2016年4月28日木曜日

【エスパイバルサって知ってる、のおまけ】ニュー・カンプ・ノウってどうやって造るの?、の答え



 FCバルセロナ(FCB)が計画している「カンプ・ノウ」の大規模改修で、2017~18年シーズンから始まる建設工事の工程イメージが明らかになった。

 工事はまず、ピッチの芝を剥がして1階部分の座席を撤去してすべて新設する。その後、既存スタジアムの外側に新たな外殻やエントランスを構築。ゴール裏の3階席を増設するための構造体を造り、最上階の座席を整備する。

 次ぎにメーンスタンドにある既設の屋根を取り外しながらメーンスタンドとバックスタンドの外殻構造体を造り、完成したらメーンスタンドに3階席を新設する。新しい3階席が出来上がった後、その最上部を土台に屋根を架ける準備作業を行い、最後に座席全面に屋根を架けていく。

 FCBは大規模工事の進行に当たり、プロジェクト管理に万全を期すためBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)など最新技術をフル活用する考えを明らかにしている。

 設計を担当するのは、日建設計とジョアン・パスクアル-ラモン・アウシオ建築設計。日建設計の勝矢武之氏がプロジェクトの指揮を執る。FCBは設計者のコメントも動画で公表。興味のある方はエスパイバルサHPにアクセスを。
ニュー・カンプ・ノウの完成イメージ © FCB

【BIMの課題と可能性・111】BIMと連動する積算システム・2

主に実施設計段階での精(積)算を行う建築数量積算・見積書作成システム「NCS/HELIOS(ヘリオス)」(日積サーベイ製)とBIMとのデジタル連携の「実際」を検証する。



続きはHP

【早期復旧は困難】テックフォースら調査の熊本・白川橋、「時計回り」にずれ

 国土交通省のテックフォース(緊急災害対策派遣隊)と国土技術政策総合研究所(国総研)、土木研究所の3者で組織する調査チームが27日、熊本県を中心に続く地震で被災し通行止めとなっている主要地方道熊本停車場線の白川橋(アーチ橋、延長149メートル)の損傷調査を行い、早期の復旧は困難と判断した。

 今後、調査を要請した熊本市により詳細なデータの提供を求め、それに基づき復旧方法などを判断する。調査では橋桁が右岸の橋台(A1)で上流側に10センチほどずれているのに加え、中間橋脚(P1)でも下流側に5センチほどずれ、時計回りに動いていたことを確認した。

 中間橋脚は河川内にあって調査ができなかったため、調査チームは市に対し橋梁点検車などを使用した近接目視によるより詳細なデータの提供を求めた。

 アーチ橋の部材で塗装片が落ちていることも確認され、これについてもクラックの状況など詳細なデータ提供を要請した。

 市は今後、コンサルタントに委託してデータ提供に必要な調査を早急に行うとしている。1級河川の白川に架かる白川橋は熊本駅と熊本市東部を結ぶ主要な幹線道路の一部。復旧の本格化に備え、早期の通行再開が求められている。

【回転窓】慣れと油断

とある取材先で、爆破予告騒ぎがあった。その日も訪れていたのだが、まったく気付かず、後からホームページを見て騒動を知った▼安全点検を行ったところ異常は見つからず、予告時間は無事に過ぎ去ったという。予告が本当なら人命に関わる。愉快犯だとしたら、警備体制の強化は無駄に終わる。施設管理者らの心労は相当なものだったろう。「何もなかったから良かった」とは取材先の方の弁▼そうした場に出くわしたのはこの1年で2度目。知らないだけで本当はもっと多いのかもしれない。われながら不思議なのは、大きな焦りや恐怖が沸き上がってこないこと。「どうせウソだろう」と高をくくっている自分がいる▼紛争地域を旅した際、鳴り響く銃声を聞いた。驚いて周りの人に話し掛けると、返ってきた言葉は「ノープロブレム」。もはや問題にならないほどに暮らしに溶け込んでいた▼いちいち気にしていたら精神的に参ってしまうことも分かる。「慣れ」とは耐性でもあろう。だが麻痺(まひ)や油断という側面も伴う。不幸な事件・事故を防ぐための立ち回り方の難しさをあらためて感じた一日だった。

【東北13ダムが一斉放流】GW時期に合わせ、夜間のライトアップも

東北地方整備局が管理する13のダムが4月末から5月上旬にかけて一斉に河川への放流を行う。

 建設中の津軽ダム(青森県西目屋村)では試験湛水作業の一環で18日から放流を行っている。

 湯田ダム(岩手県西和賀町)では雪解け水で増水したダムの水を放流する。まだ桜が見頃の地区もあり、お花見と合わせ迫力ある放流の様子を間近に見ることのできる貴重な機会となる。

 ゴールデンウイークに観光客を呼び込む取り組みの一環で、浅瀬石川、四十四田、胆沢、玉川、月山の5ダムでは夜間にダムをライトアップしている。

 放流の日程は次の通り。

 ▽青森県=津軽ダム(4月18日から放流実施中)、浅瀬石川ダム(4月27、29日に放流実施予定)

 ▽岩手県=胆沢ダム(4月4日から放流実施中)、四十四田ダム(4月23日に放流実施)、御所ダム(同)、湯田ダム(4月29日に放流実施予定)

 ▽宮城県=七ケ宿ダム(4月22日から放流実施中)、鳴子ダム(5月2~5日に放流実施)

 ▽秋田県=森吉山ダム(4月2日から放流実施中)、玉川ダム(5月14日に放流実施予定)

 ▽山形県=白川ダム(3月31日から放流実施中)、長井ダム(4月1日から放流実施中)、月山ダム(4月7日から放流実施中)。

2016年4月27日水曜日

【新アトラクション続々】TDL・TDSの施設開発計画発表!!

