2022年1月4日火曜日

【2022年展望】建設投資、16カ月予算で一体推進

 

 政府が2022年度予算案に計上した公共事業関係費は、前年度比0・0%増の6兆0575億円。「16カ月予算」として一体的に編成した21年度補正予算と合算すると、総額8兆0594億円に達する。単年度主義の弊害是正や建設現場の生産性向上に向け、国庫債務負担行為として新たに2兆1352億円を設定。施工時期の平準化や施工の効率化につなげる。 

 国土交通省分は一般会計の総額が前年度比0・8%減の5兆8508億円。うち公共事業関係費は災害復旧を含め0・0%増の5兆2480億円になった。21年度補正予算と合わせると、総額6兆8849億円を計上した。カーボンニュートラル実現に向けた施策や国土交通分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。

 岸田政権が21年11月に決定した新たな経済対策では、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を柱の一つに位置付けた。22年度から2年目がスタートする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(21~25年度)を着実に実施するため、予算を重点配分した。

 21年度補正予算では5か年加速化対策の2年目分として、国費1兆5210億円を計上。事業費ベースでは2兆3555億円の規模になる。うち公共事業関係費は国費1兆2539億円、事業費ベースで1兆9291億円に上る。5か年加速化対策以外も含めた国土強靱化関係予算の総額は国費1兆8495億円(事業費2兆7432億円)。うち公共事業関係は国費1兆3548億円(事業費2兆0565億円)を占める。

 22年度予算案に計上した政府全体の国土強靱化関係予算(国費)は、前年度比3・5%増の4兆5577億円。うち公共事業関係費は3・0%増の国費3兆8736億円となった。

 21年度補正、22年度予算案のいずれも国土強靱化関係予算を計上した府省庁で計上額が最も多かったのは国交省だった。国交省の計上額は国費ベースで21年度補正が1兆1562億円(うち5か年加速化対策1兆0672億円)、22年度予算案は3兆3963億円に達した。府省庁や官民連携による「流域治水」の取り組みや、高速道路網の強靱化などを強力に推進。総点検の結果を踏まえ、危険な盛り土への対策も強化する。

 予算執行の工夫として21年度補正で、国庫債務負担行為の新たな枠組み「事業加速円滑化国債」を設けた。従来の補正予算で難しかった複数年にまたがる事業を可能にした。

 建設経済研究所と経済調査会は昨年11月、22年度の建設投資見通しを発表した。投資総額は21年度と同水準(0・8%増)の63兆0400億円と予測した。政府建設投資は21年度比0・8%増の24兆6400億円。5か年加速化対策を踏まえ、一般会計の公共事業関係費を前年並みと見込んだ。地方単独事業費は総務省がまとめた22年度の「地方財政の課題」を踏まえ前年度並みとして推計。建築補修(改装・改修)投資は2・1%増の1兆4900億円とした。

 民間は住宅投資が1・9%減の14兆1000億円と予測。政府の住宅所得支援策が終了するため、前年度から微減すると分析した。住宅の着工戸数も同様の理由で1・1%減の84・5万戸とした。持ち家は2・2%減の27・6万戸、貸家は1・2%減の31・8万戸。分譲住宅は政府の支援策の終了で都市部のマンションが減少する一方、周辺の一戸建てが増加すると見込み、0・4%増の24・5万戸とした。

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