2017年1月31日火曜日

【北九州スタジアムが完成】SPCが北九州市に引き渡し、こけら落としは2月18日

引き渡しが完了したスタジアム
(提供:北九州市)
北九州市小倉北区に建設していた北九州スタジアムの工事が完了し、1月31日、「スタジアム整備等PFI事業」を受注した九電工ら6者グループのSPC(特別目的会社)・ウインドシップ北九州から北九州市に施設が引き渡された。

 小倉駅から徒歩7分の距離にある好立地の街中(まちなか)スタジアムは、RC造一部S造6階建て延べ約1万9800平方メートルの規模。2015年4月に着工した。座席数は1万5066席で、将来的には2万席への拡張も可能だ。

 海に隣接する立地条件もあり、バックスタンド以外の3面を覆う屋根は船のマストをイメージした吊り構造のデザインを採用した。施設の玄関口に「スタジアムプラザ」、これと連続して飲食売店スペース「にぎわいプロムナード」を設置。ピッチとスタンド最前列の距離を可能な限り近づけると共に、VIP席やファミリー席など多彩なバリエーションシートを設ける。

ミクニワールドスタジアム北九州として
2月18日にこけら落としを迎える
(提供:北九州市)
事業を担うのはグループの代表企業で工事も担当した九電工をはじめ、設計と工事監理を担当した梓設計、工事を施工した奥村組、若築建設、施設の維持管理や運営を担当する美津濃、日本施設協会の計6者で構成。契約金額は107億円で、整備費99・9億円の一部にスポーツ振興くじ助成金を活用した。

 今後は、ネーミングライツ(施設命名権)契約を結んだスポンサー企業にちなみ「ミクニワールドスタジアム北九州」の名称で、サッカーやラグビーなどの球技をはじめ、多目的に利用される。サッカーJリーグのギラヴァンツ北九州のホームスタジアムにもなる。所在地は北九州市小倉北区浅野3丁目。PFIの事業方式はBTO(建設・移管・運営)で、スタジアム建設後に北九州市に所有権を移管し、2032年3月までSPCが維持管理・運営を担う。

 こけら落としは2月18日に開催する「JAPAN RUGBY DREAM MATCH 2017」。ギラヴァンツ北九州のホーム初ゲームはJ3開幕戦のVSブラウブリッツ秋田戦(3月12日)となる。
スタンドを覆う屋根は船のマストをイメージした吊り構造が特徴だ
(提供:北九州市)

【スタジアム整備の推進策は】三菱UFJリサーチ&コンサルティング・大野知也氏に聞く


 ◇計画の具体化・実行、今後2~3年が正念場◇

 国内総生産(GDP)600兆円の実現を目指す政府は、成長の余地があるスポーツ産業に焦点を当て、さまざまな方策を実行に移そうとしている。スタジアムやアリーナを多機能・複合化し“稼げる”施設にする取り組みには、産業育成に加え、地域の発展や活性化につなげる狙いがある。スポーツビジネスに詳しく、整備計画のスキームづくりに金融面から携わってきた三菱UFJリサーチ&コンサルティングの大野知也氏は、国の動きが出始めている現在を「新しい施設づくりにとって絶好の機会」と捉える。

 --“稼げる”スポーツ施設整備を後押しする政府の取り組みをどう見る。

 「海外では一般的なスタジアムやアリーナの多機能・複合化も、国内では法制度や規制、資金の問題などから、これまで計画が具体化しにくかった。ただ昨年から経済産業省やスポーツ庁が先導役となり、整備を目指す動きが顕在化してきた。スポーツ庁が昨年11月に公表した『スタジアム・アリーナ改革指針』は、施設の整備・運営主体である自治体のマインドを、初期投資を抑えながら運営で利益を得る方向に変えるためのものだと理解している」

 「最初から完璧な施設を造ろうとすれば仕様や設備が過剰になりがちで、結果的にイニシャルコストが高止まりしてしまう。公共施設である以上、市民利用を優先し、利用料金を抑える必要もある。こうしたさまざまな課題が積み重なり、スタジアムやアリーナは事業収支を黒字化することが難しかったといえる」

民間主導で建設した吹田市立サッカースタジアム(大阪府吹田市)。
スタジアム整備の成功例として手法を参考にする自治体は多い
 --多機能・複合化施設を実現するポイントは。

 「イニシャルコストを引き下げ、ランニングで利益を上げる。利用率を高めるという視点を持ち、スポーツはもちろん、地域イベントやコンサート、展示会などを開催する前提で計画を立案する。施設の立地条件、スタジアムで3ヘクタール、アリーナで1・5ヘクタールといわれる用地の確保、イベント需要などはもちろん大切な要素だ。サッカーなどの球技専用施設の場合、芝を養生する時間が必要になるので、現時点ではアリーナの方が多機能・複合化しやすいだろう」

 「国内では整備主体がほぼ自治体であり、プロジェクトを実現する上では限られた財源をなぜスタジアム、アリーナの整備に投入するのか明確な理由付けが欠かせない。まちづくりへの貢献や防災対応など副次的な効果をしっかり説明し、理解を得る必要もある」

 「経済産業省は昨年、スタジアム・アリーナを核としたまちづくり計画策定事業の委託先として、5件を選定した。当社もその一つに関わっているが、各地域がどう具体的な成果を出していくのか。国が主導しスタジアム・アリーナ整備で新たな胎動が見え始めている現在は、大きなチャンスだと思っている」

 --スタジアムやアリーナの整備・運営に民間のノウハウや資金を活用するにはどうしたらいいのか。

 「スポーツビジネスの中でも施設の整備・運営事業は比較的有望な分野だと思う。民間主導で実現した吹田スタジアム(大阪府吹田市)、行政が主導した北九州スタジアム(北九州市小倉北区)は象徴的なプロジェクトだ。一方、計画づくりが難航している広島のケースは、初期段階での意見のすり合わせが不十分でボタンの掛け違いがあったと見ている。コンサルタントの立場から言うと、寄付金を集めて整備し、完成した施設を行政に寄付するスキームの実現性が最も高いだろう。将来的には民間がSPC(特定目的会社)を設立し、資金を調達して整備運営する民設民営もあり得る。既存施設をスマート化するプロジェクトにも注目している」

 「プロジェクトへの民間参入を後押しする上では(固定資産税などの)税制優遇、土地賃料の低価格設定など横方向の行政支援が必ず必要になる。スポーツ庁が予算案に新事業の経費を計上するなど、具体的な動きが出ている17年度は、新たなスキームが定着するかどうか正念場を迎えるだろう。人口30万~50万人の中規模都市で成功例が出始めれば、流れは大きく変わるはずだ」

2月にこけら落としを迎える北九州スタジアム。
PFI方式を採用し整備した(提供:北九州市)
--“稼げる”施設を実現する上では、スポーツのプロクラブもこれまで以上に経営努力が必要になる。

 「欧米のプロスポーツでは入場料収入がクラブ収益の大きな柱になっている。国内では試合数が少ないサッカーの場合、一部のクラブを除き現在の施設規模で経営体力を高めることは難しい。クラブの事業規模が底上げされなければ強化費を増やすことも困難だろう。新しいスタジアムやアリーナを整備したいという意識はあるだろうが、その具体的な方法が見つからない、というのが現状ではないか」

 「コンサルタントフィーをどこで稼ぐのかは課題だが、当社としてはクラブと行政の両方にアプローチを強めて、新しいビジネスの芽を育てたいと思っている。2020年東京五輪をはじめ、大規模なスポーツイベントを控えたこれから2~3年の間にプロジェクトを形づくらなければ、今の勢いがしぼんでしまう可能性もある」。

 (コンサルティング・国際事業本部東京本部革新支援室チーフコンサルタント、おおの・ともや)

【BIMの課題と可能性】小規模組織のBIM運用・2

 小規模な建築設計事務所や工務店でもBIM運用が急速に進んでいる。「モデルが主で図面は従である」との意識変化も生まれる中で、小規模組織ならではのBIM運用メリットを中心に報告する。

 □英国で触れた「BIM的概念」をベースに04年からは実務面でBIMソフトの成長に立ち会う□

続きはHP

【記者手帖】IR誘致で市民感情に配慮?

