熊本地震で全倒壊した国指定重要文化財「阿蘇神社楼門」(熊本県阿蘇市)の保存修理工事が清水建設の施工で順調に進んでいる。2階屋根部の骨組み(小屋組み)までほぼ仕上がり、出来高は7割を超えた。9月の再上棟、2023年12月の完成を見込む。
阿蘇神社は江戸時代末期に造営され全国に約500の分社がある。16年4月16日に発生した熊本地震では、日本三大楼門の一つと言われる楼門をはじめ、国指定重要文化財6棟が甚大な被害を受けた。
清水建設は文化財建造物保存技術協会の設計・監理の下、1期工事(16年10月~19年3月)で楼門の解体保管・調査と5棟の部分修理を行った。全倒壊した楼門から約1万1000点の部材を回収。極力再利用することを前提に分類し、部材の補修と代替部材の製作を進めた。再利用率は72%に達している。
楼門を復元する2期工事は19年4月にスタート。施工ヤードを覆う素屋根を架設し再築に取りかかった。20年7月に基礎部、21年4月に1階の柱と梁、同年11月に1階小屋組みを順次仕上げ、3月末までに約8000点の部材を再築した。
保存修理工事は既存部材の骨組みを復元しつつ、耐震鉄骨を骨組みの中に納める難工事となる。耐震鉄骨と骨組みの干渉部では、既存部材を必要最小限の移動にとどめ、新たな組み合わせで解消することが原則。荷重から解放され変形した保管部材は、加力して元の組み合わせを実現することを基本に対応している。
地震で全倒壊した国指定重要文化財の保存修理工事は極めて珍しく、阿蘇神社の楼門を含めて数例しかないという。
source https://www.decn.co.jp/?p=141876
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