海沿いを通る西湘バイパスの歴史は災害との闘いでもあった (中日本高速道路会社提供) |
神奈川県の大磯町と同小田原市を結ぶ「西湘バイパス」が27日で開通50周年を迎える。関東地方整備局と中日本高速道路会社は、節目を機に開通からの整備効果をまとめた。湘南地域の東西交通軸として50年間で通行した車は累積で約6・7億台。経済波及効果は約3・2兆円にもなるなど、神奈川県西部の観光や産業振興に貢献してきた。また繰り返される高波被害を解消するための波浪対策工事も進んでいる。
西湘バイパスは大磯東IC(大磯町)から二宮町を経て箱根口IC(小田原市)までの約20・8キロを結ぶ。国道1号の海側を平行し、ほとんどが相模湾沿いを通る。大磯町から箱根町までの所要時間は国道1号を利用した場合に比べて約70%短縮でき、神奈川県西部の東西交通に大きく寄与してきた。
沿線や周辺には多くの観光地がある。西側には箱根や熱海、伊東などの温泉地。東部には大磯ロングビーチや海水浴場などが立地している。2003年から19年までの15年間で沿線3市町の観光客数は約200万人増加した。
西湘バイパスは産業道路としても大きな役割を果たしている。神奈川県の水産業は開通後の50年間で大きく発展。特にかまぼこの生産量は全国シェア日本一(約42%)を達成した。沿道には漁業をテーマにした観光施設「漁港の駅TOTOCO小田原」(小田原市)ができるなど漁業の活性化にも一役買っている。
一方で相模湾の海沿いを通る道路は繰り返し高波で被害を受けてきた。07年の台風9号では擁壁や路面が陥没。19年の台風19号でも橋脚の洗掘や西湘PA下り線(小田原市)の建物損壊などの被害を受けた。関東整備局は国直轄工事として海側の護岸強化に注力。中日本高速会社も、被害を受けた西湘PA下り線の地盤かさ上げや人工知能(AI)を使った越波リモート監視システムなど、新たな災害対策に取り組んでいる。
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