 カジノを含む統合型リゾート(IR)の推進に積極的な姿勢を見せてきた横浜市の林文子市長が、25日の定例記者会見で「ギャンブル依存症対策を優先させたい」と発言して関係者を慌てさせている◆市はこれまで横浜商工会議所などと歩調を合わせて誘致に前向きな活動を展開していただけに、方向転換とも受け取れる発言は、関係者にとっては青天の霹靂(へきれき)。昨年12月のIR推進法成立時には「市の都心臨海部を活性化し観光MICE(国際的イベント)を推進する上で有効な手法」とコメントしていた市長の真意を測りかねている◆IR導入推進では当初からギャンブル依存症の増大が危惧されていた。それに対しても「しっかりとした対策を検討する」と応じていたが、やはり市民の声は無視できず、「依存症対策の優先」を表明せざるを得なかったというところか◆横浜市は8月に市長選を控えている。既に民進党は「カジノ誘致反対」を争点に対抗馬の擁立を目指している。林市長が出馬すれば再選は固いと見られているが、あらかじめ火種を鎮めるための作戦なのかは不明だ。(さ)

【力作揃いです】東播工高、兵庫県加古川市で建築科作品展開く

 兵庫県立東播工業高校(加古川市)で建築を学ぶ生徒の作品展が28~30日に、加古川市の大型商業施設・イオン加古川店で開かれた。

 学校生活の集大成となる卒業設計や課題研究、住宅の軸組模型、製図などを展示。インターンシップ(就業体験)の写真も展示し、買い物客らが同校の取り組みに感心を寄せていた。総合資格学院とメガソフトが協賛した。

 作品展のテーマは「ケンチク、する」。建築科の生徒が製作した約200点が並び、3年生はJR加古川駅周辺の高架下に商店街を作り、既存の商店街を結ぶ商店街環状プランに挑戦した卒業設計を展示。木工や模型など五つの班は課題研究の成果を披露し、模型班は昨年7月に開院した加古川中央市民病院の模型を製作した。

 日本建築士会連合会主催の「第7回高校生の『建築甲子園』」の応募作品や加古川駅周辺のまちの模型なども並び、2年生は住宅デザインソフトを使った夢のある2階建て住宅のデザイン、1年生は平屋住宅の配置図や平面図などを展示した。

 建築科の澤大輔科長は「学校で取り組んでいる成果を保護者や企業、一般の人に広く知ってもらい、進路開拓につなげたい。小学生や中学校にも興味を持ってもらいたい」と話し、総合資格学院姫路校の岡本茂久学校長は「高校の作品展は全国的にも珍しい。今後もこうした取り組みに積極的に支援していきたい」と述べていた。

【回転窓】AI記者が書く新聞記事

米国では人工知能(AI)記者が記事を書く動きが急速に進んでいるという。天気や企業業績、スポーツの試合結果など定型化しやすい分野では、多少の手直しは必要なものの、人が書く記事とほぼ変わらない仕上がりと聞く▼AI記者出現の背景には、生物の脳神経回路を参考にした「ディープラーニング(深層学習)」と呼ぶ技術の開発と、コンピューターの演算速度の飛躍的向上がある。記事の規則性をAIに学ばせて原稿を自動的に書かせる▼駆け出しの頃、先輩に「文章は簡潔に書け」「同じ言葉を繰り返すな」「大切なことから書け」と記者のイロハをたたき込まれた。注意され過ぎてけんかになったことも一度や二度ではない▼経験から学び身に付いた仕事のやり方が今の自分を成り立たせている。そんな立場からすると、AI記者の登場は便利ではあろうが、手放しで歓迎とはいかない。工場にロボットが導入され、生産ラインが自動化されても人間の感性が必要な工程は残る▼自動生成可能な記事はAI記者に任せ、手間と時間をかけて取材した記事を読者に届ける。それが新しい時代を生き抜く方法だろう。

2017年1月30日月曜日

【回転窓】インフルエンザですか?

「インフルエンザと診断されましたか」。この時期、幼児がひきつけ(熱性けいれん)を起こし、救急車の派遣要請があった場合、ある地域の消防司令センターの担当者は電話主にこう問い掛けるという▼日本外来小児科学会によると、急に熱が出た幼児のひきつけは数分で止まることが少なくない。インフルエンザの子のひきつけなら、消防指令は救急車を手配しつつも主治医への連絡を求め、連れていける場合は救急車の派遣を控えるそうだ▼理由は助かる命を救うため。この自治体が配置している救急車は25台。救急出動の要請は年間5・4万件あり、単純計算で1台が1日に約6回出動する。ただしその約6割は軽症者だという▼軽症かどうかはさておき、目の前の子どものひきつけに動転し、親が即119番する気持ちは理解できる。しかし同学会も数分のひきつけなら、止まってから主治医の指示を仰ぐことを推奨する▼「安心して下さい。救急車は向かっています」。非常時に救いの言葉を聞かせてもらえるよう、救急車の適正利用につながる知識を深めておきたい。まだまだ寒中。健康管理にも一段と気配りを。

【凜】LIXILウオーターテクノロジージャパン・杉本有梨さん


 ◇洗面化粧台の魅力高めたい◇

 大学では建築環境工学を専攻。住宅の室内環境に関する研究に力を注いだ。研究を進めていくと、「暮らし」への興味が湧き始めた。就職活動ではさまざまな企業を検討したが、中でも住宅設備機器を手広く販売するLIXILに引かれ、入社を決めた。

 入社5年目。現在、洗面化粧台のカタログ製作などプロモーションを担当している。営業担当者向けの勉強会や、ホームビルダーへの製品説明会の講師を務めることもある。

 「製品のプロモーションにははっきりとした正解がなく、状況に応じて答えを導く必要がある」ところが難しい。毎日模索しながら仕事を進めているが「自分が作ったカタログに高い評価がもらえた時には、仕事をしていてよかったと思う」と笑顔を見せる。

 「キッチンやトイレにお金をかける人は多いが、洗面化粧台はそこまで注目されていない」と現状を分析する。今後の目標は「お客さまが洗面化粧台に対して考える時間を増やすような仕掛けをする」こと。洗面化粧台に対する注目度を高め、少しでも高性能な製品を提供していきたいと思っている。

 同じ職場で働いている先輩の女性社員には、子育てをしながら勤務している人もいるという。その姿を見て「お手本になる。自分でもできそうだと思っている」。仕事はずっと続けていくつもりだ。

 (トイレ・洗面商品部、すぎもと・ゆり)

