2020年3月2日月曜日

【駆け出しのころ】りんかい日産建設取締役執行役員土木事業部長・長野敏之氏

 ◇好奇心は仕事を面白くする◇

 子供のころから地元の有明海で魚釣りや貝掘り、砂遊びなどに熱中したり泳いだりなど、海が好きでした。ものづくりへの憧れもあり、海洋土木を得意とするマリコンには関心がありました。同じ大学のOB数人がりんかい建設(現りんかい日産建設)に在籍し、学校の先生の紹介もあったことから、自然の流れで就職することになりました。

 入社から10年ほどは九州の現場を転々と回りました。初任地は北九州の桟橋工事の現場。右も左も分からない中で、現場に立ち続けて分からないことが出てきたら上司や先輩たちに聞きながら、実践を通して現場管理に必要な知識やノウハウなどを学んでいきました。

 入社から数年は転勤が多く、現場の宿舎暮らしで彼女もできず、結婚もできないのではと不安になり、このまま続けていくべきか悩み、生活が安定した公務員になろうかとも考え、上司に退職を相談しました。

 けれども現場主任になれば面白くなると上司に諭され離職を踏みとどまりました。葛藤もありましたが、最終的には建設会社に入って良かったと思っています。

 確かに数年かけて海洋工事を一通り経験し、現場のことが分かってくると面白みを実感できるようになりました。協力会社といかにうまくやれるかが現場管理の肝であり、常にコミュニケーションを大切にしました。

 その後、技術部で土木設計部門に5年ほど所属。現場には直接携わっていませんが、諫早干拓の事業推進に当たり、技術面から発注者側の要望に応えようと必死に検討しました。

 現場で思い出されるのは志布志湾の石油備蓄基地の建設に向けた大規模な埋め立て事業。マリコン各社のポンプ浚渫船が現場海域にずらりと並び、関係各社で競争するような雰囲気を感じました。あれこれ工夫を凝らして同業他社には負けない出来高を上げようと普段以上に頑張ったことを覚えています。

 公共投資が減少し、受注競争が激化したころから現在まで、技術営業も担当しています。事業者側に提案しながら受注を勝ち取ることに面白みややりがいを感じています。入社以来、好奇心は仕事をする上で大切にしてきたもの。現場の課題や顧客ニーズなどを踏まえ、必要とされる技術の開発・改良に試行錯誤してより良い施工方法を見つけ出す。

 好奇心で多分野から得た知識を持ち寄ることで、困難な状況下でも解決の糸口を見いだすことができます。与えられたことだけやっていても楽しくありません。いろいろなものに好奇心を持ち、自分で考え、頭を使うと仕事はもっと面白くなると思っています。

入社6年目、幼かった娘さんと浜辺で砂遊び
(ながの・としゆき)九州大学農学部農業工学科卒、りんかい建設入社。執行役員土木事業部副事業部長などを経て2019年6月から現職。熊本県出身、63歳。

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