2016年10月31日月曜日

【積女ASSALだより】川村積算・宮田沙織さん/想像の世界に面白さ

 意匠部に所属し、建具と内装の積算をしています。商業施設などの大きな建物を積算するので、一つの物件を複数人で拾います。

 仕事量は男女間に差がなく対等で居心地も良く、仕事のペースをつかんだことで日程調整ができるようになったので、メリハリのある生活を送っています。

 積算には知識とチームワークが必要なので、不明な点は「調べる」「先輩に聞く」などして解明し、後輩が尋ねやすい雰囲気づくりを意識しています。

 図面から空間を捉えるのは困難ですが、想像を膨らませることに面白さを感じていて、建物が竣工したら想像と実物との答え合わせをするのが楽しみです。

 詳細部の知識を身に付けたい、立体を想像することが得意な方にはぜひ積算に挑戦してもらいたいです。

 (みやた・さおり)

次回は大林組の東聡子さんを紹介します。

【回転窓】小嶋一浩氏の建築と言葉に学ぶ

空間は人が使うためのものである。そこには建築や都市、土木などというカテゴリーは全くなく、シームレスに空間が続く-。13日に亡くなった建築家・小嶋一浩氏の言葉である▼学校建築に定評があり、近作で日本建築学会賞やBCS賞を立て続けに受賞。「学校建築を語る上で常に参照され、語り継がれる建築」とたたえられ、これからさらなる活躍が期待されていた。57歳という早過ぎる別れを、いまだに信じられないでいる▼本紙にも作品や建築教育などさまざまなテーマで登場してくれた。にこやかで静かな語り口の中に、建築に対する情熱をひしひしと感じさせる建築家だった。物事を理論的に進め、人に伝えようとする姿勢は、対話を重視する設計手法からもうかがえた▼東日本大震災の被災地支援にも尽力。だが建築の知見が生かせない復興計画に「土木、建築両分野がリテラシーを共有しないと駄目だ。教育現場で互いの分野を学ばないといけない」と訴えた▼工学が扱う世界に境界線を設けず、分野を横断して「使う人のために空間」を創り続けた小嶋氏。残した建築や言葉から学ぶことは多い。

【施工は鹿島JV】第二浜田ダム(浜田市)完成、11月1日に式典・セレモニー

 島根県が建設していた浜田川総合開発事業の第二浜田ダムが完成した。11月1日に浜田市の浜田ワシントンホテルプラザで完成式典を、同市河内町の第二浜田ダム管理所付近で完成セレモニーを行う。施工は鹿島・五洋建設・今井産業JVが担当した。

 浜田川総合開発事業は、浜田川本川の洪水調節と河川環境の保全を目的に、既存浜田ダムの再開発(施工は鹿島・フクダ・祥洋建設JV)と新たに第二浜田ダムを建設するもので、事業期間は1993~2019年度。事業費は全体で約460億円、うち第二浜田ダムは約380億円。

 事業概要は、第二浜田ダム(重力式コンクリートダム)が堤高97・8メートル、堤頂長218メートル、堤体積約32万4000立方メートルの重力式コンクリートダムと、鞍部ダム(同)が堤高27・8メートル、堤頂長202・5メートル、堤体積約3万4000立方メートル。

 93年4月に浜田ダム再開発事業・第二浜田ダム建設事業に着手、09年3月から第二浜田ダム本体建設に入り、11年3月鞍部ダムコンクリート打設を、13年11月に本体部のコンクリート打設を完了、15年10月に試験湛水を開始し、16年8月に本体工事完成、10月に運用を開始した。

【実施設計が大詰め】新国立競技場、12月上旬本体着工へ/隈研吾氏「満足できるものになる」

 日本スポーツ振興センター(JSC)が進めている新国立競技場(東京都新宿区ほか)の整備事業で、設計・施工者の大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVの関係者らが28日に東京都内で記者会見した。

 今後の工事工程の詳細や現時点での実施設計の検討状況を説明。準備工事を経て12月上旬の本体着工、19年11月の完成を目指す。

 公表された工程表によると、12月に山留め・掘削工事に入り、引き続き17年4月に地下工事に取り掛かる。同年8月には地上工事が始まり、躯体工事を経て18年2月に屋根工事と内装仕上げ工事に着手し、同年4月に外装仕上げ工事も始める。これと並行し、歩行者デッキ工事も同年4月に始める予定だ。

 実施設計の検討状況では、新たに屋根の庇(ひさし)の図面や歩行者デッキの整備イメージ、VIPゾーンの意匠設計のイメージなどを公表した。設計のコンセプトについて隈研吾氏は「外苑の緑に調和させるとともに、市民に開かれたスタジアムを印象付けるため、木材など温かみのある素材やディテールにこだわった」と話した。

