清水建設が地震発生直後に建物の安全性を高精度に評価できるモニタリングシステム「安震モニタリングSP」を開発した。
先行して運用しているプロトタイプと同様、4台の加速度センサーとセンサーの記録を自動解析するソフトで構成される。
建物の構造設計で時刻歴応答解析を行う高精度解析機能を新たに加えた。S造ビルで積極展開し、継続使用の可否判断に役立てる。
同社は安震モニタリングシステムのプロトタイプを開発し、12年に適用を始めた。今回、システムの性能をさらに高め、日本総合建築試験所から建築技術性能証明を取得した。
適用対象は、都心に集積するオフィスビルの大部分を占める新耐震基準で設計された5階建て以上のS造ビル。センサーを建物の基礎部分と最上階に各1台、地上階を3等分する位置に2台、ソフトを組み込んだパソコンを防災センターなどにそれぞれ設置する。
地震発生時には、簡易解析は4台の加速度センサーが記録した加速度を基に、高精度解析は基礎位置で記録された加速度による時刻歴応答解析の結果を基に、それぞれ建物各階の層間変形角(各階間の水平方向の変形量を階高で割った値)を推定する。
最も大きな変形角が推定された階の値を基準に、変形角が200分の1以下の場合は「安全・継続使用可」、200~100分の1以下の場合は「注意、ただし継続使用可」、100~~75分の1の場合は「危険・一時避難」、75分の1以上の場合は「危険・避難」と判定される。地震の揺れが収まった後、1分程度で判定結果が分かるという。
学習機能も特徴の一つ。地震が発生するたびに、4台の加速度センサーによる実測値を基に簡易解析用の建物モデルを自動修正。システム導入後に構造躯体が地震で受けた損傷を累積値として記録し高精度解析に反映させる。特に大地震発生時は、本震の影響を踏まえて余震の影響を評価する必要があるため、この機能により安全性評価の信頼度が格段に高まるという。
プロトタイプはこれまでに7棟のオフィスビルに導入している。今後、同社が施工する新築のオフィスビルにはシステムの標準装備を推奨し、既存ビルと合わせて年間20棟程度への導入を目指す。導入費用は同社が設計・施工する新築で800万円程度からとしている。
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