冬の星座を代表するオリオン座。中央に位置する三つ星と周囲の星々を結ぶと、ギリシャ神話の登場人物を形作る。明るい星が集まっているため、子供のころの天体観測の定番となっている▼オリオンの右肩に輝く赤い星・ベテルギウスが昨秋から非常に暗く見えるようになった。もともと明るさが変わる星だが、今回はいつもより暗くなり、超新星爆発の前兆かなどとの臆測を呼んだ。冬の夜空に暗くなったベテルギウスを探し、目をこらした方も多かろう▼米大学などの研究チームは今回の減光が温度の低下ではなく、ちりで明るい表面が一時的に隠されたからだと先週までに発表。先月後半には再び明るくなり始めたという▼ベテルギウスの爆発が近いとの見方は打ち消されたが、既に寿命が近づいて赤く膨張した段階にある。約1000万年の寿命とされる年老いた星は今後10万年以内には爆発を起こすとの予想も▼宇宙の時間軸の前では地球上での出来事もほんの一瞬にすぎない。目に見えず、地上で急速に拡散する微細なものに振り回されすぎず、たまには頭上の星々を眺めるゆとりを持つことも必要なのではないか。
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