◇ジーニーズトーキョー・伊藤正顕グランシェフに聞く◇
東京・六本木で開催中の土木展に連動し、東京ミッドタウンにあるフレンチレストランが、実在するダムをモチーフにした「大人のダムカレー」をメニューに加えた。腕を振るったのはジーニーズトーキョー・グランシェフの伊藤正顕氏。ダムが立地する地域の特産品をふんだんに使い、フレンチの手法を生かして3種類のメニューを用意した。期間限定の料理は9月25日まで味わうことができる。
ダムカレーを提供しているのは、フレンチレストラン「グリル&ワイン ジーニーズトーキョー」。東京・銀座の老舗フランス料理店で総料理長を務めた経験もある伊藤シェフは、土木展とのコラボレーションを提案された時、「正直なところ、最初はどうしてうちが、と思った」そうだ。
ただ、これまでにもバレエ公演や絵画展とコラボし、本格フレンチを提供した経験があった。
そこで「ご飯を普通によそってダムカレーを作っても意味がない。フレンチの手法を生かし、地方の郷土料理をアレンジしてメニューを作った」という。
◇旬の食材使いフレンチの手法で◇
6月24日に提供を始めたダムカレーは、北海道の豊平峡ダムをモチーフにした「夏野菜カレー」、長野県の岩倉ダムをイメージした「キノコボルドー風カレー」、愛媛県の大久保山ダムがモチーフの「真鯛フリカッセカレー」の3種類。
生クリームとバターをふんだんに使った欧風のカレールーをベースに、ダムが立地する地域の旬の食材を使って、フレンチとダムカレーを融合させた。
「単純にダムカレーを作ってもそれは二番煎じ、三番煎じ。これまでもいろいろなことにチャレンジしてきたので(ダムカレーも)違和感はなかった」と伊藤シェフ。水に見立てたルーを、ご飯の「堤体」でせき止めるのがダムカレーの基本形。
「見た目先行で作るのに時間がかかると料理が冷めてしまう」ため、ビジュアルを大切にしながら料理が提供できるように工夫を凝らしているという。
フレンチと建設。分野はまったく異なるが「もの」を作るというプロセスは同じ。伊藤シェフは「基本的なルールは大切だが、そこに経験と知識を加えてものを作り上げるのがプロの仕事」と強調。「既存の枠にとらわれがちでイレギュラーを嫌う人が増え、料理の世界も若い人材の確保が難しい」と話す。
普段はダムに行かなければなかなか味わえないダムカレー。この夏は東京・六本木で大人の味を楽しんでみては。
夏野菜ダムカレー
モチーフは札幌市南区にある「豊平峡ダム」。 アーチ形のご飯にカレーを注ぎ、サイドメニューの北海道産野菜はローストで |
キノコボルドー風ダムカレー
長野県売木村にある「岩倉ダム」をモチーフに下カレーは三日月形のご飯で堤体を再現。 長野県産のキノコと豚肉も同じ皿に添えてサーブする |
真鯛フリカッセダムカレー
愛媛県愛南町にある「大久保山ダム」をイメージした台形のご飯が特徴。 サイドメニューの真鯛は切り身をクリームで煮たフランスの家庭料理「フリカッセ」で提供する |
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