脇雅史参院議員は3月31日の参院国土交通委員会(金子洋一委員長)で質問に立ち、受注者の「適正利潤」の確保をうたった改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を踏まえ、「公正取引委員会には、安ければ良いとする会計法に基づく精神を捨ててほしい」と訴えた。
脇氏は、上限拘束性のある予定価格をめぐり、不正の疑義の目が向けられることが多い予定価格と同額での発注があった場合の国交省の見解をただした。
同省の田端浩官房長は、取引の実例価格などを考慮した予定価格設定の考え方を示した上で、「仮に同額であっても発注者に損害があるものではない」と答弁した。
脇氏は、こうした国交省の見解もかかわらず、「予定価格と落札額が一緒だと不正が起こったはずと考える人が大勢いる」と指摘。その上で、「安すぎる価格で契約を結んだ場合、適正な利潤の確保をうたった品確法の発注者の責務を負えなくなるのではないか」として、過去にダンピング受注が繰り返され、品質上の弊害が生じた事案こそ「適正な契約ではないのではないか」と述べた。
脇氏の質問に公取委は「独禁法の観点から、落札価格が予定価格に比して安い価格でも、ただちに抵触はしないが、採算を度外視した安値受注を繰り返す場合には不当廉売として問題になる」とした。
公取委の見解を踏まえて脇氏は、「仮に1万円の落札が1件あっても不正かどうかは分からない。ただ、公正取引の観点からは望ましいものではないことは明らかだ」として、工事、物品、役務などを一律に規定する会計法に基づく判断基準だけではなく、公共工事品確法を含めた全体の体系の中で独禁法の適用を考えていくべきではないかと主張した。
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