インフラの保全・更新の必要性を国民にどう分かりやすく伝えるか-。そんな発想から生まれたのが、米国で始まったインフラの健全性を評価する「社会インフラ健康診断書」。今は英国や日本にも広がっている▼第三者の立場で診断書を作成するのは、いずれも各国の土木学会。米国土木学会(ASCE)が行っている診断は、通信簿形式を採用し、5段階で評価する仕組み。国民にも好評だそうだ▼ASCEはインフラを16部門に分けて状態、予算、将来需要、維持管理、安全・安心などの8項目を評価。現状だけでなく、資金調達方法などの実行策も示す。その信頼性の高さは、インフラ投資の必要性を説くオバマ前大統領が演説で引用したほどという▼日本の診断書づくりは昨年始まったばかり。部門はまだ道路、河川、下水道の三つ、項目は状態、維持管理の二つにとどまり、16部門の診断書が出そろうのは21年度という。評価項目や表現方法の充実も必要で、土木学会は信頼性を高めるためASCEと意見交換を始めた▼国のインフラ政策への影響は未知数だが、千里の道も一歩から。土木学会の挑戦を見守りたい。
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