ファンタジーランド新エリアの全景イメージ  © Disney
 オリエンタルランドが27日、2020年度までの東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)の施設開発計画を発表した。

 TDLは、トゥモローランドのグランドサーキット・レースウェイなどを取り壊し、ファンタジーランドの新エリアとして「美女と野獣エリア(仮称)」を新設。隣接するトゥモローランドとトゥーンタウンに新アトラクションや新しいキャラクターグリーティング施設を設ける。設備投資額は750億円を見込む。
ソリアンの体験シーンイメージ © Disney
 TDSはメディテレーニアンハーバーにシミュレーションタイプの新アトラクション「ソアリン(仮称)」が登場する。歴史を感じさせる建物の中で、ライドに乗って世界中を旅する内容で、2019年度の稼働を予定。180億円の投資を計画している。

 2021年度以降の開発計画も検討中。TDLは「七つのテーマランドすべてを開発対象に、エリア規模で順次刷新を行う」という。TDSは拡張用地を活用した大規模なパーク開発を実施する考えだという。
美女と野獣エリアのアトラクション体験シーンイメージ © Disney
 TDLの美女と野獣エリアは大型アトラクション、ショップ、レストランを各1施設整備する。アトラクションの導入時期は2020年春、設備投資額は320億円を見込む。ファンタジーランドの新エリアにはTDL初の本格的な屋内シアターもお目見えする。定員は1500人。2020年春の開業に向け、170億円を投資する。
ライブエンターテイメントシアターの内観イメージ © Disney
 トゥモローランドには人気映画・ベイマックスをテーマにしたライドアトラクションが登場。トゥーンタウンのキャラクターグリーティング施設はミニーマウスが主役で、フォトスタジオで一緒に写真を撮ることができるという。両施設とも導入時期は2020年春になるという。

【さすが森林大国】スウェーデンで大型木造建築続々/木造専門デベも登場

ストランドバーケンには2棟の大型木造建築が完成している
 国土の7割が森に覆われている北欧の森林大国スウェーデン。伝統的に木造住宅が親しまれてきた同国で、近年は大型の木造建築が次々に登場している。公共建築にとどまらず民間企業が開発する中層集合住宅にも木造物件が生まれている。製材や建築の技術革新を背景に、日本より一足先に環境負荷が小さいとされる木造建築を消費者が選択できる時代を迎えつつあるようだ。

 スウェーデン大使館が主催する森林をテーマにしたイベントの一環で、木造建築の最新事例を紹介するシンポジウムが3月に東京都内で開かれた。スウェーデン建築家協会と日本建築家協会(JIA、芦原太郎会長)が共催し、両国の専門家らが意見を交わした。

 スウェーデンは世界3位の製材輸出国で、林業が成長産業の一つと位置付けられている。1903年に制定された森林法で伐採量の規制と伐採後の植林義務が定められ、収益性と環境保護が両立する持続可能な林業を目指している。木材需要のさらなる拡大に向けて期待されるのが建材分野。イベントに合わせて来日したブクト農務相は「持続可能で革新的な建材である木材を使った建築の拡大は、政府が最も力を入れる政策の一つだ」と強調した。

2025年着工を目指すストックホルム市内の20階建て複合施設
同国では94年から木造建築の大型化が認められ、現在は耐火性能を満たせば階数制限はない。業界団体のデータでは、新しく建てられる集合住宅の10~15%が木造。民間による木造建築が増える中、2013年に完全木造では世界最高層とされる8階建て集合住宅「ストランドパーケン」を開発したフォルクヘムは象徴的な存在だ。

 同社は約10年前に、開発物件をすべて木造にすることを決断。アルネ・オルソン最高経営責任者(CEO)は「当社のような中小規模のデベロッパーは特色を出すことが必要だった」と明かす。さらに決断を後押ししたのは「CLT(直交集成板)の普及」(オルソンCEO)だったようだ。

 事業成功の背景にはマーケットの成熟がある。ストランドパーケンが立地する首都近郊のスンドビュベリ市は、都心へのアクセスに優れ、緑が多く暮らしやすいと人気のエリア。環境問題に関心が高く、デザインや暮らし方にこだわりを持つ中間層へ訴求したことに加え、一般的な住宅と比べて見劣りしない価格設定が受け入れられたという。

 

 施工も担うフォルクヘムは、生産システムを徹底して効率化。生産地に近い同国北部の工場で約8割の部材をプレハブ化した。現場では冬の厳しい環境に左右されないようテント内で組み立てを行い、RC造の約半分という短工期を実現している。

 メンテナンスの負担を小さくするため、板ぶきの外壁と屋根にはスギの無垢(むく)材を使用する。経年による色の変化で魅力を生み出すことも狙いだ。設計を担当したヴィンゴード・アルシテクツのアンナ・ヘーグルンド氏は「外装は欧州で多数の実績があるカナダ産を採用したが、将来的には国産材を使いたい」と話す。

 同社は25年までの間に20階建てを含む18件の物件を計画中だ。オルソンCEOは、環境面に加えて香りのよさや防音性、健康効果、ライフサイクルコストなど木造の多様な利点をPRしていくとした上で、「民間による木造化の拡大には政策的なインセンティブも必要だ」と訴えた。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/「下請負代金直払い」に反発

総合建設業者が公正取引委員会の発表した下請代金直払い拡大方策に対し、14日に嘆願書を出して強く反発している。大韓建設協会は代金未払い問題を解消できないなど「得るものはなく、失うものしかない制度だ」として撤回するよう要望した。

