2016年4月22日金曜日

【回転窓】M&A成功のカギは

 海外企業に対する日本企業のM&A(合併・買収)が、民間機関の調査で件数、金額とも過去最高を更新したそうだ。建設分野でも、昨年末に日建設計、4月に日本工営が海外の建築設計事務所を買収したのは記憶に新しい▼M&Aを積極展開する米国の大手建設コンサルタント会社の幹部によると、M&Aの魅力は各国の景気や市場の変化に影響を受けない安定した経営体制を築けることだという▼例えば経済が低迷する国があれば上向きの国に経営資源を振り向け、不振な事業分野があれば好調な分野に人材を融通する。国や分野ごとに中核企業を抱えることが強みになるというものだ▼とはいえ、国も人種も異なる企業同士だけに、どう足並みをそろえるかは課題だ。グループ経営を円滑にするコツは「相手企業の文化を尊重すること」と先の幹部。法令順守と財務報告の二つ以外は仕事のやり方も含め柔軟に対応するそうだ▼日本流にこだわらず、ローカル流をうまく取り入れることがM&A成功のカギか。日建設計、日本工営のこれからの挑戦が、世界に活路を開く建設産業の一歩となることを期待したい。

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