2016年4月8日金曜日

【計画実現へ期待高まる】交政審小委が東京圏の鉄道駅整備方針案

 交通政策審議会(交政審、国土交通相の諮問機関)陸上交通分科会の小委員会が今後15年で推進する東京圏の鉄道駅の整備方針案をまとめた。

 主に東京都心にあり、2020年東京五輪を契機に今後の利用客の増加が見込まれる羽田、成田両空港やリニア中央新幹線とアクセスする成田空港駅・空港第2ビル駅、品川駅、浜松町駅、大宮駅、新横浜駅、橋本駅の6駅を「広域交通ネットワークの拠点駅」と位置付け、それぞれ駅構内などで利便性を高めるインフラ整備を推進する。

 鉄道駅の整備方針案は、小委が同日まとめた答申案「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」で示した。羽田、成田両空港へのアクセス鉄道計画を中心とする鉄道ネットワーク整備方針とともに月内にも答申する。

 このほか、新宿駅と横浜駅を「国際競争力の向上が求められる地域の拠点駅」と位置付け、それぞれ国内外からの来訪者が初めて利用してもスムーズに移動できる利便性や回遊性を高めるインフラ整備を推進。うち新宿駅では、官民で駅前広場や自由通路、案内サインの整備などを進める。

 一方、都心部以外では、川口駅と鶴見駅でのホームの新設や町田駅での駅前広場整備、藤沢駅や鶴川駅での橋上駅舎化、中央林間駅の歩道整備、西谷駅の自由通路整備、片瀬江ノ島駅の津波対策施設整備などを進めるとしている。

 ≪「広域交通ネットワーク拠点駅」6駅別の整備方針案≫


 成田空港駅・空港第2ビル駅=空港機能拡張に対応した旅客動線の改良・デザイン改善
 
 品川駅=京急品川駅の地平化・2面4線化、東西自由通路延伸、踏切除却

 浜松町駅=歩行者通路整備

 大宮駅=東武大宮駅移設に伴う東西自由通路、東口駅前広場の整備

 新横浜駅=自由通路整備

 橋本駅=リニア中央新幹線開業に合わせた新幹線駅と在来線の乗り換え向上

 ◇TX延伸と地下鉄新路線整備を一体化◇

 交政審陸上交通分科会小委がまとめた答申案のうち、東京・中央区が検討を進めていた「都心部・臨海地域地下鉄構想」と常磐新線(つくばエクスプレス)延伸区間を一体整備する方針が新規プロジェクトの一つに盛り込まれた。今後、両路線の直通運転化を視野に検討が行われる予定だ。

 中央区は14年度以降、2020年東京五輪の選手村が整備される晴海エリアなど臨海部の将来的な人口増加を見据え、区内の都心部(銀座・築地エリア)から勝どき・晴海エリア、江東区豊洲・有明エリアまでを結ぶ地下鉄新路線の整備構想を検討してきた。

 答申案では、新路線の整備区間を銀座・築地エリアからJR東京駅付近までさらに延ばす方針が示された。一方で、常磐新線(つくばエクスプレス)を現在の発着駅の秋葉原駅から東京駅付近まで延伸する方針も示され、両路線を東京駅付近で相互直通運転することが明記された。

 関係者によると、新路線は銀座・築地エリアから八重洲エリアを通って東京駅付近まで整備することが検討されている。常磐新線は地下駅の秋葉原駅から日本橋エリアを通って東京駅付近まで延伸整備するとみられる。

 答申案では、直通運転化により、都心と臨海副都心とのアクセスの利便性が向上し、JR山手線などの混雑緩和につながるとしている。新路線は検討熟度が低いため、事業性に課題があると指摘。中央区が独自に事業採算性の調査・検討を進めてきたものの、事業主体については白紙のため、今後も事業計画の十分な検討が必要だとしている。

 答申案を受け、矢田美英中央区長は「早期の実現に向け、国や東京都と連携し、積極的に取り組む」とコメントした。

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