 屋根の庇は、外苑の緑に溶け込むような薄さと軽やかさを重視した。隈氏によると「庇の先端の納まりは非常に時間を割き、シャープなものとなるように検討した」。屋根部材の一部となる木材に雨水が直接掛からない角度なども綿密に調整したという。

 歩行者デッキの一部には、大きな空洞「グリーンボイド」を設け、デッキ下の広場空間を明るく照らすような工夫もした。新国立競技場と隣接する東京体育館の間には、幅12メートルの広々としたデッキ「グリーンブリッジ」を架ける。競技場周辺の植栽計画も、完成後のメンテナンスを念頭に配置の検討を進めている。

 VIPゾーンでは、エントランス部には木材を使った「折り紙天井」や「大和張りの天井」と呼ぶ日本らしさを感じさせるデザインを採用。大和張りの天井について、隈氏は「板が段差になっている日本独特の緻密なディテールだ。日本の匠(たくみ)の技も見せていきたい」と話した。VIPラウンジでも障子と格子を採用するなどし、温かみと開放感を演出するという。

【凜】日立建機 生産・調達本部生産調査部・小倉さおりさん

 ◇さまざまな意見吸収し改善活動◇

 小さいころから乗り物や大きな機械が好きで、大学では機械工学を学んだ。就職活動の際、会社説明会で先輩社員として説明していた女性社員の姿に憧れ、日立建機に入社を決めた。

 入社して6年目。現在、土浦工場で勤務し、工場の生産効率を向上させるため、生産している建機の部品の共通化などを図る「改善活動」を主に担っている。改善活動を行うには、他部署の理解が必要だという。しかし、同じ工場内でも部署によって仕事に対する考え方が違う。そのため積極的な交流を心掛け、さまざまな意見を吸収しながら改善活動に取り組む毎日だ。

 将来の目標は「お客さまが欲しいものを安く良いタイミングで届けられるようになること」。改善活動を進め、工程の効率化などを図って顧客に良質な製品を提供できるようにしたいという。

 大学時代、体育会航空部に所属。4年間、グライダーで空を飛び回ることに熱中した。練習の成果もあり、全国大会に2回出場。その実績を買われ、現在は大学の後輩の指導にも当たっている。 同じ工場内で働いている先輩の女性社員は皆、子育てをしながらフルタイムで勤務しているという。その姿を見て「自分でもできそうだと思っている」。仕事はずっと続けていくつもりだ。

 (おぐら・さおり)

【建設業の心温まる物語】松田大介氏(日本橋梁・大阪府)/蘇った15年前の記憶

 京阪電車の浜大津駅から商店施設アーカスを結ぶ歩道橋が、京阪電車と滋賀県道を跨(また)いで設置されています。これは15年前に大津市より日本橋梁株式会社が受注し、私が現場代理人を務めた歩道橋です。電鉄と県道と交差することで、協議事項も多いうえに、大型商店施設との調整に大変苦心しました。若手職員1名と私だけで、現場管理と客先対応、関係各署との協議に追われた日々でした。

 つい先日その現場を見に行きました。今でも架かるその歩道橋を見ていると当時のことが昨日のことのように記憶が蘇(よみがえ)ってきます。ふと歩道橋の横を見ると、現場事務所として借りていたマンションがありました。その1階には見覚えのある喫茶店があります。そこは、夏の暑い日も、冬の寒い日も毎日のように昼食に通った店です。

 「こんにちは。ご無沙汰しています。以前工事をさせていただいていた松田です。覚えておられますか」と話すと、店主の女性は15年前と変わらぬ元気な声で、「あらおひさしぶり。よく来てくださいましたね」

 短い時間の中でも当時の思い出話に花が咲きました。覚えていてもらえただけでもありがたいのに、「あの歩道橋ができて便利になったのよ」と言ってもらえたその一言で、当時の苦労が実ったという実感が15年を経て改めて心にしみこんできました。建設業に携わる喜びとはこういうことなのだ、と感じました。

 このうれしい偶然と、当時の自身のがんばりに感謝しています。

【建設業の心温まる物語】浜野雅司氏(常陽建設・茨城県)/「バカヤロー」と「よかったな」

 私が中学生の時です。私の実家近くに川があり、橋を渡るため学校と逆方向へ向かって大回りして通学していました。もう1本橋があれば学校までが近くていいのになぁと思っていました。

 その1年後、川で工事が始まりました。帰り道に近くに行ってみるとどうも橋を造っているようです。ある日、作業をしていなかったので、近道をしようとゲートを潜り抜け工事現場の中を自転車で通りました。すると地面がやわらかいのです。通った跡を見てみるとタイヤの跡がくっきり。コンクリートがまだ固まらない時に通ってしまったのです。すると奥で休憩していたこわそうな作業員の方が出てきて、「何してんだ。バカヤロー!!」。私は急いで逃げました。