【建設業の心温まる物語】森山建設・松田照久さん(福岡県)

 ◇父さんの姿がかっこいい◇

 私には、小学校の息子がいます。あるとき、息子と遊ぶ同級生たちに「将来お前たちは何をしたいんだ?」と聞いたことがあります。

 「警察官」、「消防署員」、「ゲーム作る人」、「サッカー選手」など、期待していたとおりの答えが返ってきます。さらには「社長」「お金持ち」と言う子どももいました。その中で息子は「現場監督」と言ったのです。

 私は「現場監督をやりたい」という息子に対して冗談ながらに、「こんな仕事やめとけ」と言ったことがありました。しかし、小さいときから、休日に会社でバックホウやローラーに乗せてあげていました。また自宅から近い現場を施工しているとき、息子は自転車で友達と現場を見に来ました。

 そして「父さんが作業員さんたちに指示を出していた姿がかっこよかった」と言ってくれたのです。息子の顔はうれしそうでした。私ももちろん飛び上がるほどうれしく思いました。その印象が強かったため「現場監督」になりたいと思ってくれたようです。

 最近、家の周辺で下水道工事を行っています。息子は、学校の帰りに立ち止まって見ています。先日も「現場の人や左官さんと仲良くなってきたぜ」と言いましたし、一番びっくりしたのは、「ガードマンさんの○○さん今日おらんかった」といって寂しがっていたことです。

 息子よ。左官さんやガードマンもいいけど、父さんと同じ現場監督になってくれるよな。

【建設業の心温まる物語】美馬建設・藤本佳広さん(徳島県)

 ◇ついていかんけん、はよ帰ってきてよ◇

 吉野川沿いの堤防際で、県道の新設工事を行っていた時のことです。その日の工事が終わり自宅に帰りました。すると台風の接近による大雨で、テレビでは河川氾濫、浸水被害に注意せよ、とのニュースが流れていました。現在施工している工事現場もその範囲に入っています。

 私は浸水対策をして現場を後にしたつもりでしたが、あまりの雨の強さに心配になりました。そしてもう一度現場を確認するため、深夜0時ころ、妻に「もう一度現場に行って確実に浸水対策ができているか確認してくる」と伝え家を出ようとしました。

 すると寝ていたはずの当時7歳の次男が起きてきて、泣きそうな表情で「父さんどこ行くん?」と聞いてきました。私が「仕事しよる現場見てくるわ」と言うと、次男は「僕もついていく」と言います。私は次男を危険な現場に連れていくつもりはなく、「父さんはすぐに帰ってくるから、家で待っていて」と何度もついてこないようになだめました。すると最後に次男は泣きながら「ついていかんけん、はよ帰ってきてよ。父さんおらんようになったら、いやじゃ」と言いました。

 この言葉を聞いて、改めて安全に注意して無事故で家に帰ることが家族にとって本当に大事なことだと気づかされました。そして、同時に社員にも家族がいるので、社員全員を無事家に帰してあげることが自分の責任だと感じました。

【建設業の心温まる物語】エム・テック・酒井厚さん(宮城県)

 ◇「また一緒に仕事しよう」と「ごくろうさま」◇

 私は、兄が工業高校の土木科を卒業していたため、同様に土木科に進みました。そして平成3年のバブルの時代に建設会社に入りました。

 現場に配属され現場に出てみると、物の名前が分からず、自分で何が分からないかさえも分からない状態が続き、やめようと思った事は数しれずありました。18歳で監督さんと呼ばれるプレッシャーもありました。それでもやめなかった理由は先輩の存在でした。お互いに励まし、励まされ、そんな日々が約10年続きました。

 そうするうち次第に、自分の中で視野が広がっていきました。現場を1人で運営していくようになり、1級土木施工管理技士を取得することもできました。一人立ちすると他人に指示されることよりも自分で考えることが多くなりました。町の中を歩いていると、同業者工事の見方も変わってきました。「あのように施工すればよいのか」と。同時に自分の施工した場所にも行くようになったり、家族に自慢したりもしました。気がつくと、私服よりも作業服を着ている方が安心し、ヘルメットをかぶらないと違和感があったくらいでした。

 けっして楽な仕事ではありません。しかし、仕事の達成感があることは事実です。くじけそうになったときには、明日家に帰ろう、子供と遊びに行こう、美味しい飯を食おうとポジティブに考えることにしています。失敗しても、間違えても、作った物を壊し作り直したとしても、一人で悩み続けるのではなく、誰かに相談すれば必ず解決し現場は終わります。

 そして一番うれしい瞬間は工事完成時の検査官の「完成とします」、業者から「また一緒に仕事しよう」、地元住民からの「ごくろうさま」の言葉です。この言葉をまた聞くことができるよう、これからも一所懸命にやり続けるつもりです。

【サークル】ナカノフドー建設 テニス部


 ◇練習は毎週土曜日、体力強化に富士登山も◇

 会社の公認部活動の一つ。現在の部員数は約10人で、技術、営業、事務、現場など所属部署は多彩だ。代表を務める泉幸一郎さん(東京本店施工技術部副参事)は「発足年や経緯に関する正式な記録はないが、ベテラン社員からは1975年ごろから活動していると聞いている」と話す。

 「楽しくテニスをすること」がモットー。毎週土曜日に部員が集まり、コートを借りて練習をしている。毎年9月には、山梨県の山中湖で集中的に練習するための合宿も行う。そうして磨いた腕を試すため、本社のある東京都千代田区のテニス大会に出場している。基礎体力の強化も兼ね、2012年からは毎年7月に富士登山を実施。標高3776mの頂に挑戦している。

 今年の主な活動計画は昨年と同様で、千代田区のテニス大会に出場するほか、7月に富士登山、9月に山中湖での合宿を計画している。

 「若手の部員を増やしたいので、積極的に勧誘活動を行っているが、思うように部員が集まらないのが悩み」と泉さん。「山中湖での合宿や富士登山に興味を持ち、仲間に加わる人が増えてほしい」と参加を呼び掛けている。

【駆け出しのころ】竹中工務店常務執行役員・川島豊氏

 ◇全体最適のために何をするか◇

 大学を卒業するころは、第2次オイルショックの影響で就職が非常に厳しい時代であり、竹中工務店もほとんど新卒採用の募集がありませんでした。しかし、ゼネコンに就職するなら設計に強い竹中工務店と決めていたため、大学院に進学し、2年待ってから入社試験を受けました。

 設計志望で入社しましたが、新社員研修を終えた2年目から施工を担当することになりました。最初に配属されたのは発電所(建屋)の新築工事です。大規模な工事であり、いろいろな情報を集め、関係者間の調整をうまく進めていかないと物事は何も決まっていかないことを学びました。

 それに担当職種の仕事を効率よく進めてもらえるかどうかは、その前工程の段取りにも影響されることが分かり、他の工程のことにも関与するようになっていきました。するといろんな協力会社さんが私に話を聞きに来てくれるようになり、作業所での仕事が楽しくなっていったのを覚えています。

 この作業所に約2年いた後は、大阪で10年ほど勤務し、ホテルや企業の研修施設、音楽ホールのあるビルなどの建築工事を担当しました。このころは国策で日本の建設市場が開放され、外国企業が参入してきた時期と重なります。私はそうした外国勢と勝負するには「彼らのやり方を知らなくてはいけない」と社内でよく言っていました。これが人事担当者の耳に入ったのか、ドイツの建築作業所に赴任することが決まります。初めての海外勤務でした。

