2016年2月4日木曜日

【回転窓】街の魅力と物語

 

 兵庫県南あわじ市が日本から独立する構想を打ち出した。というのは冗談で、広報戦略の一環。「パンフレットとかゆるキャラとか、ぬるいPRしてたら駄目。いっそ独立くらいしませんか」。特設ホームページで、地元出身のタレント・上沼恵美子さんがこう訴えかける。19日からは国民投票イベントも行うそうだ▼どう興味を持たせるか。そのポイントとなるのは「物語」のように思う。東京・渋谷の街案内をする会で活動し、そう感じるようになった▼渋谷といえば若者のイメージが強いが、実際は歴史も文化も多様。例えば歓楽街の百軒店地区は、関東大震災で被災した老舗などを誘致したのが始まりで、一部に面影が残る。竹久夢二は当時、あまりのにぎわいぶりに「百軒店を軒別に見歩くのはおっくうになった」と話したという▼同じ場所、同じ食べ物であっても、背景を知っていると魅力が増す。地域を読み解きつつ散策ができる『渋谷まち歩きレシピ』なるガイド本も作った▼どの地域にも物語があり、そこには少なからず建設産業が携わっている。多面的に光を当てながら産業の魅力も発信したい。

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