2022年4月14日木曜日

政府/インフラ維持管理、コスト抑制へ新技術導入後押し

 政府は老朽インフラの増加に対応するため、維持管理業務で新技術の導入拡大を後押しする。業務を効率化、高度化し、インフラメンテナンスにかかるコストを抑制する。施設管理者が新技術を活用しやすい環境を整えるため、技術カタログやマニュアルの策定、予算措置や技術開発など政策を強化している。今後、各分野の新技術導入状況などを調査。点検や診断の質の向上、コスト縮減につながる効果的な事例を収集し、今秋までに整理する方針だ。
 政府は2021年度に▽国土交通▽農林水産▽厚生労働-の3省が所管する道路や農業水利施設、上下水道など22分野の施設管理者(回答数2212団体)を対象に新技術導入状況を調査した。インフラ点検や診断にロボットやセンサーを活用している施設管理者の割合は全体の48%。前回調査(19年度実施)の38%から10ポイント上昇した。
 国交省は道路分野で橋梁やトンネルの点検を支援する新技術の導入促進策として、「点検支援技術性能カタログ」を19年度に策定した。ドローンなど131技術(21年10月時点)を紹介している。補助金や交付金で新技術の導入を要件化したり、重点配分したりする仕組みも導入した。新技術情報提供システム(NETIS)に登録された維持管理部門の35技術を従来技術と比較すると、平均でコストが15%減、工程は32%減という高い効果が示された。
 農水省は所管するダムや頭首工など基幹的な農業水利施設の管理を省力化するため、ロボットやAIの活用を推進。今後、治山施設でも新技術の導入環境を整える。基礎部が水中にあるなど目視点検が難しい漁港施設も、センシング技術などを使用した点検を拡大していく。
 厚労省によると水道事業444件(大臣認可事業)のうち、施設の維持や修繕に新技術を活用している事業数は19年に162件(36%)だったが、21年には172件(39%)に増加した。厚労省は22年度から水道事業の「IoT活用推進モデル事業」の対象を拡大。事業の効率化につながる新技術であれば、IoTを未使用でも支援している。
 このほか文部科学省は文教施設、環境省が一般廃棄物施設の維持管理に新技術の活用を促進。インフラメンテナンスを予防保全型に転換しコストを抑制する上で、新技術の活用は不可欠といえる。省庁間の連携を強化しながら、政府を挙げて技術、資金両面から新技術の活用を後押しする。



source https://www.decn.co.jp/?p=141771

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