2022年4月19日火曜日

国交省有識者会議/インフラメンテ提言議論、地域インフラ「群」で再生へ

 2012年12月に中央自動車道で発生した笹子トンネル天井板落下事故を教訓としたインフラ老朽化対策の取り組みを次のステージに進めるため、国土交通省の有識者会議でインフラメンテナンスの今後の在り方を巡る議論が始まった。人員や予算が不足する市町村などでインフラの安全性や信頼性が十分に確保されていないという危機感を背景に、広域的なインフラを総合的で多角的な視点で捉える「地域インフラ群再生マネジメント(仮称)」への転換を打ち出す方向だ。
 今後の在り方に関する提言を社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)・交通政策審議会(交政審、同)技術分科会技術部会で秋ごろに取りまとめる予定。同部会傘下の「社会資本メンテナンス戦略小委員会」(委員長・家田仁政策研究大学院大学教授)の会合が18日に開かれ、国交省が提言の骨子案を説明した。
 骨子案では個別施設の維持や補修・修繕、更新、集約・再編、新設を適切に行う一方、複数・広域・他分野のインフラを「群」と捉え、地域全体として必要な機能を確保するような方策が必要とした。多様な主体による「総力戦」の実施体制の整備も訴える。
 市町村などでメンテナンスの生産性向上が不可欠と指摘。民間活力や新技術の活用も念頭に必要な組織体制を構築し、今後求められる技術力を明確化し伝承する必要もある。こうした課題を踏まえた具体的施策を提言で例示する予定だ。
 同日の会合で吉岡幹夫技監は13年を「社会資本メンテナンス元年」と設定してからの10年を振り返り「施設点検は一巡し施設の現況はおおむね把握できた」などと成果を語った一方で「自治体は人員・体制面で厳しい」と現状を評価した。
 家田委員長は14年に社整審の道路分科会基本政策部会が公表した提言「最後の警告~今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ~」に触れ、「当時の緊迫感、緊張感が薄れてマンネリになっていないか。もう一度、緊張感を作り直さなければ」と強調。昨年7月の静岡県熱海市の土石流災害を念頭に、盛り土のような構造物もメンテナンス対象になり得るとして「われわれが気が付いていないところにも注意すべきものがあるかもしれない」と指摘した。



source https://www.decn.co.jp/?p=141929

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