2017年8月2日水曜日

【回転窓】2017年の山

 深田久弥が『日本百名山』で〈三多摩が東京都に編入されて以来、この大首都はその一隅に二千米の高峰を持つ名誉を獲得した〉と書いたのは雲取山▼標高2017メートル。頂上が埼玉・山梨両県との境になっている東京都の最高峰である。〈煤煙(ばいえん)とコンクリートの壁とネオンサインのみがいたずらにふえて行く東京都に、原生林に覆われた雲取山があることは誇っていい〉▼今の東京には「煤煙」という言葉は似合わないが、都市化の進展度合いは、深田が百名山を書いた半世紀以上前の比ではないから、この山の貴重さはもっと増しているといってもよいだろう▼今年の雲取山は、西暦年と高さの数字が同じとあって、記念の登山をする人が多いと聞いた。読者の中にも行かれた方がおられるかもしれない。山頂の近くにある山小屋・雲取山荘のホームページによると、付近にはミヤマオダマキ、キソチドリ、トリアシショウマなど夏の花が咲き、東京の下界に比べると気温は10度ほど低いという▼寝苦しい熱帯夜などとは無縁の別天地である。来週末11日は「山の日」。もちろん登るのであれば軽装は禁物。準備は抜かりなく。


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