 同協会は嘆願書の中で、△建設現場で発生する建設労働者とリース業者などに対する未払いの80%以上が下請業者との取引で発生している。

 これに対する対策が抜け落ちている△下請業者に対する代金支払い保証制度の義務化により、公共工事で禁止が100%担保されている状況では、直払いを拡大する必要はない△規制緩和の基調に逆行する△工事現場管理の非効率と行政関係事務の負担増により、市場の混乱と副作用が憂慮される△違憲の恐れがある-と指摘した。
 (CNEWS 4月15日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ホイアン市と那覇市、エコシティプロで連携

 中部クアンナム省の古都ホイアン市は、那覇市とエコシティー実現支援プロジェクトの第3期事業を実施することで合意した。

 国内有数の観光都市であるホイアンは、環境に配慮した都市整備を長期目標に掲げており、エコツーリズム実現に向けて那覇市の支援を受けている。

 エコシティー実現支援プロジェクトは、下水処理やごみ分別など環境政策に関連する知識や経験の移転を目的に12年から実施されている。第3期では、日本政府が112億ドン(約50万ドル)を供与し、ホイアン市職員への教育などに取り組む。実施期間は18年まで。

 ユネスコの世界遺産に登録されているホイアン市では、日本の国際協力機構(JICA)の支援により下水処理施設の建設も進められている。事業費1120万ドルの施設は17年に運転を開始する予定だ。

 (セイ・ズン 4月19日)

【回転窓】心と体をほぐす

東日本大震災が起きてから約1カ月後。多くの被災者が不自由な生活を余儀なくされていた避難所で、整体師のTさんはマッサージのボランティアをしていた▼そこでいつも笑顔を絶やさない年輩の男性が気になり、「マッサージをどうですか」と何度も声を掛けた。だが、「俺は大丈夫」と言って断られてしまう。明るく気丈に振る舞ってはいたものの、明らかに疲労困憊と分かった▼Tさんがようやく本人の了解を得て施術に入ると、男性は津波で奥さんを亡くし、それから眠れない日々が続いていると話してくれた。心と体の緊張が少しほぐれたのか、その場で男性は気を失ったように深い眠りについたという▼14日から熊本県を中心に続く地震の被災地にも、多くのボランティアが駆け付けている。整体師の菅原卓哉さんもその一人。自ら営む整骨院は地震で閉鎖となったが、避難所生活の疲労軽減に役立ちたいとマッサージを行っている。通信社の配信記事(23日)で知った▼地震発生から2週間。復旧に携わる人たちも疲労の色を隠せない時期であろう。体調と作業に細心の注意を払い、どうぞご安全に。

2016年4月26日火曜日

【そうだ、ダムに行こう…】GWに向けインフラツアー目白押し、行ってみてみて

立山カルデラ砂防体験見学会の様子

ダムや水路といった土木施設をめぐる「インフラツーリズム」で、5月の大型連休に向け行政や民間がさまざまな企画を用意している。

 国土交通省は、1月に開設したインフラツーリズムポータルサイトのツアー情報を4月25日に更新。全国で予定されている269件のイベント内容を一挙に発信している。

 サイトには東北や関東など各地方でいち押しのツアーを紹介する「インフラツーツアーパネル」を用意。津軽ダム(青森県)や外郭放水路(埼玉県)、明石海峡大橋(兵庫県)といったすでにお馴染みの構造物から穴場施設まで、都道府県ごとの注目ポイントがひと目で分かるという優れものだ。

春本番の新緑が目にまぶしい時期。きれいな景色と雄大な土木施設をめでながら、各地の名物料理に舌鼓を打つ。

 家族や恋人、友人と一緒に繰り出すも良し、お一人様でじっくり攻めるも良し。思い思いのスタイルでインフラツアーをお楽しみ下さいませ。

 ポータルサイトでツアー情報を確認して、GWはぜひぜひ、お近くあるいは遠方の土木施設に出掛けてみよう。

【熊本地震】避難所の環境改善、建築家の坂茂氏と県市が連携


 ◇国も仮設住宅の整備支援◇

 熊本県を中心に続く地震で避難生活を強いられている住民への支援の一環で、避難所の環境改善や応急仮設住宅の整備に向けた動きが本格化してきた。

 建築家の坂茂氏(写真中央)が東日本大震災の際に考案した紙管とカーテン布を使った「避難所用間仕切りシステム」を熊本市内の小学校の体育館に24日に導入した。

 県と市は引き続き坂氏の協力を得ながら他の避難所にも同システムを積極活用する。仮設住宅の仕様検討や整備の進め方などでも国を含めて連携を強化していく方針だ。

 熊本県内では14日から続く地震による住家被害は全壊、半壊、一部破損を合わせて1万棟以上に達する。24日時点で600カ所の36市町村が避難所を開設しており、避難者数は約6万人に上る。

 最初の地震発生から10日以上が経過し、避難所や車中で寝泊まりする市民の健康被害のほか、プライバシーが確保できない集団生活による精神的なストレスなど、避難先の生活環境の改善が大きな課題になっている。

 熊本市内の避難所で坂氏の間仕切りシステムを導入したのは市立帯山西小学校の体育館。余震が続いて危険と判断して一時閉鎖した体育館の安全性を確認し、避難所として再開するに当たり、避難者のプライバシーの確保のために紙と布で仕切った個室を簡単に素早く作れる同システムが採用された。

 24日に行われた体育館での設営作業を視察した蒲島郁夫熊本県知事は「間仕切りシステムにより、ストレスなどで避難者が受けている痛みを最小化できる。

 今後の快適な避難所のモデルになるだろう」と強調。大西一史熊本市長は「体制が整ったところから、被災者のニーズ調査を踏まえて間仕切りシステムを積極的に導入していきたい」との考えを示した。

