東日本大震災が起きてから約1カ月後。多くの被災者が不自由な生活を余儀なくされていた避難所で、整体師のTさんはマッサージのボランティアをしていた▼そこでいつも笑顔を絶やさない年輩の男性が気になり、「マッサージをどうですか」と何度も声を掛けた。だが、「俺は大丈夫」と言って断られてしまう。明るく気丈に振る舞ってはいたものの、明らかに疲労困憊と分かった▼Tさんがようやく本人の了解を得て施術に入ると、男性は津波で奥さんを亡くし、それから眠れない日々が続いていると話してくれた。心と体の緊張が少しほぐれたのか、その場で男性は気を失ったように深い眠りについたという▼14日から熊本県を中心に続く地震の被災地にも、多くのボランティアが駆け付けている。整体師の菅原卓哉さんもその一人。自ら営む整骨院は地震で閉鎖となったが、避難所生活の疲労軽減に役立ちたいとマッサージを行っている。通信社の配信記事(23日)で知った▼地震発生から2週間。復旧に携わる人たちも疲労の色を隠せない時期であろう。体調と作業に細心の注意を払い、どうぞご安全に。
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