十数年前に初めて訪れたトルコ・イスタンブールは、期待を裏切らないとても魅力的な都市であった。事前に少しでも歴史や文化を知ろうと何冊かの本を読んだのを覚えている▼その中の一冊にこう書かれていた。〈トルコには伝統的に『敵性国家』に四方を囲まれているとの感覚があるが、実際に近隣諸国との関係は、つねに不安の材料となっている〉(中沢由美子著『こんなトルコが好き』わらび書房)。今回は“内なる敵”の蜂起であった▼トルコで15日から16日にかけて国軍の一部が起こしたクーデターは、政府が強い姿勢で鎮圧し、国民の多くも政府を支持した。攻防を現地に社員が駐在する企業の関係者や家族は固唾をのんで見守ったことだろう▼トルコでは6月にイスタンブールの国際空港で自爆テロが起きたばかり。クーデターやテロの発生を予測することは難しい。今後も危機管理を徹底するしかない▼そのイスタンブールで開かれていた世界遺産委員会が17日、国立西洋美術館本館などル・コルビュジエが設計した国内外17作品の世界遺産登録を決めた。騒然とするトルコから届いた吉報を喜びたい。
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