古代の南イタリアにシュバリスという町があり、3世紀ごろ繁栄を極め、贅を尽くしたという。その遊惰は馬にダンスを教えるほどだった。だが、隣国と戦争になった時、敵が笛を吹き始めると馬が暴れて戦いにならず、町は滅んだ▼大きな災害を経験するたびに思うことがある。被災した方々の悲しみや不自由な生活を見るにつけ、自分たちの生活は今のままでよいのか、と▼東日本大震災が起きた時、当時の石原慎太郎東京都知事が「自動販売機が並んでいるバカな国は(日本以外)世界中にない。便利かもしれないが自分の家で冷やせばいい」と発言した。原発事故で電力需給が心配された時だけに、人々の注目を集めた▼自分たちの生活をあらためて見てみると、便利さを求めるあまり、その欲が度を越しているのではと思うことがある。豊かさを求める欲望は新たな技術革新を生み、多くの恩恵をもたらすため、決して否定はしない。ただ、私欲を満たすものだけに偏っていなかったかと▼熊本地震で今も避難生活を続ける被災者の方々に思いを馳せながら、自分に何ができるかをあらためて考えてみたい。
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