1995年の阪神大震災を契機に本格化したのがGIS(地理情報システム)の活用に向けた取り組み。これまでに推進のための法制度も整備されているが、高校での教育とは必ずしもリンクしないで来たようだ▼89年改定の学習指導要領では、高校で世界史が必修化され、それまで必修だった日本史と地理が選択科目になった。以来四半世紀以上がたって生徒たちの地理への関心は相対的に低くなっているのが現状という▼こうした中で次期学習指導要領を議論してきた中央教育審議会が昨年末、「地理総合」を高校の必修科目にするよう答申した。環境や防災などの地理的課題を学ぶ科目で、GIS活用を教育面から後押しすると期待される▼文部科学省は2017年度に改定指導要領を告示。22年度から移行する予定だが、大きな課題が地理を教える専門教員の不足。一昨年に国土地理院が地理総合の必修化も見据えて「地理教育支援チーム」を設置し、昨年3月に提言をまとめている▼進展著しいGIS技術の恩恵を社会が享受するには産官学が綿密に連携し、GISリテラシー教育を充実させていくことが欠かせない。
国土の開発、保全、適正利用を学ぶには「地理」が最適です。特に昨今の自然災害に対する防災・減災対策への知識は自然環境や社会条件など地理学が得意としてきた総合力で対応できます。特に国土の姿を正しくとらえる地形図は様々な主題の地図を載せる重要なぷらっとフォームになる。津波の襲来、斜面地の崩壊、水害時の浸水など様々な災害を予知するハザードマップ、人口統計を地図化し可視化するセンサスデータマップなど、正しく地域の社会条件の変化の趨勢を捉えるっことが行政のみならず、地域住民にも必要な知識となる。町内の安全を知る上でのヒヤリ・ハット地図のほか、災害時の弱者支援マップの作成など、地図に関するリテラシィーが要求される。新しい必修科目となる「地理総合」ではこうした社会インフラとなったさまざまな地図の正しい理解が必須となる。
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