県は現在、実施細目を検討中で、プレートには、▽測量・設計(管理技術者、主任技術者)▽地質調査(主任技術者)▽工事施工(元・下請、主任・監理技術者)▽生コンの配合責任者など主要資材関係の技術者▽発注者の所長・監督員-などの名前を所属企業名と共に刻むことを想定している。個人名の掲示には所属企業を通して本人の同意を得る。
長野県が管理する代表的な土木構造物「松川ダム」 |
長野県がこのプロジェクトを始めることにしたのは、県と建設産業界が意見を交わす「地域を支える建設業検討会議」と「地域を支える調査、設計業検討会議」で、業界の委員から、若手技術者の入職を促すため、やりがいを持ってもらう方策の一つとして提起されたのがきっかけだ。
3月10日の地域を支える建設業検討会議では、県から具体的な実施案が示され、委員の藏谷伸一長野県建設業協会会長は「技術者がプライドを持って仕事を進める上で、評価できる素晴らしい試みだ」と高く評価した。
当初案では、対象をおおむね全体工事費5億円以上の工事としていたが、検討会議では「県内業者の受注状況を考えると、5億円以上という対象工事の金額は大き過ぎないか」との意見が出され、県は対象範囲を再検討している。
調査・設計業との検討会議では業界の委員から、趣旨を評価しつつ「このような試みがあまり広がっていないのは、瑕疵(かし)責任の問題などが障害になっているからではないか。確認してほしい」という意見も出された。
建設産業界の担い手不足は長野県内も例外ではなく、入職者の確保が切実な課題になっている。調査・設計業の検討会議に加わる測量、設計、地質調査、補償業務などの業界団体が会員企業に調査したところ、14年度は40歳未満の技術者を75人募集したのに対して、採用できたのは36人にとどまり、退職者は15人に上ったという。県内の学校を卒業しても県外大手企業への志向が根強く、人材確保は容易ではないのが現状だ。
「担い手3法」の施行を受け、業界への入職促進を大きな目的に掲げて始まる今回のプロジェクト。目に見える効果が挙がれば、他の自治体などにも広がる可能性がある。
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