2022年4月13日水曜日

国交省/ロシア輸出策見合わせ、都市開発や港湾整備など受注提案中断

 国土交通省はウクライナ情勢の悪化を受け、ロシア向けインフラ輸出促進策を全面的に見合わせる。2016年5月の日ロ首脳会談で日本側が提示した経済協力プランを踏まえ、ロシアに働き掛けてきた都市開発や港湾整備などに関する日系企業の受注提案を中断。同省は情報収集に努めつつ、「各国による対ロ制裁が日系建設企業の事業活動に影響しているか確認し、その都度必要な対応を取っていく」(総合政策局国際政策課)としている。
 国交省によると現時点で経済協力プランに関連し、日系企業が受注したインフラ整備案件は確認していない。一方、「ロシアでの民間企業の動きを全て把握できているわけではない」(同)のも現状。今後も日系企業の事業活動や安全に支障を来さないよう細心の注意を払っていく。
 経済協力プランは都市開発や港湾整備といった分野の協力を念頭に「快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り」や「極東地域の産業振興・輸出基地化」など8項目で構成する。
 都市開発分野では、17年にロシア南西部の都市ボロネジと極東のウラジオストクを経済協力の「モデル都市」にすると合意。ボロネジでは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が民間企業と連携し、交通量に応じて自動的に信号を制御する「スマート信号システム」の実証事業を展開してきた。渋滞緩和の効果を確認し受注に向けた働き掛けを本格化する段階だったが、日本側からのアプローチは当面見合わせる。
 港湾分野では石炭輸出港の整備に焦点を当て、案件形成に向けた働き掛けを続けていた。だが8日に対ロ制裁の一環として岸田文雄首相が表明した石炭禁輸が暗い影を落としそうだ。毎年事務レベルの「日露港湾当局間会合」を開き課題を聴取してきたが、国交省は「今年は打診があっても断る」(港湾局産業港湾課)という。
 経済協力プラン関連以外では、極東地域の住宅市場に進出する可能性を模索していた。国交省は断熱性や耐震性に優れた国産木造住宅の需要が高いとみており、3月に現地の市場動向などに関する報告書をまとめている。本年度は報告書を分析し具体的な輸出促進策を検討する予定だった。
 松野博一官房長官は3月の記者会見で、経済協力プランの実施を当面見合わせると表明。民間企業が独自に展開している事業には「今後必要に応じ、事業ごとに対応が検討されていくことになる」との見解を示している。



source https://www.decn.co.jp/?p=141736

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