないようにあらかじめ調べるというやり方が身に付いている。だから実際に失敗した経験がなく、失敗した後の対応が分からず、心が折れてしまう」と指摘する。

 そうした現状を踏まえ、同社は本年度から新入社員教育を拡充。入社後1週間の全体研修に、失敗しても前を向き、一度の挫折にくじけない心を育てることを目的に「レジリエンス」の考え方を取り入れ、講義や実習を通じて逆境に立たされた時や失敗した時の対応や心構えを伝えている。

 さらに土木部門の新入社員研修には実技合宿を導入。合宿では研究職を除く全新入社員が滋賀県東近江市にある同社の能登川PC工場に集合し、自分たちで施工計画の立案から、安全・品質・工程・出来形管理、型枠支保工・足場・型枠の組み立て、コンクリート打設までの作業を行い、約6週間で一つの構造物を造り上げる。

 「座学ではなく実際に体験し、自ら考えて失敗することで、施工管理のノウハウと、失敗を次につなげる思考を養ってほしい」(駒ケ嶺課長)との思いで本年度から導入した。

 2年目以降の教育にも力を入れている。7年目までは毎年、職種別の研修を行い、その後もリーダー研修やシニアマネジャー研修など階層別研修を実施するほか、総合職だけではなく一般職を対象にした女性社員研修や女性職員を受け入れるための男性社員向けの研修などダイバーシティー(人材の多様性)推進に向けた研修メニューもそろえている。

 「社員一人一人の個性、特徴を見て、それぞれに合った対応ができる会社。意欲を持っている社員は、どこにも負けない人材に育てる教育環境をそろえている」(岡里次長)と、自慢の教育制度で個々の力を企業の力につなげている。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】男性75人(うち技術系67人)、女性14人(11人)(2017年4月入社)

 【3年以内離職率】9・0%(14年度新卒)

 【平均勤続年数】男性22・7年、女性16・0年(17年3月末時点)

 【平均年齢】46・6歳(17年3月末時点)

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