2016年2月29日月曜日

【回転窓】「安全不安」が大切

「備えあれば憂いなし」。現場の安全対策を進める上で、よく使われる言葉だ。事前に危険を予知し、万が一に備えて幾重もの安全対策を施し、事故を未然に防ぐ▼ただ、万全な対策をしたにもかかわらず、事故は起きる。人の「過信」や「油断」によって引き起こされる事故だ。「今まで大丈夫だったから」「自動制御だから」。そんな安心が逆に油断を呼び、事故につながる▼心理学者の山下富美代氏は「安全と安心はトレードオフの関係」という。高度技術の活用や徹底した安全対策は人々に安心感を与えるが、それが一方では油断にもつながる。ヒューマンエラーを防ぐには「緊張感と、適度な“安全不安”が大切だ」(『快適性って何だろう?』日刊建設工業新聞社刊)と▼厚生労働省が発表した労働災害発生状況(速報値)によると、15年の建設業の死傷者は1万4941人で前年比9・9%減だった。建設各社の安全対策が奏功した格好だが、一方で工事量が少なかったからという見方もある▼これから年度末にかけては追い込み工事が増える。最後まで「油断は禁物」と気持ちを引き締めてもらいたい。

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