 坂氏は同システムの使用に関する協定を1月に締結した大分県が熊本県側にシステム使用を働き掛けた経緯を踏まえ、「自治体など関係者間の連携がうまくつながり、初動期としては東日本大震災に比べて避難者の方々の生活を改善する良い形ができた」と説明した。

 次に取り組む仮設住宅の整備については「従来の平屋タイプだけでなく、住み続けたいと思えるほど気持ちがよく、快適な仮設住宅を早く用意する必要がある」と訴えた。

 県は東日本大震災当時の岩手県の例を参考に、県全域で2200戸の仮設住宅が必要になると試算。先行して西原村に50戸を建設する計画だ。

 国土交通省は岩手、宮城、福島3県と都市再生機構の協力を得て、仮設住宅の建設関連業務を支援する職員8人を熊本県庁に25日に派遣した。今後さらに増員を検討し、避難者が少しでも安心して生活できる住環境の創出に取り組む。

【記者手帖】軽量化で長寿命に

 入社から2年半の間に体重が20キロ程度増加した。「記者は知力と体力が勝負だ」と言い張り、炭水化物や甘味を多く摂取したのが災いし、少し走るだけで息切れしたり、広がった身幅を考慮せずに歩いて壁にぶつかったり、何かと弊害も出てきた◆先日、軽量盛り土の工事を取材した際、コンサルタントの方が「人が太ると、重さで膝の関節を傷めるなどしてボルトを埋め込んで支える場合がある。しかし年を取るといざやせようと思ってもなかなかやせられない。盛り土も同様で、大量の土を盛ればその重量を支えるためにボルトなどを打ち込む必要が生じ、年月がたつともろくなる」と教えてくれた◆現場の状況などにもよるが、軽量盛り土は軽い分、従来工法より環境負荷が少なく、長寿命化も見込めるという。人間もそれと同じで、体が軽ければ病気やけがのリスクを軽減でき、長寿命につながる。自分の体形を想像しながら、説明が身に染みた◆年を取って新陳代謝が悪くなる前に手を打つべく、本年度は継続的な運動を行い、心も体も軽やかに、記者としての機動性も高めていきたい。(沖)

【ひと】東北地方整備局磐城国道事務所長・松田和香氏


 ◇未来につながる道の提供を◇

 震災復興の進み具合は地域によって異なる。道路の整備効果も各地域が一様とはなかなかいかない。磐城国道事務所が主に管轄する福島県浜通りは、復興の進ちょく状況を見る限り地域差が顕著なところだ。

 事務所長として「地域ごとの事情や要望に沿った仕事をしなくてはならない。事務所職員や現場が力を発揮しやすい環境を整え、復興の支えとなりたい」と抱負を語る。

 管内の大きな話題は、本年度内の相馬福島道路・阿武隈東道路の開通。「中通りと浜通りを磐越自動車道に続いて連絡する復興支援道路の第一歩。長い時間がかかっても人々の暮らしを豊かに変えていける、未来につながる道を提供したい」。

 東北勤務は初めてながら、東北人であるだけに心は地域に根ざしている。

 社会工学の学者を目指していたものの、国土技術政策総合研究所(国総研)から四国地方整備局への配属が転機となり、「道路整備を通じての地域づくり、その土地の人々と対話できる仕事から離れられなくなった」という。

 (まつだ・わか)03年4月筑波大大学院博士課程社会工学研究科修了、国総研入所。07年4月から12年3月まで四国整備局香川国道事務所道路調査課長、同局道路部地域道路課長、同道路計画課長を歴任。総合政策局総務課企画専門官を経て4月1日付で現職。四国から郷里の秋田県まで車を運転して帰省したことも。

【回転窓】せいしょこさんのさしたこつ

賤ケ岳七本槍の一人として豊臣秀吉に仕え、関ケ原の戦い後には肥後国一国を与えられて熊本藩主となった加藤清正▼築城の名手ともいわれ、治山治水や新田開発にも手腕を発揮した。その功績は現在でも「せいしょこさんのさしたこつ(清正公のなさったこと)」として地元に語り継がれている▼先週、今回の地震で甚大な被害を受けた熊本に取材に入った。市内から車で30分ほどの距離にある益城町は、相次ぐ揺れで多くの家屋やインフラが損壊。それを写真に撮りながら、その場で何もできない自分が無力で情けなく思えてならなかった▼熊本市内から空港に戻る時、現地を案内してくれたタクシーの運転手さんから「どうしても見てほしい」と頼まれ、ある農業遺産に立ち寄った。それは「鼻ぐり井手」と呼ばれる用水路。今から400年ほど前に清正が造ったものという▼当時の人たちが堅い岩盤をのみで彫り込み、下部に穴が開いた仕切り壁を水路に造り上げた。訪れる人は決して多くない用水路に案内してくれた運転手さんはきっと、清正の魂は今も熊本の至る所に残っていると教えたかったのだろう。

2016年4月25日月曜日

【熊本地震】発生から10日、状況把握と応急復旧に全力(撮影は4月20~22日)

 ◇官民の総力結集し対応急ぐ◇

 最大震度7を記録した熊本地震の発生から10日余り。被災地では余震が昼夜を問わずに続き、多くの人が不安を抱えながら、避難生活を余儀なくされている。熊本県や国土交通省といった行政機関は行方不明者の捜索や被災状況の把握などに対応。地元業者を中心に建設業界もインフラの応急復旧に取り組むなど、官民の総力を結集し、大きな災害と正面から向き合っている。

