2025年日本国際博覧会協会は、「いのちの輝き」をテーマに8人のプロデューサーが八つの分野に関して大阪市此花区の博覧会(大阪・関西万博)会場で表現するパビリオンの基本計画を策定した。立方体を山のように積み上げたパビリオンや、転用可能な素材を活用した循環型の建築、森に溶け込むような大屋根を持つ建築などを展開。プロデューサーがそれぞれ建築家などとチームを組み、パビリオンを具体化する。
18日に東京都内で開かれたイベントで8人のプロデューサーが基本計画を発表した。
8テーマのうち「いのちを知る」分野は生物学者の福岡伸一青山学院大学教授が担当。パビリオンは「よどみの建築」と題し、細胞膜に覆われたようなデザインとする。福岡教授は「建築材料が集まり、一時的に形を作り、分解されていく『動的平衡』を表現する」と説明した。チームには建築家として橋本尚樹氏(橋本尚樹建築設計事務所主宰)が参画している。「いのちを育む」はアニメーション監督の河森正治氏が担う。2・4立方メートルのユニットを積み上げ、山や遺跡のようなパビリオンを作る。海水や海産バイオマスを原料とする環境配慮型コンクリートパネルを活用。河森氏は「建築を通して環境を回復する」と説明した。建築デザイン・展示計画の担当として小野寺匠吾氏(小野寺匠吾建築設計事務所)がチームに携わる。
映画作家の河瀬直美氏の「いのちを守る」のテーマでは「記憶の建築」を建築コンセプトとし、森の中の映画館を表現する。河瀬氏は「昔からあったかのような映画館をつくり、その中で新しい映画館の有り様を模索したい」と語った。
「いのちをつむぐ」は放送作家の小山薫堂氏が食の未来を見つめるため、次代のスーパーマーケットをテーマとする。転用可能な素材を活用しパビリオンを整備する。「パビリオンの中は一方通行で本のページをめくるように10の空間を進んでいく」と説明した。建築デザインとして隈研吾建築都市設計事務所が参画。
「いのちを拡げる(ひろげる)」は石黒浩大阪大学教授が担当。ロボットに宿るいのちなどを考える。石黒教授は「ロボットと人間の境界がつかなくなる空間を見せていきたい」と述べた。アーキテクチャルディレクターとして、建築家の遠藤治郎氏(SOIHOUSE代表)が参画している。音楽家の中島さち子氏は「いのちを高める」を担う。創る喜びを集合・循環させた遊び場「クラゲ館」を構想する。「未来を自分たちで作っていけることを感じてもらえるといい」と語った。建築デザインとして小堀哲夫氏(法政大学教授、小堀哲夫建築設計事務所)が参加する。
メディアアーティストの落合陽一氏は「いのちを磨く」をテーマに、膜のように湾曲する鏡面の外観を持つ変形建築を目指す。落合氏は「実際に行くに足る異質な空間とする」と語った。クリエイターチームには建築設計事務所のnoiz、乃村工芸社が参加している。宮田裕章慶応大学教授は「いのちを響き合わせる」を担う。森に溶け込むような不定形の大屋根を構築する。宮田教授は「屋根も壁もなく開きながら世界とつながる建築。その中でデジタルにつながる場をつくる」と説明した。建築デザインはSANAAが担当している。
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