2016年2月24日水曜日

【回転窓】後始末の責任

インフルエンザの流行で体温計のお世話になっている人も多かろう。体温計といえば今はデジタル表示の電子体温計が普通。脇の下に挟んで数十秒もしないうちにピピピッと鳴って検温結果を知らせてくれる。便利になったものである▼一昔前の体温計はガラスの筒の中を伸びる水銀柱の目盛りを読み取るアナログ式。脇に挟んで何分もの間じっとしているのは、子どもにはちょっと苦痛だったと記憶する。検温の前後に体温計を振って水銀柱を下げる動作も懐かしい▼そんなレトロな味わいもある昔の体温計が今、大きな問題になっているという。水銀の製造から廃棄までを包括的に規制する「水俣条約」が年内にも発効するからだ▼水銀含有量が1本で蛍光灯200本相当という水銀体温計の回収が緊急課題だそうだ。家庭や病院で使われずに保管されているものが随分多くあるらしい。探してみたらわが家からも1本出てきた▼優れた材料も、扱いを誤れば極めて危険。かつてさまざまな分野で大量に使われたアスベストやフロンに水銀も似ていようか。きちんとした後始末が、恩恵を受けた者の責任であろう。

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