2016年4月13日水曜日

【注意一秒…】トンネル専門協、現場のヒヤリハット報告書策定

 ◇熟練者の体験増加、週前半6割以上◇

 日本トンネル専門工事業協会(トンネル専門協、野崎正和会長)は、トンネル工事現場の「ヒヤリ・ハット事例」に関する報告書をまとめた。

 調査研究の事例と対策を示しており、経験年数10年以上の熟練者が重大な事故になりかねないヒヤリ・ハットに遭遇する割合が増加していた。週前半の体験が6割に達し、時間は午前10~正午と午後1~3時に集中していた。報告書は会員企業に送付し、安全教育に活用してもらう。16年度は重機災害の安全対策などの検討を進めるという。

 トンネル専門協は、施工系の会員企業32社を対象に15年4~5月を中心にヒヤリ・ハットに関する調査を実施。17社の309事例を分析し、結果をまとめた。

 それによると、ヒヤリ・ハットの体験者は、経験3年未満が10.4%にとどまったが、10年以上20年未満の熟練者が36.9%と最多で、次が20年以上30年未満(26.9%)だった。年齢は41~50歳(39.4%)が最も多かった。体験することになった原因は、多い順に「不注意」(23.1%)、「危ないと思っていなかった」(13.8%)、「見落とし・気付かなかった」(11.7%)と続いた。

 事例を分類すると、最も多いのは激突(24.6%)、次いで飛来・落下(19.1%)、転倒(13.6%)。一方、休業1日以上の労働災害(6年分)は、挟まれ・巻き込まれ(22.0%)、飛来・落下(15.9%)、崩壊・倒壊(14.6%)の順となった。

 ヒヤリ・ハットを体験した時間は午前10時~正午(29.7%)と午後1~3時(28.5%)で全体の約6割を占めた。曜日は水曜(25.8%)、月曜(21.8%)、火曜(18.4%)の順に多く、週前半で66%を越えた。これまでの調査では木曜と金曜が多く、同協会は推移を注視する。

 体験場所は坑内が44.0%、坑外が21.7%、資材ヤードが6.5%。落石に加え、吹き付けコンクリートの剥離などが原因とされる災害が多い切羽は27.8%で、依然災害発生の危険性が高いことを裏付けた。

 報告書ではヒヤリ・ハットの45事例を紹介。このうち切羽関係を見ると、作業員が注意を怠り、掘削重機の横に入ってしまい、接触しそうになった事例がある。装薬中に天端中央から剥落した岩がマンケージの中にいた作業員に当たりそうになる事例もあった。

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