五輪後の2022年に予定する馬事公苑再整備の完成イメージ |
馬事公苑が五輪会場になることが決まったのは15年2月。1964年東京五輪の舞台となった施設の数々は既に老朽化が激しい。急転直下の決定を受け、所有者の日本中央競馬会(JRA)は将来的に行う予定だった再整備工事の前倒しを決断した。苑内の敷地面積は18ヘクタールを超え、東側に競技施設エリア、西側に広場・樹木エリアが広がる。再整備工事は五輪を境とした2期に分けて行う計画だ。
第1期工事では、五輪時のメーン会場となる屋外競技場の「メーンアリーナ」、五輪時の大会事務局が入る「メーンオフィス」(3階建て)、屋内競技場の「インドアアリーナ」(同)、馬の診療所や装蹄(てい)所が入る「管理センター」(同)、それぞれ40馬房を備える8棟の厩舎(きゅうしゃ)、2棟の検疫用厩舎など大部分の施設群を整備する。設計は山下設計、施工は大成建設が担当。既存建物群の解体を経て17年6月に新築工事に移り、19年10月末の工事完了を目指す。
メーンアリーナは100メートル×80メートルの広さに拡張し、フェルトを混ぜた国際基準に適合した競技用の砂に入れ替える。五輪競技施設に必要とされる1万4000席以上の観覧席は仮設で設置する方向で東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と協議を進めている。
五輪後に着手する第2期工事では、メーンアリーナに常設の屋根付き観覧席を設置する。2棟の厩舎や馬の育成施設なども増設し、最終的には22年11月に全体工程が完了する予定だ。
競技施設群の整備だけでなく、周辺住民の憩いの場となっている広場・樹木エリアの刷新も計画している。季節ごとに表情を変える樹木や草花を守るため、JRAは苑内の緑の保全に向けた基本方針を策定。既存の樹木を可能な限りそのまま残し、それが難しい場合は敷地の一部に移植することにした。人気の高い桜並木は、新設される「サクラドレッサージュ」と呼ぶエリアに集中的に植える。イベントなどの開催を想定し、以前はなかった原っぱの広場も設けるという。
馬事公苑周辺では、五輪を一つの目標に街並みの魅力向上を目指す動きも顕在化してきた。馬事公苑は鉄道駅からのアクセスが良いとは言えず、各駅の商店街などとの連続性も希薄だ。そこで世田谷区は本年度、馬事公苑周辺の基礎調査に予算を計上。UG都市建築に業務委託し、年度末を目標に街づくり構想の策定に取り組んでいる。
来年度以降はまず、五輪に向けた課題解決に取り組む方針。保坂展人区長は「どれだけの人数の方が、馬事公苑に移動するのかということを把握し、安全を確保しなければいけない。区として表示サインなど必要な整備を総合的に計画して準備する」と話している。
五輪後には馬事公苑と周辺の街並みの共存によるにぎわいの創出や観光の促進が求められそうだ。毎年夏に開かれる「世田谷区民まつり」に2日間で30万人が来場するなど区民から愛される馬事公苑が、五輪のレガシーとしてさらに魅力的な場所となることを多くの人々が待ち望んでいる。
馬事公苑が現状でいかに自然の変化に富んだ美しい公園であり、周辺住民のかけがえの無い癒しの場になってきたか,ご存知の無い方は「レガシーとして・・・」とおっしゃるが、あの建設計画は自然破壊。残念の一言だ。 今、閉ざされてしまった門の前に立ち、改めてこの公園の自然環境には本当にお世話になってきた・・・とつくづく思う。 この都会の真ん中で、失われ行く自然は二度と取り戻せない。
返信削除もう遅いのは、分かっているけど、言わずにはいられない。住宅地の中に貴重な自然があり、区民の憩いの場であった馬事公苑。現在は、伐採される多くの木にピンクの紐がつけられているのが、見られます。周辺住民の意に反する自然破壊。。
返信削除日本人は、これからの子どもたちに何を残していきたいのでしょうか。70年以上愛されてきた公園を破壊してしまったこと、悔いが残ります。
完成パースはどれも緑が覆い茂った魅力的な公苑ですが、この状態になるには何十年かかるのでしょうか?
返信削除現在ある樹木の半分以上が切られる計画のため、再び開園する頃には苗木だらけです。
JRAは倒木の可能性のある樹木だけを切ると言っていますが、本当にそんなに切る必要があるとは思えません。
砧公園
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削除馬事公苑
返信削除関戸優希、田中日奈子
返信削除羽田奈央
返信削除馬事公苑
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