 ここの作業所ではドイツ語が分からずに苦労したものです。でも責任ある立場でしたので、打ち合わせを聞いているだけでなく、最後に「きょうの結論はこういうことか」と片言のドイツ語で確認するようにしたんです。初めは「何を聞いていたんだ」などと言われましたが、だんだんとこちらの気持ちが伝わり、スムーズにコミュニケーションが取れるようになりました。

 海外ではその国の文化や歴史を知り、リスペクトすることが大切です。当然、技術は重要ですが、その前にリスペクトするマインドがなくてはいけません。

 これまでに国内外でさまざまな経験を積んできましたが、私はいつも全体最適のために何をしたらいいのかを考え行動するようにしてきたつもりです。社会の価値観や流れが変わる大きなターニングポイントにある時こそ、若い人たちにはチャレンジする意識と力を持ってほしいものです。

 チャンスというのは自分の上でぐるぐる回っています。それをつかみ取るために、飛び上がる力とタイミングを見定められる目を養ってほしいと思います。

 (かわしま・ゆたか)1980年九大大学院工学研究科建築学専攻修了、竹中工務店入社。ドイツ竹中副部長、大阪本店作業所長、ヨーロッパ竹中(ドイツ)事務所長、執行役員国際支店長、常務執行役員国際支店長兼アジア統括部長などを経て、16年から現職。福岡県出身、63歳。
入社して最初に配属された作業所で

2017年1月27日金曜日

【「いい住まい・いい暮らし」実現に貢献】LIXIL、主要事業開始から50年

国産初のシャワートイレ「サニタリナ61」
国産初のシャワートイレ、画期的なアルミサッシ…。高度経済成長期から日本の住宅の近代化を支えた製品を供給してきたLIXILが今年、主要な事業を開始した1967年から50年を迎えた。大きな節目を迎え、今後、豊かな暮らしを支える製品づくりに一段と力を入れていくとしている。

 1967年3月にINAX(当時)がシステムバスルームの量産を開始。銭湯を利用する文化から、個人がそれぞれ住宅に設けた風呂を利用する生活への変化に合わせ、工期が短く手軽に設置できる浴室のニーズにいち早く応えた製品の供給を開始した。

 同年9月には日本建具工業(後のトステム)がアルミサッシの一貫生産を開始。高度成長期に次々と住宅が建てられ、アルミサッシの需要が増える中で一貫生産体制を構築し、市場へ供給した。

 さらに同年10月には、INAXが国産初のシャワートイレ「サニタリイナ61」を発売した。当時医療機器として使われていたものを一般住宅でも使用できるように改良。世間にシャワートイレを普及させた。

 「お客さまのいい住まい、いい暮らしの実現に貢献したい」という思いが同社を支えてきたという。引き続き「いい住まい・いい暮らし」の実現に、ものづくりの側面から寄与していくという。

【〝マンホーラー〟埼玉に集結】下水道PRイベントで魅力語り合う

 マンホールの「ふた」をこよなく愛する「マンホーラー」が全国から集結-。暮らしに欠かせない社会基盤の一つである下水道への興味・関心を深めてもらおうと、「マンホールサミット埼玉2017」が14日、埼玉県川越市のウェスタ川越で開かれた。マンホールグッズの収集家から近くに住む親子連れまで約3000人が来場。愛好家や専門家によるリレートークでは、マンホールへの熱い思いが語られた。

 イベントを主催したのは下水道広報プラットホーム(GKP)。6回目となる今回は、流域下水道50周年を迎えた埼玉県などとの共催により実施した。来場者数は過去最大を記録したという。リレートークの司会役を務めたミス日本「水の天使」の須藤櫻子さんは、「下水道事業の入り口であるマンホールは、魅力ある世界への扉だ」と紹介。GKPの栗原秀人企画運営委員会副委員長(メタウォーター技監)は、「興味のあるところからマンホールを楽しんでいただきたい」と呼び掛けた。

 リレートークは、マンホールふたの写真を紹介するホームページ「マンホールGO」の管理人である出水享さんから開始。広島カープや桃太郎がデザインされたマンホールふたなどを紹介し、「マンホールの意味を知るだけでも、地域を知るきっかけになる」と語った。学校に通った地域など自身にゆかりのある10枚の写真を「わたしにとってのマンホールの履歴書」として紹介した。

 NHKの国際放送局アナウンサーである山本ミッシェールさんも、「文化や風習など1枚のふたから学ぶことが多い」と語った。マンホールふたを目にして、平家物語の舞台となった地域に立っていることを知った体験を披露。「マンホールは新たな異文化コミュニケーションのツールになる。地味で目立たないふたこそ、美意識が高い」と述べ、訪日外国人に日本のマンホールの素晴らしさを伝えようと提案した。ロボットを用いた下水道検査技術など取材を通じて知った最新動向も説明した。

 行政の立場から語ったのは同県下水道局の若狭公一主任。下水道の内部調査や維持管理作業の大変さにも触れつつ、「健全な水環境を引き継ぐことをいつも考えている。お金がかかることをしっかりと認識してもらうことが必要だ」と指摘。「マンホーラーになって、最終的には下水道マンになってほしい」と呼び掛けた。

 マンホールふたを製造・販売している「日之出水道機器」で広報を担当する高橋璃花子さんは、地域の特徴を記したデザインや、直径60センチという統一されたフレームにデザインが凝縮されていることなどを、マンホールふたの魅力として挙げた。「マンホールさんの潜在的な魅力はすごい。心を込めることで自然と気持ちが届き、魅力が伝わる。伝わった時の反応が楽しい」と笑顔で話した。

 同社では、マンホール情報に関するメールマガジンを配信しているほか、マンホールカードの製作や、「マンホールどら焼き」といった関連グッズの販売も行うなど多様な角度からマンホールのPRに取り組んでいるという。この日は、埼玉県内の58種類のマンホールふたが屋外に展示され、マンホールふたと並んで記念撮影をする親子連れなども見られた。

 □高校生が下水道漫画制作、「伝える」ことが「知る」きっかけに□

 イベントに合わせて、埼玉県が流域下水道50周年特別企画として制作した漫画が披露された。小学生向けに下水道の仕組みや役割を紹介する冊子で、川越工業と越谷西、草加東の3高校の漫画部の生徒たちが連携して描き上げた。

 タイトルは「下水道ってなあに?」。県のイメージキャラクターである「コバトン」と「さいたまっち」が、下水管や処理場などを冒険し、クマムシなど微生物をモチーフにしたキャラクターと出会いながら下水の処理工程などを学んでいく。汚泥の再資源化や発電への活用、さらには水資源が循環しながら利用されていることも描いている。

 生徒たちは、ストーリーを考えるに当たって下水処理場を見学した。「地下の下水処理場は未知の世界に来たような感じで面白かった」と越谷西高漫画文芸部の永田大輔さんは振り返る。永田さんは、微生物が下水処理に活躍していることに興味を持ち、ストーリーに組み入れた。

 草加東高漫画研究部の兎洞葵衣さんは、「下水処理は結構大変みたいだが、普段は考えない。そういうところに目を向けてほしい」と語る。3校で手分けして制作したので構成に苦労したが、楽しんで作業をしたという。

