2017年1月30日月曜日

【建設業の心温まる物語】美馬建設・藤本佳広さん(徳島県)

 ◇ついていかんけん、はよ帰ってきてよ◇

 吉野川沿いの堤防際で、県道の新設工事を行っていた時のことです。その日の工事が終わり自宅に帰りました。すると台風の接近による大雨で、テレビでは河川氾濫、浸水被害に注意せよ、とのニュースが流れていました。現在施工している工事現場もその範囲に入っています。

 私は浸水対策をして現場を後にしたつもりでしたが、あまりの雨の強さに心配になりました。そしてもう一度現場を確認するため、深夜0時ころ、妻に「もう一度現場に行って確実に浸水対策ができているか確認してくる」と伝え家を出ようとしました。

 すると寝ていたはずの当時7歳の次男が起きてきて、泣きそうな表情で「父さんどこ行くん?」と聞いてきました。私が「仕事しよる現場見てくるわ」と言うと、次男は「僕もついていく」と言います。私は次男を危険な現場に連れていくつもりはなく、「父さんはすぐに帰ってくるから、家で待っていて」と何度もついてこないようになだめました。すると最後に次男は泣きながら「ついていかんけん、はよ帰ってきてよ。父さんおらんようになったら、いやじゃ」と言いました。

 この言葉を聞いて、改めて安全に注意して無事故で家に帰ることが家族にとって本当に大事なことだと気づかされました。そして、同時に社員にも家族がいるので、社員全員を無事家に帰してあげることが自分の責任だと感じました。

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