2017年8月17日木曜日

【どうなってるの!?、五輪施設整備】4回目は馬事公苑や幕張メッセなど7会場

 「どうなってるの!?、五輪施設整備」シリーズの4回目はレスリングやフェンシングといった競技が行われる幕張メッセ(千葉市美浜区)などの7会場を紹介する。

馬事公苑

2期工事が完了した馬事公苑再整備の完成イメージ
【所在地】  東京都世田谷区上用賀2の1の1

 【開催競技】 馬術(馬場馬術、総合馬術、障害馬術)
馬事公苑の正面入り口(ⓒ tokyo2020)
【施設動向】 1964年の東京大会でも馬術競技が行われた施設。馬関連の施設として屋外のメーンアリーナ(760人収容)、グラスアリーナ(1690人収容)、屋内のインドアアリーナ、複数棟の厩舎がある。運営は日本中央競馬会(JRA)。1期と2期に分け再整備を進める計画で、1期工事の設計・施工者は、2015年12月に大成建設を代表者とする連合体(構成員=山下設計)に決めた。

 東京五輪時にメーン会場となる屋外競技場の「メーンアリーナ」、大会事務局が入る「メーンオフィス」(3階建て)、屋内競技場の「インドアアリーナ」(同)、馬の診療所や装蹄所が入る「管理センター」(同)、それぞれ40馬房を備える8棟の厩舎、2棟の検疫用厩舎など大部分の施設群を整備する。2019年10月末の工事完了を目指す。

 2期工事は、東京五輪後のJRA独自事業となる。メーンアリーナに常設の屋根付き観覧席を設置するほか、2棟の厩舎や馬の育成施設なども増設し、2022年11月に全体工程を完了させる予定だ。

武蔵野の森総合スポーツプラザ

3月に竣工した武蔵野の森総合スポーツプラザ(ⓒ 東京都)
写真右側がメインアリーナで、道路をはさんで東京スタジアムと近接する
【所在地】  東京都調布市飛田給11の41

 【開催競技】 バドミントン、近代五種(フェンシング)

 【施設動向】 東京スタジアムに隣接して新しく整備された総合スポーツ施設。メインアリーナはバレーボールやバスケットボールのコートが4面設置可能。固定席は約6000席で、仮設椅子などを設置すれば1万人以上を収容できる。サブアリーナはバレーやバスケのコートが2面とれる広さで、固定席は374席。屋内プールは50m×20mの8コースで、207席の見学席が設けてある。3月末で竣工したが、東京五輪に向けバリアフリー化工事を行い、開業は11月25日を予定している。8月9日には施設の運営管理を担う指定管理者の候補として東京スタジアム(東京都調布市、田崎輝夫社長)ら5社グループを選定している。

東京スタジアム

【所在地】  東京都調布市西町376の3

 【開催競技】 サッカー、近代五種(水泳、馬術、ランニング、射撃)、ラグビー

 【施設動向】 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)でも使用される既存スタジアム。規模はS・RC一部SRC造地下1階地上5階建て延べ8万6142m2。観客席数は約5万席。改修に向けた基本設計を日本設計が担当した。

 2017年度に実施設計、2018年度に改修工事の契約手続きを行い、2018年度の着工、2019年度第1四半期の完工を目指す。ラグビーW杯の開幕までに、昇降機の増設、車いす対応トイレの増設、競技用照明のLED化、特別観覧席の更新、既存観客席の一部更新、受変電設備の一部更新などを行う予定だ。五輪開催に向けては近代5種競技のうち水泳種目を行う準備として、仮設プールの設置も検討している。

 ラグビーW杯開催の関連準備としては、ピッチの耐久性や強度を高めるため、天然芝と人工芝を組み合わせる「ハイブリッド芝」の導入も検討している。東京都は3月、「東京スタジアムのフィールド芝導入実験業務」をオフィスショウ(東京都渋谷区、池田省治社長)に委託。スタジアムに隣接する投てき競技練習場で打ち込み型と基材敷設型のハイブリッド芝を試験導入(各100平方メートル)し、全面採用に向けた検証を実施している。

さいたまスーパーアリーナ

【所在地】  埼玉県さいたま市中央区新都心8

 【開催競技】 バスケットボール

 【施設動向】 さいたまスーパーアリーナ本館(S一部SRC・RC造地下1階地上7階建て延べ13万2310m2)のうち、経年劣化が進行している部分を修復する。外壁棟改修工事の第1工区では、本館の中・高層部の外壁、鉄部塗装、シーリングなどの改修を実施。第2工区では低層部で同じ内容の工事を行った。第1工区は大成建設、第2工区は寄居建設が担当した。

 一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計は、INA新建築研究所・エーシーエ設計・手島建築設計事務所JVが他の10会場と合わせて進めている。

陸上自衛隊朝霞訓練場

射撃競技会場の整備予定地(ⓒ tokyo2020)
【所在地】  陸上自衛隊朝霞訓練場

 【開催競技】 射撃

 【施設動向】 陸上自衛隊朝霞駐屯地に隣接する訓練場。1964年の東京大会でも射撃競技が行われた。射撃の競技場・練習場として使用されていて、東京五輪開催時にはオリンピック基準に適合した仮設施設が整備される。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の整備を予定している。

 北関東防衛局が施設整備を進めていて、2016年には「朝霞(28)射場新設建築工事」を発注し、村本建設が落札。今年7月7日には、「朝霞(29)射場新設建築追加工事」の一般競争入札を公告した。射場を新設する建築工事で、規模はRC一部S造平屋約2100m2。土木追加工事なども含む。開札日は10月4日。工期は2019年8月30日までとなっている。

霞ケ関カンツリー倶楽部

霞ヶ関カンツリー倶楽部のコース(ⓒ tokyo2020)
【所在地】  埼玉県川越市笠幡3398

 【開催競技】 ゴルフ
霞ヶ関カンツリー倶楽部のコース(ⓒ tokyo2020)
【施設動向】 緑豊かな武蔵野丘陵に広がるゴルフ場。一流設計者が設計したコースを有していて、80年以上の歴史がある。1957年に日本初のゴルフ国際大会が開催された。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計は、INA新建築研究所・エーシーエ設計・手島建築設計事務所JVが他の10会場と合わせて進めている。

幕張メッセ

【所在地】  千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1番地

 【開催競技】 テコンドー、レスリング(Aホール)、フェンシング(Bホール)

 【施設動向】 1989年開業の複合コンベンション施設。25年以上が経過し施設・設備の老朽化が進んでいるため、千葉県では15年間(2016~2030年度)をかけ設備更新や内装改修を実施。東京五輪の競技が支障なく運営できるようにするとともに、展示場としての競争力向上も図る方針だ。

 まずは、特別高圧受変電設備、高圧発電設備、エレベーターとエスカレーターの更新(一部増設含む)、トイレと中央エントランスのリニューアルに着手する。基本・実施設計が槇総合計画事務所に委託されていて、2018年度の着工、2019年度の完成を目指す。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計はINA新建築研究所・エーシーエ設計・手島建築設計事務所JVが進めている。


どうなってるのシリーズの回目はこちらから。

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