九州自動車道では早期開通に向け被害個所の復旧が24時間体制で続く。
写真は益城熊本空港IC~嘉島JCT間にある「益城バス停」付近で進む盛り土のり面復旧作業の様子
(4月22日、熊本県益城町)
熊本県には全国のテックフォースが集結。
写真は九州整備局に到着した内閣府沖縄総合事務所の派遣隊
(4月21日、福岡市博多区)

九州自動車道御船~松橋IC間では崩落した
府領第一橋の撤去が完了した
(4月20日、熊本県甲佐町)
応急対応のため被災地に入った中国整備局のテックフォース
(4月20日、熊本県益城町)
地元の建設会社が中心となり、被災した道路などの応急復旧に当たっている
(4月20日、熊本県益城町)
石井啓一国交相に緊急要望書を手渡す藤原忠彦宣告町村会長㊥
と荒木泰臣熊本県町村会長㊨
早期のインフラ復旧と仮設住宅建設で全面支援をもとめた

【回転窓】私欲を捨てる

古代の南イタリアにシュバリスという町があり、3世紀ごろ繁栄を極め、贅を尽くしたという。その遊惰は馬にダンスを教えるほどだった。だが、隣国と戦争になった時、敵が笛を吹き始めると馬が暴れて戦いにならず、町は滅んだ▼大きな災害を経験するたびに思うことがある。被災した方々の悲しみや不自由な生活を見るにつけ、自分たちの生活は今のままでよいのか、と▼東日本大震災が起きた時、当時の石原慎太郎東京都知事が「自動販売機が並んでいるバカな国は(日本以外)世界中にない。便利かもしれないが自分の家で冷やせばいい」と発言した。原発事故で電力需給が心配された時だけに、人々の注目を集めた▼自分たちの生活をあらためて見てみると、便利さを求めるあまり、その欲が度を越しているのではと思うことがある。豊かさを求める欲望は新たな技術革新を生み、多くの恩恵をもたらすため、決して否定はしない。ただ、私欲を満たすものだけに偏っていなかったかと▼熊本地震で今も避難生活を続ける被災者の方々に思いを馳せながら、自分に何ができるかをあらためて考えてみたい。

【アオサギの翼が印象的】建コン協フォト大賞の受賞作決定!!

 建設コンサルタンツ協会(建コン協、長谷川伸一会長)は、第7回「建コンフォト大賞」の受賞者を発表した。

 最優秀賞には大谷繁一さん(福井県)が福井県永平寺町を流れる九頭竜川にある鳴鹿大堰の魚道を撮影した「そろい踏み」と題した作品が選ばれた=写真。

 階段状魚道の各段で遡上(そじょう)するアユを待ち構える8羽のアオサギと、背後の暗い壁面をバックに舞い降りるアオサギの白い翼が印象的な作品。

 フォト大賞は、建設コンサルタントの仕事への興味・関心を高めてもらおうと毎年実施している。

 今回は全国の幅広い年齢層から312点の応募があり、伊藤清忠東京学芸大名誉教授が委員長を務める審査委員会が計13点の入賞作品を選んだ。

 入選作品を集めた展覧会は東京・六本木の富士フイルムフォトサロン東京(フジフイルム・スクエア内)で開く(日時は未定)。

【凜】三機工業東京支社営業3部・香川由梨佳さん


 ◇職場を引っ張る存在になりたい◇

 産業空調の設計の仕事を3年経験した後、営業に転属。現在の部署で2年目となる。もともと設計志望だっただけに、慣れない部署で奮闘する毎日だ。

 「設計とは仕事の進め方が根本的に違うため、戸惑う」というのが営業についての第一印象だった。設計部時代は社外の人と話す機会が少なかったが、「あいさつ回りなどで関わる人の数が圧倒的に増えた」。

 一方で、まったく違う部署に転属したことで気付いたことも多いという。「顧客が本当に困っていることを解決するには、設計だけでなく営業や現場の知識が不可欠」。営業では特に「コストの面で学べることが多い」と実感している。

 社の方針で、営業を複数年経験した後、再び設計に戻る予定だ。「今の経験が設計でも生かせることを信じて食らいついていきたい」と知識の吸収に貪欲な姿勢を見せる。

 大学では空調設備関係の研究室にいたため、空調に関する仕事に就くことを目指して就職活動をした。建設関係の企業は厳しい人が多いと思っていたが、「OG訪問をした時に、仕事内容や社風を詳しく聞けた」ことがきっかけでこの会社を選んだ。

 将来の目標は「結婚をしても定年まで仕事を続けていく」こと。与えられた環境で自分の力を100%発揮していくためにも、「たくさんの経験を積んで、職場を引っ張っていけるような人になりたい」と前を向いて仕事に励む。

 (営業2課、かがわ・ゆりか)

【中堅世代】それぞれの建設業・134

建設現場で増える外国人。受け入れ側の準備や覚悟も必要に
 ◇日本人も外国人も関係ない◇

 外国人技能実習生にも「サムライ」の魂を感じた-。

 30代後半という若さで水道工事会社の社長を務める中村伸一さん(仮名)。都心部での工事が中心で仕事の量も多く、その分、つらいことや大変なことも多い。ご多分に漏れず、若手技能者の入職減少や早期離職が悩みの種だ。

 建設業界で人手不足の問題が顕在化してからはや数年が過ぎる。水道工事業界も例外ではなく、技能者を集めるのに苦労が絶えない。「一日二日働いただけでは職人の仕事は覚えられない。最低でも3年間はみっちり下働きをすることが必要で、その後も自分で技術を磨いていく必要がある。だからこそやりがいがあると思うが、若者には受け入れ難いのかもしれない」。

