2016年2月3日水曜日

【果たすべき役割は三つ】清水建設・井上次期社長の就任会見を詳しく


 ◇経営路線を踏襲・進化◇

 4月1日付での社長交代を発表した清水建設。宮本洋一社長(代表取締役会長に就任予定)と、次期社長に決まった井上和幸取締役兼専務執行役員(写真㊨)が1日、東京都中央区の本社シミズホールで記者会見した。主なやりとりは次の通り。



 --社長交代の狙いは。


 宮本 社長在任期間が現在9年目と長くなってきた。会社の継続的発展には世代交代が必要だ。業績が回復し、過去最高水準の利益が確保できるようになってきた。若返りを図る良いタイミングだ。中期経営方針(14~18年度)の最終年度の業績目標が今期(15年度)に達成できる見通しがついた。これを機に新しい体制の下、経営改革のさらなる進展を図ってもらう。

 --次期社長としての抱負を。


 井上 宮本社長は就任後にリーマンショックなど経済環境が急激に悪化する中、当社が進むべき道、あるべき姿を示し、実現に向け施策を講じてきた。そうした状況をつぶさに見ており、会社や業界の状況は十分理解している。私の役割は三つ。一つ目はこれまでの経営路線を踏襲し、進化させること。二つ目は本業(建設事業)をさらに強化し万全にした上で、将来に向けた第2、第3の柱を育てる。三つ目はリーディングカンパニーとして、業界を取り巻く課題の解決に向けた取り組みを通じ、業界の持続的成長にも貢献していきたいと考えている。

 --会長としてどう社業に携わる。


 宮本 社長が会社の代表者であり、社長にすべての権限を集中させる。私は業界や財界の活動に軸足を移し、社長を支え、盛り立てる役目に徹する。

 --当面の経営課題は。


 井上 2020年東京五輪を控え、18~19年が工事消化のピークになるとみている。それに向けて、機動的な施工体制を確立しなければいけない。担い手の確保・育成が業界の共通課題だ。協力会社の生の声をもっと聞き、具体的にどうしていくかを話し合い、地道に一つ一つ前に進めていく。技能労働者の処遇や就労環境を改善したり、女性の活躍の場を広げたりする取り組みをさらに深めていきたい。五輪後の市場を悲観してはいない。五輪を挟み、さまざまな投資がある。地方も決して楽観できないものの、地方創生を通じた仕事が出てくるだろう。現在の消化能力をきちんと捉え、挑戦すること、しないことを見極める。地道な努力を重ね、生産性向上を図り、施工能力を高めていくことが重要だ。

 --どのような会社を築いていく。


 井上 社会から求められる技術力や提案力、社会的な使命・役割が変わってきている。変化のスピードが今後ますます速くなる。社員の力を結集し、将来への布石を着実・迅速に打っていく。急速に進化するICT(情報通信技術)などはものづくりの最大のツールになる。積極的に取り入れていくと同時に、ものづくりの心もきちんと育てていく。明るく元気で活力にあふれる会社にしたい。社員同士が尊敬し合い、果敢に挑戦する風土をさらに醸成していきたい。



 井上 和幸氏  いのうえ・かずゆき)1956年10月3日生まれ。東京都出身。81年に早大大学院理工学研究科建設工学を修了し、清水建設入社。横浜支店で現場経験を積み、01年同支店建築部生産センター所長を務めた。

 02年営業部門に配属となり、06年名古屋支店静岡営業所長、09年九州支店副支店長、12年建築事業本部第二営業本部長を歴任し、13年執行役員、14年常務執行役員名古屋支店長、15年4月専務執行役員、同年6月取締役。

 趣味は映画鑑賞とスポーツ観戦で、ゴルフも少々。モットーは「誠心誠意」。

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