 「下水として流れたものが再生することがすごい。『水はすごい!』ということを子どもたちに伝えたい」と話すのは、川越工業高漫画文芸研究同好会の野中千裕さん。これからは節水にも気を配ろうと考えている。

 3人とも、これまでは下水についての知識がほとんど無かったという。今回の漫画制作は、高校生たちに下水のことを知ってもらう意味でも、良いきっかけになったようだ。

【回転窓】真の「都民ファースト」とは

「価格ありきの入札に戻る方向に動いている」。不安の声が建設業団体の幹部から漏れ聞こえる▼懸念の種は、小池百合子東京都知事が主導する工事や委託業務などの入札契約制度見直しだ。都は現在、最低制限価格制度の運用や総合評価方式などの抜本見直しを検討している▼基準額を下回れば一律で失格にする最低制限価格制度は行き過ぎた低価格受注を防ぐのが狙い。企業の技術力を重視する総合評価方式は工事や業務の品質確保のために導入された。いずれも市民が安全・快適に暮らせる良質な社会資本整備を推進するための仕組みだ▼建設業には大地震などで被災したインフラの早期復旧を担う大切な役割もある。高い技術力を持つ企業を確保するために、受注者が適正な利潤を得られ、安定した経営ができる制度を整えるのは行政の責務といえる▼小池知事は「賢い税金支出」を目指すが、価格にばかり目を向ける改革は、企業のたたき合いと消耗戦を生み、品質低下や雇用の悪化、ひいては災害対応力の劣化も招きかねない。拙速な結論は禍根を残す。真の「都民ファースト」のために腰を据えた議論を願いたい。

【ECI方式、施工は清水建設JV】東町運動公園体育館(水戸市)、2月1日起工式

 水戸市は、施工予定者が設計を支援するECI方式を採用した「水戸市東町運動公園体育館建設工事」=完成イメージ=の起工式を2月1日に現地で行う。

 設計は大建設計、施工は清水建設・岡部工務店・東洋工業JVが担当。18年度末の完成を目指す。建設費は81億2540万円。

 東町運動公園の所在地は緑町2の3の10(敷地面積4万7901平方メートル)。公園内の施設群を再整備し、新体育館を建設する。

 建物の規模はRC一部S造地下1階地上3階建て延べ1万6804平方メートル。メインアリーナとサブアリーナを設ける。体育館は19年国体(いきいき茨城ゆめ国体)のフェンシングとレスリングの競技会場となる。

【造営規模は26ha】ノベルズG、北海道幕別町に大規模酪農牧場

大規模牧場の建設予定地(北海道幕別町)
畜産・加工食品を販売するノベルズグループは、北海道幕別町に牛舎20棟などで構成する大規模酪農牧場を整備する。23日に計画概要を公表した。

 16年に設立したグループ会社の幕別デーリィファームが主体となって、大規模酪農牧場を整備・運営する。17年内にも用地造成などの整備に着手し、19年に完成させる予定。17年内にも一部で操業を開始する。投資額は約73億円を見込む。
計画地は幕別町弘和106。敷地26ヘクタールの用地造成を行い、乾乳舎4棟を含む牛舎20棟、堆肥舎1棟と、搾乳設備のロータリーパーラーとパラレルパーラーそれぞれ1カ所を整備する。畜産系バイオマスを原料とするバイオガスプラントも併設する。牧場内では約4300頭の乳用牛を飼育する。
17年春に稼働する御影バイオガス発電所

【海外初進出!】星野リゾート、バリ島に「星のやバリ」開業

 全国でリゾートや旅館を運営する星野リゾート(長野県軽井沢町、星野佳路代表)は、インドネシア・バリ島に海外進出の初弾案件となる「星のやバリ」を20日開業した。

 バリの伝統建築で仕上げられた戸建てのヴィラ(客室)が、運河を模した三つのプールの周縁に軒を連ね、非日常の空間を演出する。

 星のやバリは、インドネシア芸術の中心地とされるウブド村の東部に位置。平地と渓谷から成る3ヘクタールの敷地に建てられた。リゾートのコンセプトは「聖なる川に向かう運河の集落」。平地にヴィラ、渓谷に面した部分にはダイニングなどパブリックスペースを配置した。

 独立型のヴィラ(30室)は熟練した職人がバリ伝統建築の技巧を凝らして建設。外壁や家具には、ウブド地域を中心に発展した「バリ彫刻」を施した。常夏の気候に配慮し、水辺の涼風を取り込めるようヴィラのプール側には日差しを遮るガゼボ(バリ風のあずまや)を設置した。

 「聖なる草」とたたえられる植物アランアランのかやぶき屋根と太い柱で軒先まで日陰を確保し、涼やかで開放的な空間を創出する。建築設計は東環境建築研究所、環境設計はオンサイト計画設計事務所が担当した。

【積女ASSALだより】久米設計・天野しのぶさん

 ◇パズル解く楽しさを◇

 現在は、設計事務所でコストマネジメントを担当していますが、最初の住宅会社で積算の拾いを習得し、次の建設会社で値入れ・見積書作成の一端を担い、現在に至っています。

 最初の建築へのアプローチが積算だったこともあり、建物を理解するのは数量の拾いが一番だと思っています。数量拾いはたくさんの図面を見て進めるため、図面を読む力が必然的に身に付くからです。設計を担当するより多くの案件を見るチャンスもあります。

 昔から経理を担当する女性は多いですよね。建築は職種が多岐にわたりますが、中でも積算という業務は数字を扱うため、女性にも向いていると思います。数字嫌いでなければトライしてみて下さい。頭の中で建物を構築しながら拾うのはパズルを解くようで面白いですよ。

 (あまの・しのぶ)
 
 次回は日本設計の飯田ルミさんを紹介します

2017年1月25日水曜日

【回転窓】高校「地理総合」の必修化

1995年の阪神大震災を契機に本格化したのがGIS(地理情報システム)の活用に向けた取り組み。これまでに推進のための法制度も整備されているが、高校での教育とは必ずしもリンクしないで来たようだ▼89年改定の学習指導要領では、高校で世界史が必修化され、それまで必修だった日本史と地理が選択科目になった。以来四半世紀以上がたって生徒たちの地理への関心は相対的に低くなっているのが現状という▼こうした中で次期学習指導要領を議論してきた中央教育審議会が昨年末、「地理総合」を高校の必修科目にするよう答申した。環境や防災などの地理的課題を学ぶ科目で、GIS活用を教育面から後押しすると期待される▼文部科学省は2017年度に改定指導要領を告示。22年度から移行する予定だが、大きな課題が地理を教える専門教員の不足。一昨年に国土地理院が地理総合の必修化も見据えて「地理教育支援チーム」を設置し、昨年3月に提言をまとめている▼進展著しいGIS技術の恩恵を社会が享受するには産官学が綿密に連携し、GISリテラシー教育を充実させていくことが欠かせない。

【私の仕事】不動テトラ東北支店工事部工事課・山口大雅さん

 ◇ゆとりある工期と完全週休二日制を◇

 2014年に入社しました。幼いころからプラモデル等の工作が好きだったため、モノづくりに関わる仕事をしたかったことが、建設産業への就業理由です。東日本大震災の復旧・復興に少しでも力になりたかったからという思いもあります。現在の職場は、福島県南相馬市で東日本大震災で被災した海岸堤防の復旧工事に従事しています。