 中村さんの会社が外国人技能実習制度を活用して東南アジアから一人の若者を受け入れたのは1年前。「言葉が通じなければ、完全な意思疎通はできない。育ってきた環境も違う。日本人が美徳とする『職人気質』を理解できるとは思えない」と最初は受け入れに否定的だった。何より「日本人の若い技能者を育てて後世に残したい」という思いが強かった。しかし、仕事の量は増す一方。背に腹は代えられず、受け入れを決めた。

 不安を抱えたまま迎えた仕事初日。それまでの考え方をすぐに覆されることになった。「分からないことを、覚えたての日本語で何でも聞いてくる。できないことがあれば何度でも挑戦する。現場の誰よりも熱心だった」。故郷から遠く離れた外国の地で頑張る姿に「かつての侍もこんな風だったのでは」と感じた。

 数カ月がたったある日、浮かない表情をした彼に話し掛けるとホームシックになっていた。「地方から出てきた日本の若者と何も変わらないじゃないか」。そう思った中村さんは、周囲の仕事仲間も含めて彼を頻繁に食事に誘うようになった。日本人と同じように接するようになってから「家族が増えたような感じがする」と話す。

 外国から来る実習生の中には、途中で仕事を投げ出して行方が分からなくなる人もいる。しかし中村さんは「きっと、最初から逃げようと思っている人はほとんどいない」と見る。「周囲が気遣ってやり、コミュニケーションを積極的に取ることで良好な関係を築ける。そうすれば、仕事にも自然と熱が入るはずだ」。

 建設現場の外国人技能者は増えている。不足する人手を補うのに技能実習制度が役立っていることも認めるが、「日本人の若者の入職を増やす努力も怠ってはいけない」というのが中村さんの考え方だ。「『時代は変わった』とか『今の若者に泥臭い仕事は合わない』とかは言い訳。本物の職人を育てるためにどうすればいいか、もっと本気で考えるべきだ」。自分に言い聞かせるようにそう話す。

 「日本人も外国人も関係なく、現場で責任ある立場の人間が本気で相手に呼び掛ければ必ず反応が返ってくる。その繰り返しを大事にすることで、若者も仕事を続けようと思うし、関係も深くなっていく」。

 「給料を上げてやるのには限界があるが、うまい酒や食事ならいくらでも付き合ってやれるよ」と笑う。国内外問わず若者と向き合うことで「家族」を増やしていくのが今の夢だ。

【サークル】清水建設バレーボール同好会・ギロロ


 ◇継続の秘訣は「和気あいあい」◇

 08年に発足した清水建設のバレーボール同好会「ギロロ」。バレーボール好きの社員の呼び掛けに応じて35人(2月現在)が集まり、活動している。設計、営業、企画、東京木工場、グループ会社などと所属部署も幅広いのが特徴だ。

 活動のモットーは「和気あいあい」。発足当初は、メンバー全員が下手で、サーブは入らない、ラリーも続かないといった状態だったという。毎月1回、東京・中央区の小学校の体育館を借りて活動を続けるうち、徐々にさまになっていった。

 試合は、活動日に集まったメンバーを6人ずつに分けてチームを作り、総当たり戦で行っている。試合中も笑いが絶えないのが魅力の一つで、全員が楽んでプレーしているのが、活動を継続できている秘訣(ひけつ)とも言える。

 「グループ会社にも参加してもらい、活動を強化してきた。さらにメンバーを増やしてグループ会社対抗戦をやってみたい」と意欲を見せるのは代表の井手勇人さん(東京木工場長)。2月で活動60回目を迎え、節目となる100回目には記念大会としてイベントを開催する予定だ。

 5月14日から、リオデジャネイロ五輪出場を懸けたバレーボール世界最終予選が始まる。日本代表とまではいかないが、情熱と愛情を持ってバレーを続けていくという。

【駆け出しのころ】佐藤工業執行役員建築事業本部長・伊藤隆実氏

 ◇主体的に動けば楽しさも増す◇

 入社してすぐ、東京支店の建築現場に配属されました。そこで建物が形になっていくことの迫力と喜びを知り、現場がすっかり好きになりました。

 現場で一日の作業を終えると、ノートの見開き2ページ分に業務リポートを書くのですが、これが結構大変だったのを覚えています。現在もこうした業務リポートを書く新人研修は続いており、私たちがその第1期生でした。

 新人であっても、現場に出れば職人から「これはどうするのか」などと聞かれます。最初のころはとにかく何か答えなければと思い、よく確認もせずにただ勢いだけで指示を出していました。当然、手戻りがかなり発生し、現場には迷惑を掛けてしまいました。

 新人時代にはこんなこともありました。マンションの建設現場で一日の最後に行う業務は、全室の窓が閉まっているかどうかの確認です。職人に「作業が終わったら締めておいて」と頼んでいたのですが、ある日曜の夜、大雨が降ってきたんです。窓が閉まっているかどうかがとにかく気になり、夜に一人で現場へ行き、全室を見て回ったことがありました。今振り返ると、これが現場に対する責任感と愛着が芽生えた時だったかもしれません。

 二つの現場で続けてご一緒した所長は、私が結婚する時に媒酌人も務めて下さりました。豪快ですが細かなことを気にされる方で、現場ではいろいろなことを「あれは大丈夫か」と何回も確認されていました。社内で「利益を出せる所長」と言われていた方であり、無駄なことを嫌っていたのだと思います。

 ある日、その所長が持っていた実施予算書を内緒でコピーさせてもらったことがありました。いつか自分が所長になった時、現場運営の参考にしようと考えたのです。後に自分も同じ所長の立場になると、無駄についている電気を消すなど、それまで意識していなかったことが気になったものです。実際に見たかどうかは覚えていませんが、かつてコピーした予算書は事務所の机の中に入れて持っていました。

