2016年2月19日金曜日

【回転窓】完成後も続く街づくり

アークヒルズ(東京都港区)が3月末で開業30周年を迎えるそうだ。民間による日本初の大規模市街地再開発事業を森ビルが主導した。その後、六本木、表参道、虎ノ門などと続く「ヒルズ」の原点である▼完成までの道のりは長い。同社がここに土地を取得したのが1967年というから、そこから数えれば来年で半世紀。地元住民と対話を重ねながらの取り組みは、「都市づくりは人づくり」と捉えることもできるだろう▼多彩な機能を融合させた都市モデルは、30年を経過した今も成長を続ける。開発当時23・3%だった緑被率は43・5%へと倍増。敷地内の庭園では、都心にいながら四季を感じることができる▼住民に密着しながらも、外部から人を呼び込むさまざまな仕掛けで多様なコミュニティーを育んだ。街づくりは完成して終わりではなく、完成後も続いていくということを実践している▼インフラは適切に維持管理を行えば長持ちさせることができる。街も手間暇かけて運営することが、その魅力を高めて活力を生み、持続可能なものにする。アークヒルズ30年の歴史が、そのことを教えてくれる。

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