 自分が行った仕事が、日に日に完成に近づく現場で、はっきりと目に見えて形になってきたとき、強い達成感や、やりがいを感じています。他人には真似できない特殊な仕事をしているということを感じます。 建設産業への要望は「ゆとりのある工期」「完全週休2日制」です。

 「ゆとりのある工期」について、実情として準備期間も工期に含まれているため施工期間が短くなり、ゆとりがなくなっている。工期が準備期間と施工期間に分かれることで、ゆとりが生まれ、より一層品質の向上を図ることができるのではないか。それに伴って、「完全週休2日制」が実現可能となり、職員・作業員ともにやる気の向上にもつながると思います。

 将来の目標は、より多くの人々が安心して生活できるように、生活の基盤を支えるモノをたくさん作っていきたい。自分自身よりも大多数の人々に思いやりを持った技術者になりたいと考えています。一方、「近い目標」として、東日本大震災の復旧工事の経験を生かして、昨年発生した熊本地震の復旧・復興の力になりたいとも思っています。

 (鹿児島県出身、やまぐち・たいが)

【資格・ここがポイント】1級土木施工管理技術検定試験

 ◇試験は年々難化の傾向に◇

 2017年1月17日に16年度の1級土木施工管理技術検定実地試験の合格発表がありました。合格率は36.7%で合格者数は1万0219人でした。10年度には合格者数が5000人台まで落ち込みましたが、13年度以降は1万人台で推移しています。

 近年の試験傾向として、学科試験は3年連続で合格基準点が下方修正(予め公表されている基準点は39点)されており、16年度も37点が合格ラインとなりました。このように学科試験は難化しており、初出題の増加や新技術の動向・法改正に関する出題など、過去の試験問題を中心とした学習では合格ラインの点数を獲得することが難しくなってきています。

 実地試験でも過去の試験問題をアレンジした出題が増加しています。同試験は記述式のため、単なる暗記による突破が難しい試験です。出題意図を理解した上で、問われている内容に沿った答案を作成する必要があります。

 記述試験は学科試験と異なり、自分自身で解答の正当性を判断することが難しい試験です。合格のためには、第三者による客観的な添削を受けるなどして弱点を発見し克服することが合格への近道となります。

 (総合資格)

【こちら人事部】竹中工務店-「建築への熱意と志」を重視

 ◇寮生活で縦横のつながり強める◇

 1610年に神社仏閣の造営を主業として創業して以来、建築専業でランドマークとなる数多くの建築物を手掛けてきた竹中工務店。「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念の下、まちづくりを通してサステナブル社会の実現に貢献することを目指している。

 こうした建築活動を支えるのは優秀な人材。人事室能力開発部で採用を担当する古関康之さんは、求める人材像を「経営理念を体得し、活躍できる社員」と話す。採用に当たっては、▽誠実に人と向き合うこと▽先まで考える主体性▽ルールの中での創意工夫▽チームワークと情熱-の四つをキーワードに、建築への熱意と志を重視する。

 新入社員教育制度では、入社から1年間は大阪本店管轄の事業所で、OJT(職場内教育)とOFF-JT(集合教育)の両面での育成を行う。この間、新卒総合職全員が神戸市内の新入社員教育寮に入り、寮生活を送る。同期との相互研さんや、他人への思いやりや共感性を高めるのが目的だ。古関さんは「他社にはあまり例を見ない教育制度。同期と寝食を共にするため、絆が強まる。さらに新入社員一人一人に指導担当者が付いてマンツーマンのOJTを行うため、上下の関係性も強まり、タテとヨコのつながりが強い会社になる」と胸を張る。

 同社では「良い仕事が良い人を育て、良い人が良い仕事を生む」という基本的な考え方の下、社員の能力開発を継続的にサポートする独自の育成環境も整えている。1年目は2部門ないし3部門を1年間で経験するジョブローテーションシステム(職務転換制度)を導入。配属された部門では、実際に業務を担当しながら各部門の役割や部門間での業務の流れを自らの体験を通して学ぶ。

 1部門当たり4~6カ月という短い期間だが、複数の部門を経験するため、専門にとらわれることなく、可能な限り業務知識を拡大できる。「入社1年目にさまざまな業務を経験する中で、自分が竹中工務店でどのように活躍したいか考えることができる」(古関さん)。

 2年目以降は全国7本・支店に配属となり、各自が自分の専門性を確立することを目標に関連業務・関連知識を習得する。28歳ぐらいまでをめどに1~2回の職務転換を行い、個人の基礎能力を向上させる期間に位置付ける。

 就職活動は、その後の人生を決める重要なターニングポイント。古関さんは「さまざまなバックグランドを持った人たちと出会うことで多種多様な価値観に触れることが大事」と話し、ものづくりに関心のある熱意を持った多くの人材の来社を待っている。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】男性190人(うち技術系152人)、女性34人(31人)(16年度新卒総合職実績)
 
 【3年以内離職率】3・4%(13年度新卒総合職)

 【平均勤続年数】男性19・9年、女性17・9年(16年3月末時点)

 【平均年齢】44・4歳(15年12月末時点)

【総延べ延べ4万平米、19年着工めざす】札幌市、冬季版NTC構想案公表

札幌市スポーツ局は、ウインタースポーツ振興の一環として市内への誘致を検討している冬季版総合ナショナルトレーニングセンター(NTC)の構想案をまとめた。

 屋内外のトレーニング施設のほかに医科学施設、宿泊・サービス施設などを備えた施設で、屋外設備を除く総延べ床面積は約4万平方メートルを想定。今後、施設計画の詳細検討を進め、19年の着工、22年の竣工を目指す。

 NTCの構想案は、23日に札幌市中央区のニューオータニイン札幌で開かれた冬季オリンピック・パラリンピック競技団体連絡会議第3回アスリート部会で札幌市スポーツ局が示した。建設候補地は各競技施設とのアクセス性や利便性、周辺環境などを考慮して選定する予定。

 構想案によると、NTCは医科学施設(延べ約4000平方メートル)、競技別トレーニング施設(約1万3000平方メートル)、一般トレーニング施設(約5000平方メートル)、宿泊・サービス施設(約1万8000平方メートル)と、陸上トラックなどの屋外施設で構成する。

 医科学施設には体力測定室や生理化学・心理学実験室、診察・検査・カウンセリング室などの機能が入る。競技別トレーニング施設にはアイスリンク、カーリングシートなどの練習設備を設ける。一般トレーニング室は体育館やプール、会議室・ミーティング室などで構成。宿泊・サービス施設は500人程度の宿泊者を受け入れる規模とし、栄養指導食堂や大浴場などの共用設備も設ける。

 屋外施設には、夏季はクロスカントリー、冬季はランニングに利用する地下クロスカントリーコースや陸上トラック、多目的広場などを整備する。

 冬季版総合NTCは、東京都にある味の素NTCや国立スポーツ科学センターと連携してアスリートを育成する施設に位置付け、スポーツ医科学を取り入れたトレーニングや長期合宿などによる集中的・継続的なトレーニング拠点として整備する。

 札幌市が2026年の冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けてまとめた五輪開催概要計画では、NTCを誘致し、冬季競技のトレーニング環境を充実させることなどを盛り込んでいる。

