宮城県女川町の離島、出島(いずしま)と本土を結ぶ「出島架橋」の設計方針や架設計画などを検討する「町道女川出島線出島架橋技術検討委員会」(委員長=中沢正利東北学院大学工学部教授)の第2回会合が28日、県庁で開かれた。
補剛桁のアップリフト対策や支承の数、ケーブルの固定方式など細部構造について意見交換。18年度初めに開く第4回会合から施工会社を交えて詳細設計や施工計画などを固め、19年度の本体着工を目指す。
会合では、県側が主要構造のうち細部構造の検討結果を報告した。地震時に負の反力が生じる補剛桁のアップリフト対策では、橋桁内の下部にコンクリートを充てんする「カウンターウエート方式」が有利と説明。橋桁内に作業用のスペースを設けるため、幅1メートルの通路を残して両サイドを充てんする案(桁高2・3メートル)と、全幅に充てんしその上部を作業空間とする案(2・8メートル)を比較した結果、コストはやや増えるものの、作業性に優れる桁高2・8メートル案を選定した。
補剛桁とアーチリブの交差部は、一体性を高めるため、補剛桁の下にボックス構造の鋼材を設置し、橋桁を支える。ケーブルについてはアーチリブ側、補剛桁側ともに施工性や維持管理性に優れる定着方式を採用。補剛桁側はピン構造で固定する案を示した。支承の構造は橋台、橋脚ともに分散型とし、支承数はアップリフト対策が不要で点検スペースも確保できる2点支承を採用する。部材の連結方法は現場溶接継ぎ手を基本とする。
ケーブルの防食は、海上に架設することから内部防錆材と亜鉛めっき、ポリエチレン被膜を組み合わせた3重防食を基本に検討する方針だ。
基本設計段階の本年度は下部工の位置や基礎構造のほか、細部構造の方針を決める。本体工事については今秋にも総合評価方式(高度II型)による一般競争入札の手続きを開始し、18年春ごろに施工者を決める予定。18年度の会合から施工者が加わり、FEM解析や風洞実験、座屈解析などを基に、付属物を含めた上部工の詳細設計や架設計画を決める。
出島架橋の橋梁形式は鋼中路式アーチ橋。橋長352メートル。車道部(幅5・5メートル)を含む全幅員は6・5メートル。本土と出島の陸地にそれぞれ2基ずつ下部工を設置する。橋梁本体の基本設計と下部工の詳細設計は大日本コンサルタントが担当。
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