 社内でもよく言っているのですが、指示を待って動くのではなく、主体的に考えて動くことが大切です。自ら能動的に関わるほど現場は応えてくれますし、楽しさも増すものです。

 私が所長だったころ、一番に気持ちが高揚したのは「次はこの現場を頼む」と言われて新しい図面を受け取った時でした。これからどう造るかを考えるのは楽しく、真っ白なキャンバスに初めて筆を入れるような爽快さを感じたものです。若い人たちにも伝えたいことです。

 (いとう・たかみ)1982年早大理工学部建築学科卒、佐藤工業入社。シンガポール支店建築工事部長、建築事業本部建築事業企画部長、執行役員建築事業本部長兼建築事業企画部長などを経て、16年2月に同建築事業本部長兼建築海外事業部長(現職)。石川県出身、57歳。

所長として工事に携わった建物の前で(写真中央が本人)

2016年4月22日金曜日

【回転窓】M&A成功のカギは

 海外企業に対する日本企業のM&A(合併・買収)が、民間機関の調査で件数、金額とも過去最高を更新したそうだ。建設分野でも、昨年末に日建設計、4月に日本工営が海外の建築設計事務所を買収したのは記憶に新しい▼M&Aを積極展開する米国の大手建設コンサルタント会社の幹部によると、M&Aの魅力は各国の景気や市場の変化に影響を受けない安定した経営体制を築けることだという▼例えば経済が低迷する国があれば上向きの国に経営資源を振り向け、不振な事業分野があれば好調な分野に人材を融通する。国や分野ごとに中核企業を抱えることが強みになるというものだ▼とはいえ、国も人種も異なる企業同士だけに、どう足並みをそろえるかは課題だ。グループ経営を円滑にするコツは「相手企業の文化を尊重すること」と先の幹部。法令順守と財務報告の二つ以外は仕事のやり方も含め柔軟に対応するそうだ▼日本流にこだわらず、ローカル流をうまく取り入れることがM&A成功のカギか。日建設計、日本工営のこれからの挑戦が、世界に活路を開く建設産業の一歩となることを期待したい。

【熊本地震】インフラ・ライフライン応急復旧へ官民全力


 ◇迫る出水期、被害把握で英知結集を◇

 熊本県を中心に続く地震で被災した自治体や国の機関、建設会社は降雨が増える6月以降の出水期を見据え、損壊した道路やライフライン、河川堤防などの応急的な機能確保に全力を挙げる。

 続きはHP

【熊本地震】応急的住まい確保へ危険度判定士増員、民も協力

応急危険度判定は震災直後の住民の安全確保に大事な役割を果たす
(熊本県益城町、撮影日:4月20日)
熊本県を中心に続く地震で官民が応急的な住まいの確保に動いている。被災建築物の応急危険度判定を促進するため、熊本県は九州地域外の行政職員の判定士を増員した。建築設計団体は熊本県内の会員などを判定士として派遣。同時に中国や四国など広域で判定士を確保し、行政からの要請に備える。大分県は住宅の安全確認に関する相談窓口を設置して対応に当たる。応急仮設住宅も行政の要請があり次第、供給できる体制が整った。

 国土交通省がまとめた20日午前11時時点の災害情報によると、被災建築物の応急危険度判定を熊本県益城町で1518件、熊本市で219件実施。15日に開始した判定業務には延べ260人の判定士が参加した。

 熊本県では益城町、熊本市に続き、西原村での判定業務を計画している。広域のエリアを早期に実施するため判定士を増員。近畿・中国・四国地域の行政職員を約70人確保したほか、民間の判定士にも協力を求めている。

 日本建築士会連合会(士会連合会、三井所清典会長)は熊本県建築士会の会員を中心に判定士を派遣し、行政職員と共に業務に従事している。今後も県の要請に応えていくため、近畿・中国・四国地域の各建築士会に派遣できる判定士を把握。組織力を生かし、判定業務に迅速に動ける体制づくりを進める。

 応急危険度判定の次のステップとして、被災度区分判定・復旧業務に移る。日本建築士事務所協会連合会(日事連、大内達史会長)は被災度区分判定を行う技術者を養成する講習会を前倒しで実施する。熊本では15年度改訂版のテキストを用いた講習会を6月末に予定していたが、5月18日に繰り上げ、定員数も増やす。大分でも前倒し開催する。技術者を早期に増やし、今後需要増が見込まれる被災度区分判定・復旧業務に備える。

 日本建築家協会(JIA、芦原太郎会長)は福岡地域会で被災地の支援体制を整えつつある。士会連合会、日事連の建築設計3団体として連携した災害対策活動が展開できるよう調整していきたい考えだ。

 国交省はプレハブ建築協会(プレ協、樋口武男会長)に応急仮設住宅の要請に速やかに対応できるよう準備を求めた。プレ協ではこれまでも会員企業の協力を得て、災害時に応急仮設住宅を供給してきた。蓄積したノウハウや経験を生かし、今回も自治体の要請に迅速対応する方針。建設地が確保され必要戸数が固まれば、現段階で2900戸を供給する能力を確保しているという。

【大きくなって戻っておいで~】大林組JV、岩手県釜石市で地元小学生と稚魚放流

 三陸沿岸道路・吉浜釜石道路工事を施工する大林組・富士ピー・エスJVは18日、岩手県釜石市唐丹町の「唐丹第二高架橋(仮称)」の現場近くで行われたサケの稚魚放流会に参加した=写真。

 大林JVは唐丹第一トンネル(仮称、延長465メートル)と同高架橋の橋脚工事を担当。橋が架かる片岸川の上流にはサケふ化場があり、毎年4月中旬、地元の唐丹町漁業協同組合と唐丹小学校の児童が稚魚を放流している。