 ウインタースポーツのトレーニングに関する課題としては、▽夏季・冬季ともトレーニングできる環境が整備されていない▽大人数で長期間の合宿に対応できる宿泊施設がトレーニング施設に併設されていない▽障害者アスリートのトレーニング施設が充実していない▽科学的なトレーニングや研究を行う施設がない-ことなどが冬季競技のアスリートから挙がっている。冬季版総合NTCの整備により、これらの課題解決を目指す。

【埼スタ中心に交流拠点づくり】さいたま市ら協議会、美園地区デザイン方針素案公表

さいたま市などで構成する「みその都市デザイン協議会」は、さいたま市の美園地区を対象とした「みその都市デザイン方針」の素案をまとめた。

 緑豊かで活力ある都市核エリアの形成や、地下鉄7号線の延伸、東西交通大宮ルートでのLRT(次世代型路面電車)などの整備推進を掲げた。

 対象は、埼玉高速鉄道(地下鉄7号線)・浦和美園駅や埼玉スタジアム2002公園などを核とした約500ヘクタール。周辺の約3000ヘクタールとも連携を図っていく。目標年次は30年度だが、短期的な取り組みは20年度を目標に進める。

 サッカー専用の埼玉スタジアムを中心に、にぎわい・交流拠点づくりに取り組むほか、新駅設置に対応して公園内の空間配置を見直す。綾瀬川の護岸や堤防上の遊歩道の整備、環境やエネルギーといった面でモデルとなる住宅街区の形成も進める。主要地区で景観協議の仕組みを取り入れるなどデザインマネジメント体制も構築する。

 このほか、同協議会と「美園タウンマネジメント協会」が「美園スタジアムタウン憲章」の素案をまとめている。市民や企業、教育・研究機関、行政機関らが連携し、新たな時代の都市づくりを追求するとしている。

2017年1月24日火曜日

【県営運動場を再整備】愛知県岡崎市、龍北総合運動公園の基本計画案公表

愛知県岡崎市は、「(仮称)龍北総合運動公園」の整備基本計画案を明らかにした。県営岡崎総合運動場が市に移管されることに伴い約34億円を投入し再整備する。17年度は設計に着手し、18年8月に着工する。19年6月末の整備完了を目指す。

 同運動場は、真伝町亀山にある敷地約20万8311平方メートルの総合運動公園。第4種公認陸上競技場のほか、野球場3面、テニスコート8面、蹴球(しゅうきゅう)場(ラクビー場兼用)1面、屋外プール(50メートル、25メートル、幼児用)、洋弓場1面を備える。利用者は年間約12万人を見込む。

 1968年開設で大部分の施設が老朽化しており、再整備が必要となっている。行政改革の一環として11年12月から県と市で移管に向けた協議を行い、15年4月に最終合意に達していた。

 計画案では、移管、再整備に当たり全体を陸上競技、野球、蹴球、テニス、多目的広場、洋弓、山林、駐車場の各ゾーンに分け、整備を行う。現テニスコートを多目的広場として再整備し、老朽化が激しい屋外プールを解体して、テニスコートにする。

 陸上競技場は、現在の第4種から第3種公認陸上競技場とし、インフィールドはサッカーやラグビーの試合が可能なJFA(日本サッカー協会)規定のクラス4の競技場を整備。1000人程度が収容可能なメーンスタンドを設けるとともに、会議室や事務室、受付など管理棟としての機能を持たせる。

 野球場、蹴球場、洋弓場などは規格を一部見直すとともに、老朽化部分の補修などを行う。整備や維持管理では、PFIなどの官民連携整備手法やNPO、ボランティアとの連携を図る。ネーミングライツによる予算確保も検討する。概算事業費は建設費29億4400万円、設計・撤去など5億円の計34億4400万円を見込む。

【建設業も夢に加えて!】戦略的広報推進協、さいたま市の小学校でキャラバン開く

 国土交通省が建設業団体などと組織する建設産業戦略的広報推進協議会(事務局・建設業振興基金)は、建設産業の魅力向上と入職促進につながる情報を発信する「学校キャラバン」を21日にさいたま市立大谷口小学校で開いた。6年生94人が参加。体験イベントなどを通じて、児童たちに建設業の社会的な役割やものづくりの楽しさ、素晴らしさを伝える場となった。

 キャラバンは授業形式による建設業の紹介と、くぎ打ちや作業支援用ロボットの装着など4種類の体験・展示で構成。講義はハウスメーカーの女性技術者でつくる「じゅうたく小町」のメンバーが1日の仕事の流れや住宅建設の工程などを説明し、「建設の仕事を皆さんの夢に加えてほしい」と呼び掛けた。続いて振興基金の担当者が「みんなの夢と建設業」をテーマに授業を行い、「建設業は皆さんの夢と生活につながっている」と語った。

 体験・展示ブースには関東地方整備局、JM、大和ハウス工業、アキュラホームの4者が出展。関東整備局は地震や津波が起きる仕組みや、自助・共助・公助の大切さなどを伝えるパネルを展示した。

 JMはドローンに装着したカメラで上空から記念撮影したり、バーチャルリアリティーの世界を体験したりすることで最新技術を紹介。大和ハウスは床下を点検する小型ロボットの操作や作業支援用ロボットスーツの装着を体験してもらった。アキュラホームのブースでは職人の手ほどきを受けながら匠(たくみ)の技にチャレンジ。くぎ打ちやかんながけなど貴重な体験の場となった。

 児童からは「昔から続いている技術に驚いた」「これからも建設業が気になる」などの感想が寄せられた。

 閉会式で国交省の木村実土地・建設産業局建設市場整備課長は「建設業にはいろんな仕事があり、皆で一致団結してチームワークで仕事をしている。建設業を身近に感じ、興味を持ってもらいたい」と呼び掛けた。

【回転窓】学校の「働き方改革」は

社会保険加入の次は休日の増加。担い手の確保に向けて就労環境の改善に取り組む建設業界では今年、週休2日制の普及が大きな課題になるともいわれる▼そんな中、建設業以上に過酷な就労環境に置かれている職業がある。学校の先生。小中学校では週に60時間以上も働く先生の割合が70~80%に上るとの連合総研の調査結果が先日報じられていた(朝日新聞15日付)▼記事には建設業などより格段に高い割合とあった。運動部の顧問をする先生は特に長時間労働で、「保護者・地域からの要望・苦情への対応」なども先生たちの大きな負担になっているそうである▼先生を増やし、部活は週休2日、保護者や地域の要望・苦情には教委が対応-と決めてしまえば、問題はあらかた解決するのでは。建設業の時短よりずっと簡単と思うのは素人考えだろうか▼文部科学省は今月、先生の負担軽減策として、部活の休養日設定、業務改善のモデル地域指定と専門アドバイザーの派遣を打ち出したという。どこかずれているようにも見える。将来の働き手を育てる教育現場がこの調子では、「働き方改革」の先行きも誠に心もとない。

