2022年4月26日火曜日

東北整備局/直轄河川の震災復旧・復興全事業完了、旧北上川河口部の堤防完成

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の旧北上川河口部の堤防整備が完了した。地域の安全・安心を担う防災機能の向上とともに、水辺空間の利活用でにぎわいと憩いの場を創出。旧北上川河口部の工事が完成したことで、鳴瀬川と北上川の内陸部堤防整備を含め震災後に東北地方整備局が取り組んできた直轄河川工事は全事業を終えた。
 「旧北上川河口部復旧復興事業」は、両岸合わせて15キロ(左岸9キロ、右岸6キロ)を対象に実施した。堤防高は7・2~4・5メートル。海岸堤防と整合を図るとともに、津波や高潮の遡上(そじょう)を考慮し堤防高を決定した。川湊で栄えてきた歴史を踏まえ、右岸中央地区に堤防と一体で「かわまち交流拠点」を整備。地域の活性化につなげていく。着工は2013年1月、22年3月に工事が完了した。
 総事業費は1100億円。無堤防地区の築堤では地域の合意形成に向け、12年1~11月に町内会を対象に説明会を140回以上開催した。1800人余りから堤防高や利活用で意見を聞き整備計画に反映した。
 東北整備局と市の主催で23日に石巻市のマルホンまきあーとテラス(市複合文化施設)で開いた完成式には、冨樫博之復興副大臣、佐藤信秋、足立敏之両参院議員をはじめ国や県市、地元関係者ら100人が出席した。国土交通省の高村裕平官房審議官は「堤防の完成が復興の実感につながり、水辺が多くの皆さんに利用され親しまれる空間になることを強く期待する」とあいさつ。齋藤正美石巻市長は「地域の活性化に向けこれからが正念場だ。市民が安心して暮らせるよう引き続き努力していく」と語った。
 事業経過を報告した石田和也北上川下流河川工事事務所長は「地域の皆さん、学識者、測量・調査設計、工事関係者が一緒に悩み完成させた。堤防が地域の安全とにぎわいの礎になることを願う」と期待した。
 地域を代表し石巻市の街づくり事業を担う街づくりまんぼう代表の苅谷智大氏は「市民自らの手で誇りある場所として育て未来に引き継いでいく」と誓った。震災をきっかけに大学、大学院で災害を研究し、現在は建設コンサルタントで河川計画に携わる鈴木皓達氏は「この堤防は復興した証として世界に発信できる誇りだ」と述べた。
 堤防の完成を記念しかわまち交流拠点エリアでは、カヌーの乗船体験や子どもたちの遊び場、ものづくり体験ができる雑貨・ワークショップも出店。航空自衛隊松島基地所属のブルーインパルスによる展示飛行があり、多くの家族連れでにぎわった。



source https://www.decn.co.jp/?p=142151

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