2020年3月11日水曜日

【東日本大震災9年】ゼネコン各社、早期復興と働き方改革の両立目指す

 2011年の東日本大震災発生から9年が経過する中、ゼネコン各社は被災地の早期復興・再生へ向けて、引き続き力を注いでいる。

 ピーク時に比べ案件数は減ってきたものの、依然として大規模現場などが稼働。働き方改革も求められており、生産性向上を図りつつ、基盤整備などに貢献していく。 

 甚大な被害を受けた被災3県では、復興道路・復興支援道路など基幹インフラの整備や復興街づくりが進展。岩手と宮城の2県は大手ゼネコンが手掛けるような大規模案件が収束へと向かいつつあるものの、福島県内では、東京電力福島第1原子力発電所や中間貯蔵施設関連、除染などの作業が「フルパワー対応」(大手ゼネコン)で続く。

 だが人員体制は変化している。ある大手ゼネコンは、14年のピーク時に300人規模(出向・派遣含む)だった東北支店体制が、19年秋には250人規模となり、社員は約3分の2に縮小した。別のゼネコンの土木部門担当者は「復興が本格化した際、東北支店に全国から人を集めたが元に戻っている」と説明する。

 そうした状況下では生産性向上が欠かせない。あるゼネコンは、効率化が必要な対象に除染業務を挙げる。建物によって足場など求められる対応が異なり、地権者らへの書類も膨大な量になる。ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)などを積極的に活用する方向で、担当者は「ルーティンワークの手間を減らし、難しい部分を人間がやることで確実に仕事を進めたい」と力を込める。

 震災復興では、ゼネコンのマネジメント力が発揮された場面が多かった。ゼネコン担当者の一人は「若手も含めて底上げにつながった」としつつも、「完璧はない。繰り返し検証し改善を続けることが必要」と話す。「インフラや施設整備を通じて、建設会社がどのように街づくりに貢献していけるかが課題」(大手ゼネコン)との声も挙がる。

 福島県内では、イノベーションコースト構想や福島再生・未来志向プロジェクトなどが進む。大手ゼネコンの担当者は「1企業としてやれることを考え、本当の意味で復興に貢献したい」と意気込む。

0 コメント :

コメントを投稿