【BIMの課題と可能性】進化を続ける鹿島のBIM・3

施工現場でのBIM運用を充足しつつある鹿島の現況を踏まえ、「業としての建設」全体の生産性向上をいかに実現するかの見地から、その動向を再考する。

 □「市場縮小+人手不足の二重苦」の中でデジタルの優位性を活かして生産性の向上に寄与□

続きはHP

【記者手帳】広島イヤー、流れ今年も

2017年の幕が明け、さらなる発展を願う各業界団体の賀詞交歓会も終盤を迎えつつある。広島で賀詞交歓会を取材する中で一番多く聞こえたのが「昨年は広島イヤーだった」という喜びの声だ◆8月には現職の米大統領として初めてオバマ氏が原爆死没者慰霊碑に献花するという歴史的な出来事があり、広く世界から注目を集めた。プロ野球の広島東洋カープが25年ぶりにリーグ優勝したことは、広島のまちを言い表せないほど元気にした◆カープの活躍と連動するように広島駅周辺の姿も大きく変わった。新たな市民球場の完成から人の流れが生み出され、広島駅新幹線口の開発が進んで駅南口の二つの大規模再開発施設も完成した。これらの相乗効果により、さらに人が集まり、新たなまちの姿とにぎわいが創出されている◆昨年、世界遺産・宮島を訪れた人が過去最多となるなど国内外からの観光客は急増している。人を集め活性化し、新たな雇用を生み出す。その原動力はやはり良質な社会資本だろう。今年もこの流れが途切れないよう、官民の知恵と勇気を持った取り組みが期待される。(高)

【トンネル工事で女性技術者奮闘】東急建設、ダイバーシティー経営推進

 建設現場での女性の活躍に向けた取り組みが活発化する中、東急建設が山岳トンネル工事の 現場に初めて女性技術者を登用した。同社が重要な経営戦略の一つと位置付けるダイバーシティー(人材の多様性)の一環。土木工事の中でも環境が厳しい山岳トンネル工事の現場での女性技術者の活躍ぶりを取材した。

 山形県南陽市で同社が施工中の「東北中央自動車道たかつむじやまトンネル工事」(発注=東日本高速道路東北支社、工期=2015年7月1日~17年12月16日)。南陽高畠インターチェンジ(IC)~上山IC間の延長2・4キロの土木工事で、区間内に長さ約1・1キロのトンネルを掘削している。

 この現場で技術者として働くのが、東日本支店土木部たかつむじやま作業所の原沢蓉子さん。入社2年目の若手で、昨年4月に配属された。新潟県出身で、04年に起きた新潟県中越地震の経験から、「安全は普通にあるものではない」と感じて土木工学に興味を持ち、土木系の学部がある大学に進学。卒業後は大学院に進み、コンクリート工学を専攻したという。

 「長く仕事を続けたいと考えていた。そのため、女性でも長く働ける環境や制度が充実している東急建設を志望した」と入社の動機を話す。

 入社1年目は、土木技術設計部に配属され、発注者から受け取った図面や計算書に間違いがないかなどをチェックする仕事を担当。その後、2年目を迎えると同時に現在のトンネル工事現場に配属となった。

 このトンネル工事は発破掘削方式のNATMで進められている。掘削した部分を吹き付けコンクリートで素早く固め、ロックボルトを岩盤の奥深くに打ち込み、地山と密着させていく。その後、覆工コンクリートを打設するという手順で一連の作業が進む。

 その覆工コンクリートの管理を行うのが原沢さんの仕事だ。覆工コンクリートの打設は週に3回実施。その管理に加え、翌日に使用する移動式型枠の移動と位置出し、さらに生コン車の手配など、作業員が効率よく仕事ができるようにするのが大きな役割だ。

 現場で作業を陣頭指揮する小林敬一東日本支店土木部たかつむじやま作業所長は「ここ南陽市は、冬場は雪が深く、気温も氷点下になる一方、真夏には気温が40度近くに達することもあり、過酷な現場だ」と話す。

 原沢さんは「女性の技術者として初めてトンネル工事の現場に配属され、最初は受け入れられないんじゃないかという不安が大きかった」と振り返る。だが、実際に働いてみると、「現場の人たちとの会話を通じてお互いのことが分かり合え、不安は消えた。

 やりがいの方が大きくなった」という。「多くの人が協力し合うことで大きなものが造れる。今は覆工コンクリートの打設が進み、日々、作業が進んでいくことを実感できる。毎日が楽しい」とも。

 東急建設はダイバーシティーを経営戦略の一つに掲げ、多様な人材が活躍できる組織を目指した取り組みを推進してきた。その一つが女性の登用だ。女性活躍推進法に基づく行動計画として、20年度までに女性総合職の採用比率を現在の10・6%から倍の21・2%に引き上げる目標を設定。女性管理職候補を倍増させる目標も掲げる。

 現場で活躍する女性技術者が増えつつある中、15年10月には、同社が施工を担当している東京・渋谷駅の南側に超高層ビルなど複数棟を建設する「渋谷駅南街区プロジェクト」の敷地内に、女性が安心して利用できる休憩所を開設した。

 これらの取り組みに加え、同社土木本部ではさらに女性活躍の推進活動を活発化させるため、「TWC(Tokyu Women Civil engineer)」と呼ぶ女性土木技術者で構成する会を設け、社内での勉強会や意見交換会、現場見学会などを行ってきた。

 TWC活動はこれまで、女性土木技術者の配属先が主に都市部の現場や本支店の内勤だったことから、都市部の現場や本社だけで勉強会や意見交換会、現場見学会などを開いてきたが、今月、原沢さんが活躍する今回のトンネル工事現場でTWCを実施した。

 原沢さんは「先輩社員から、今の現場は女性用トイレなどもあって環境面で恵まれていると言われ、女性活躍の場が広がりつつあると感じる。働きやすい現場を作ってくれていることに感謝している」という。今はトンネル工事現場で女性はまだまだ少数派だが、「数が増えれば、さらに環境はよくなっていくと信じている」と期待を込める。

【仕事への熱い思い語る】建設職人甲子園、千葉・幕張で決勝大会開く

 建設業に携わる職人が仕事や業界への熱い思いをプレゼンテーションで競う「建設職人甲子園」の第2回決勝大会が22日、千葉市美浜区の幕張イベントホールで開かれた。

 主催は建設職人甲子園(東京都文京区、小山宗一郎理事長)。15年4月に行われた第1回に続く2年ぶりの大会の優勝者には塗装会社の絆(相模原市緑区、関直人社長)のチームが輝いた。

 建設職人甲子園は、建設業界の発展につながる取り組みや仕事への思いをテーマに、参加企業の社員がチームを組んでプレゼンテーションで勝負を競う。今年は東京、埼玉、神奈川、千葉、栃木、大阪、九州の全国7エリアで地区大会(エントリー数・合計451チーム)を開き、各地区の優勝チームの中から決勝大会に進む2チームが選ばれた。

 大会当日は、社員数744人の土木・建築工事を手掛ける100年企業の向井建設(東京)、創業10年目を迎える社員数12人の外壁塗装専門集団の絆の順にプレゼンテーションを実施。壇上を見つめる観衆を前に、向井建設の職長ら6人が立ち、仕事上で起こした大きな失敗から仲間の励ましで立ち直る過程などから、「絶対品質」を掲げて仲間と共に妥協を許さない施工を守り続けるまでを語った。

  絆は社長をはじめとする8人が立ち、「顧客、地域、仲間」をテーマに、仕事や家庭での失敗と後悔、そこから立ち直り、社会に貢献する人や企業になろうとする決意を熱く語った。

 優勝した絆の関係者は「職人甲子園を通じて、建設業の未来を考える人々と出会えたことは幸せだ。技術を磨き上げるだけでなく、人と人のつながり、絆を大事にしたい。これからも共に学び、共に実践、共に輝くらめ、誇りを持って仕事をしていく」と述べた。