2016年4月12日火曜日

【Key Person】清水建設建築総本部設計本部設計室長・鳥山亜紀氏

 ◇「医療の清水」を継承◇

 4月1日付で設計本部プロジェクト設計室長に就いた。同社では、女性として2人目の部長職就任となる。1987年に入社してから、設計一筋。医療福祉関係の施設で多くの仕事を手掛けてきた。「患者やその家族の心のケアができる空間づくりにこだわり、先人たちが築いてきた『医療の清水』としての伝統と実績を引き継いでいきたい」。室長としてチームを引っ張っていく意気込みをそう語る。

 医療福祉施設の設計は、一般建築と比較して難しい点が多いという。「利用する方へのメンタル的な気遣いのほか、最新の医療機械が正常に動くこと、さまざまな職種の方が働くことなどを考慮する必要がある」。苦労が多い分、竣工後に顧客の満足した顔を見るのが「仕事の醍醐味(だいごみ)」と話す。

 ◇心のケアができる空間づくり◇

 医療技術の進歩に伴い、建物や設備も進化を遂げてきた。「病院ごとに求められる機能が異なるため、顧客からニーズを丁寧に聞き出して設計を詰めていく」。その際、コストや工期の順守だけでなく、「利用する患者やその家族の心が置いてけぼりになっていないか」を気に掛け、設計に落とし込んでいく。

 同社は、過去に多くの医療福祉施設を世に送り出してきた。ゼネコンのエンジニアリング力を生かし、幅広く積極的に事業展開してきたことから、「医療の清水」と呼ばれるほどだ。「良いものづくりを続け、信頼を得ることが当社のブランド力向上にもつながる」。

 「仕事が趣味」と言うほどの仕事好き。理解ある夫に支えられながら、仕事とプライベートを両立させている。社内で女性の活躍を推進するための制度が整備され、周囲の理解も進みつつあるが、女性の管理職はまだ少ない。後に続く女性社員たちの道しるべをつくるためにも、「患者に寄り添った病院づくりにチーム一丸で取り組んでいきたい」。

 (とりやま・あき)


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