 この日、大林JVは午前中の作業を休止し、児童らの安全を確保しながら放流会をサポートした。

 同小の一條直人校長は「身近な産業である漁業について学んでほしい」とあいさつ。漁協の尾形信一ふ化場長は「稚魚は成長し4年後に再び片岸川を遡上(そじょう)し戻ってくる。大きくなって帰ってくるよう祈ってほしい」と述べた。放流会では児童や漁協関係者、JV職員らにより10万匹の稚魚が川面に放された。

【エスパイバルサって知ってる?、の続きの続き】新スタジアムのデザイン、バルセロナでお披露目



FCバルセロナ(FCB)は21日、スペイン・バルセロナで大規模改修を行う専用スタジアム「カンプ・ノウ」のデザイン発表会を開いた。会場にはクラブで改修計画(エスパイバルサ)を担当するジョルディ・モイシュ氏、トップチームのルイス・エンリケ監督、キャプテンのアンドレス・イニエスタ選手、リオネル・メッシ選手らが出席。設計を担当する日建設計+ジョアン・パスクアル-アウシオ建築設計が設計を手掛ける「ニュー・カンプ・ノウ」の模型が、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長からお披露目された。



 ニュー・カンプ・ノウの設計は3月8日、エスパイ・バルサ審査委員会が日建設計グループを選定した。現在の建物を踏襲しながら、座席全面を覆う屋根を架け、収容人数も10万5000人に拡張。一階席は配置などを一新し、2階席と3階席は基本的に現状を維持する。最上部にスタジアム内部と街並みが見晴らせる展望ゾーンが設けられ、スタジアムと街が融合するように大規模な緑化も行われるという。

ニュー・カンプ・ノウの完成イメージ
(© FCB)
FCBの発表によると、工事は17~18年シーズンに着手し、20~21年シーズンまでに完了させる。現在、プロジェクト着手に向けて都市計画手続きに入っており、チームと行政機関などによる競技が進んでいる。

2016年4月21日木曜日

【設計はフランク・ゲーリー氏】英バタシー発電所再開発でモデル住宅開設


 建築家フランク・ゲーリー氏が英国で手掛ける初めての住宅をいち早く体験できるモデルルームがオープンした。

 ロンドン史上最大の再開発プロジェクトと言われるバタシー発電所再開発事業の一部として建設を進めているコンドミニアム「プロスペクト・プレース」は、彫刻作品のようなファサードが印象的だ。

 今回公開された内装は、近未来的な外観からは少し印象の違う落ち着いた雰囲気で、木を多く使ったキッチンや、バルコニーに面した明るいベッドルームが見られる。

コンセプトを変えた2種類のモデルルーム「LA」(ゲーリー氏の本拠地)と「ロンドン」が用意されている。気になるお値段は、ワンルーム(スタジオ)が49万5000ポンド(約7800万円)~、2ベッドルームが130万ポンド(約2億円)から。

総事業規模80億ポンド(約1兆2500億円)の再開発は、42エーカー(約17ヘクタール)を対象に、4000戸の住宅やオフィス、商業施設、ホテルなどを建設する複合プロジェクト。

 住宅や店舗に生まれ変わる旧発電所は2019年、プロスペクト・プレースは新設する地下鉄駅開業とともに2020年の完成を目指している。全体開業は2025年。2013年からこれまでに、1500戸がすでに分譲された。
バタシー発電所再開発の完成イメージ

【回転窓】黒たまごの価値

 一つ食べると寿命が7年伸びる-。温泉地の神奈川県箱根町の観光名所、大涌谷の名物「黒たまご」の宣伝文句の一節。その真偽はともかく、観光客からの人気は高い。黒たまごを食べるために遠方から訪れる人も▼生卵を温泉池でゆでると、気孔の多い殻に温泉の鉄分が付着。これに硫化水素が反応して酸化鉄となり、白い殻が黒色に変わる▼ただし、温泉成分や量の違いなどの関係で、どの温泉でも真っ黒になるわけではない。黒たまごを販売している温泉地は限られ、見た目だけでなく、こうした希少性も黒たまごの価値を高める要因の一つとなっている▼火山活動が活発化し、立ち入りが規制される大涌谷周辺。一部区間で運休中の「箱根ロープウェイ」が23日に大涌谷まで延伸され、28日からは約1年ぶりに黒たまごの販売が町内で再開される。大型連休前の名物復活に地元関係者は喜びに沸く▼1週間前に九州地方を襲った地震で熊本城など多くの観光名所が被災。発生直後からの救助活動、ライフラインの復旧作業に続き、観光資源の再建も今後の課題となる。復興に向けて継続的な支援が求められる。

【熊本地震】被災各地で応急復旧進む(撮影日は4月20日)

震源に近い地区では道路と橋に段差によって通行できない場所が数多くある
(撮影場所:熊本県甲佐町)

数度にわたる強烈な揺れで石垣が崩れ落ちた民家
(撮影場所:熊本県益城町)
車両通行を可能にするため道路の応急復旧作業が進む
(同)
最初の地震から5日、集積所にはがれきやゴミが運び込まれている
(同)

地震で陥没した大きく陥没した歩道
(撮影場所:熊本県御船町)
九州道御船~松橋IC間で落下した跨道橋の撤去は20日午前に完了したという
(撮影場所:熊本県甲佐町)

加勢川付近で進む堤防や道路の応急復旧
(撮影場所:熊本市南区)
熊本城の東側にある熊本大神宮。本丸の石垣が崩れ、神社の建物を押し潰している
(撮影場所:熊本市中央区)
石垣や櫓の崩壊、瓦の落下など熊本城は甚大が被害が発生している
(同)