米国では人工知能(AI)記者が記事を書く動きが急速に進んでいるという。天気や企業業績、スポーツの試合結果など定型化しやすい分野では、多少の手直しは必要なものの、人が書く記事とほぼ変わらない仕上がりと聞く▼AI記者出現の背景には、生物の脳神経回路を参考にした「ディープラーニング(深層学習)」と呼ぶ技術の開発と、コンピューターの演算速度の飛躍的向上がある。記事の規則性をAIに学ばせて原稿を自動的に書かせる▼駆け出しの頃、先輩に「文章は簡潔に書け」「同じ言葉を繰り返すな」「大切なことから書け」と記者のイロハをたたき込まれた。注意され過ぎてけんかになったことも一度や二度ではない▼経験から学び身に付いた仕事のやり方が今の自分を成り立たせている。そんな立場からすると、AI記者の登場は便利ではあろうが、手放しで歓迎とはいかない。工場にロボットが導入され、生産ラインが自動化されても人間の感性が必要な工程は残る▼自動生成可能な記事はAI記者に任せ、手間と時間をかけて取材した記事を読者に届ける。それが新しい時代を生き抜く方法だろう。
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