前田建設が茨城県取手市の自社施設で進めてきた、昭和初期の洋館・旧渡辺甚吉(じんきち)邸の移築、復元工事が完了した。当時最高水準の知見が詰まった歴史的な洋風住宅。東京都内にあった邸宅と車庫棟の取り壊しが検討されていたが、2018年から同社が引き取り保存プロジェクトに取り組んできた。21日にオープニングセレモニーを開き、関係者らが竣工を祝った。
移築場所は取手市寺田5270、前田建設ICI総合センター里山ガーデン内。移築した建物は建築面積が256平方メートル(うち車庫棟23平方メートル)。木造2階建て延べ426平方メートル(同)の規模。高さ10メートル。
名誉館長を務める藤森照信東京大名誉教授は「約50年前に雑誌で紹介した時に設計者の方から突然電話が来て話を聞きに行ったのを覚えている」とあいさつ。前田建設の前田操治社長は「完成した甚吉邸を見て感慨無量だ。建物を保存するだけでなく、そこから生まれる無形の価値にもこだわっていきたい」と述べた。
邸宅は1934年、東京・白金に岐阜県出身の実業家・第14代渡辺甚吉が建てた。15~17世紀にイギリスで流行したチューダー様式を取り入れ、白い壁に木骨が露出したハーフティンバーと呼ばれる外観が特徴だ。日本の住宅文化に影響を与えた建築家である山本拙郎、遠藤健三、今和次郎の3人が設計や内装装飾を担当した。歴史的、社会的に価値が高いとして、解体計画が出た当時、研究者らの要望を受けた前田建設が移築を申し出た。プロジェクトには文化財復元に強みを持つ風基建設らが協力した。
source https://www.decn.co.jp/?p=142041
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