民間信用調査会社の帝国データバンクが全国2万3000社の企業を対象に実施した16年度の「賃金動向意識調査」によると、調査に回答した1万0519社のうち「正社員の賃上げがある」と回答した企業は46・3%となった。
「賃上げがない」と回答した企業は23・%。6年連続で「ある」が「ない」を上回る結果となった。
建設業の回答は「ある」が48・7%(746社)、「ない」が24・0%(368社)。賃上げを検討している割合は運輸・倉庫業や製造業、サービス業と共に業種別比較で高水準となっている。人材不足の状況が依然として続き、将来を見据え若年層の人材確保にも注力していることが背景にあるようだ。
調査内容を具体的に見ると、賃上げ策は基本給を引き上げる「ベースアップ」が35・5%でトップで、賞与(一時金)の26・0%が続く。
賃上げを予定している4875社に理由を聞いたところ、「労働力の確保・定着」が73・8%で最も多かった。「自社の業績拡大」は46・2%、他社よりも人材確保や採用活動で有利に立ちたいことを背景に「同業他社の賃金動向」を理由に挙げた割合は21・1%となり、他社の賃金動向を意識する傾向が強まっている。
16年度の総人件費は前年度比較で「増加」との回答が63・7%となった。増加率は平均2・49%で、回答企業の人件費は「総額で4・3兆円、賃金で3・4兆円増加する」と試算する。
建設業の平均増加率は2・97%、賃上げ割合は65・4%。回答企業の中には「大企業と異なり、中小・零細企業は存続が第一義」(運送業、新潟県)、「給与の上昇分は社会保険や住民税の上昇分、生活物資の値上がりで相殺され、消費増税分は賄えない」といった声もあった。
0 comments :
コメントを投稿