豊橋新アリーナの完成イメージ |
アリーナはプロバスケットボール(Bリーグ)・三遠ネオフェニックスの本拠地として利用するほか、コンベンションやコンサートなどで幅広く活用。興行価値の高いイベントを開催することで利用料収入を拡大し、運営キャッシュフローの黒字化を目指す。
調査報告書では、新アリーナの規模を延べ1万3000㎡と想定。Bリーグトップカテゴリーの座席数基準(5000席以上)を満たす条件として1階に可動席1312席、2階に固定席2160席、3階には固定席1496席とVIP席104席を設ける案を設定した。
ネオフェニックスのホームゲームでは5000人程度を収容する。豊橋市の地域性を考慮し、コンサート利用は1000人規模を想定。可動式仮設ステージや吊り下げ暗幕、パーティションを使った自由度の高い仕様にする案を提示した。
事業スキームは、まず民間からの寄付金を行政に集め公的資金と合わせて、入札によって設計者と施工者を決めて施設を建設する。民間が設立する特定目的会社(SPC)に指定管理料0円でアリーナの運営と維持管理を任せ、SPCが利益の一部を納付金として市に納める。SPCへの出資はイベント運営会社や体育協会、プロモーター、クラブなどを想定し、アリーナの稼働率を上げることで収益力を高めて事業の安定化を図る。
投資回収方式は運営権売却型、賃貸型、指定管理納付金環流型の3タイプを比較検討。収益状況に応じて指定管理者が行政への支払額を柔軟に変動できる指定管理納付金環流型が、民間参入を促す上で最も望ましいとした。
公設民営方式を採用した場合、基本計画の立案に12カ月、設計に13カ月、工事には17カ月が必要と試算した。
建設費は82億円程度とし、行政負担と法人寄付で各30億円、個人寄付で2億円、公的助成で10億円を目標に調達。施設運営者からの納付金10億円(年間0・5億円×20年間)を合わせて収支をバランスさせる案を示した。
Bリーグやコンサート、コンベンションなどで34万人、市民利用で4万人の年間来場者を見込む。38万人のうち14万人が市外から来場者と見積もる。新アリーナ整備による経済波及効果は建設段階の3年間で85億円、共用後の7年間で122億円と試算する。
新アリーナを地域のプロフィットセンターとして機能させる運営面のポイントには▽収益確保が可能な利用料単価の設定▽興行利用日数の最大化▽主要施設以外の収入確保▽人件費の最小化▽必要最低限のインフラ整備-を列挙。公共施設の整備・運営における教訓を踏まえ、施設・設備を過大な仕様にしない設計にすることで、人件費や維持管理費が抑制できるとした。
調査は経済産業省の「魅力あるスタジアム・アリーナを核としたまちづくりに関する計画策定等事業」の採択案件として実施。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが報告書を策定した。
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