 それから数か月間、工事を行っていましたが、近づいたらまた怒られると思い近づかないようにしていました。

 しばらくして工事が終わりました。その橋を渡っているとあの「バカヤロー」の作業員の方がたまたま現場にいて、ばったりと会ってしまいました。「おー、あの時の小僧かあ」っと話しかけてきたので、とっさに逃げようとすると、「ちょっと待て。工事は終わったから通っていいんだぞ。無事できたので俺はうれしいんだよ。小僧は橋がかかり学校が近くなったんじゃないか? よかったな」とやさしく言ってくれました。私は「建設業で働く人は実はすごく優しいんだな」と心の中で思いながら「橋を造ってくれてありがとう」って言いました。

 あの出来事は物を造ることの厳しさとやりがいに気づかせてくれました。今では、橋梁工事を行うと必ず「バカヤロー」と「よかったな」の声を思い出します。

【建設業の心温まる物語】上野修氏 (神田エンジニアリング・新潟県)/大河ドラマ「坂の上の雲」での出会い

 三年程前、NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」の舞台セット戦艦三笠を地上に1/1スケールS造5階建てで作る工事の現場監督として従事しました。全国から土工、とび、造形の専門工、戦艦ならではの金物職人、艦板デッキを張る大工が延べ3000名携わり、約1年半かけた工事でした。鉄骨工事が完了し、戦艦特有のマストの工事で東京から来た特殊で巨大な物を吊(つ)り上げるときのことです。

 私が指示を職長へまず伝え、職長がその下の各部署持場のとびへ伝えるルールでした。ある日、とてもやる気のある若いとびBさんが「上野さん、何かやることありませんか?」と尋ねてきたので「〇○○してもらえるととても助かるよ」と伝えました。すると「了解! すぐやっておきます!」と、現場へ向かっていきました。

 その30分後、職長であるとびのリーダーAさんが「監督さん! 勝手な指示してもらったらこまる」と、すごい形相でおしかけて来ました。私は「しまった」と思いながらも「若いとびさんのやる気、そして現場での向上心あふれる取り組みに感銘して、つい直接指示を出してしまったんです。」とAさんに伝えました。

 すると「上野さん、すまん!Bの気持ちに応えてくれたんやな!」といい、続いて現場にいる大勢のとびの部下に対して「今日から、上野さんの指示に従わなかったやつは、オレが容赦せんぞ!」と言ってくれたのです。私はうれしさと反省が入り交じった気持ちでした。

 命を張って働いている現場では、職長や職人とのなれ合いの関係があると大きな問題になりかねません。「互いに決めたルールを守る」という信頼関係があって成り立っているのだと改めて感じたできごとでした。


【サークル】竹中工務店 軽音楽部


 ◇ライブ盛り上げ、世代間交流も促進◇

 音楽好きの社員の呼び掛けで1995年に同好会として発足。徐々に部員を増やし、98年には会社公認の軽音楽部に昇格した。部員数は9月15日現在36人。設計や技術、作業所、開発と社内各部署からのメンバーに加え、竣工写真のカメラマンや学生時代のバンド仲間など、社外からも多彩な音楽好きが集まる。

 代表を務める吉岡典哉さん(目黒駅前再開発オフィス棟作業所副部長)が「ライブの場は、世代を超えた社員同士の大切なコミュニケーションの場。仕事だけでは得られないエネルギーをもらっている」と話すように、活動の中心は、年1回開催するライブ。発足当初は2バンドで開いていたが、近年は5バンドが出演し、都内のライブハウスを終日借り切って開催するまでに規模が拡大している。

 「ライブでは演奏中のバンドを他バンドのメンバーが盛り上げ、みんなで雰囲気を作っている」(吉岡さん)。演奏による爽快感だけではなく、ライブで味わう会場の一体感も活動の醍醐味(だいごみ)だ。

 今年のライブは、11月27日に東京・渋谷のライブハウス「TAKE OFF 7」で開催予定。ライブに照準を合わせながら「音楽を楽しみ、コミュニケーションを図る」をモットーに日々活動している。

【駆け出しのころ】戸田建設常務執行役員建築設計統轄部長・山本嘉彦氏

 ◇自分のやり方を見付けてこそ◇

 入社当時はオイルショックの直後で就職が大変な時期でした。大学で建築を学んでいた私は、戸田建設にいた知り合いから「戸田建設の建築設計は力がある」と聞き、入社試験を受けました。面接に卒業設計の図面と模型を持っていきましたが、あまり関心を示されなかったのを覚えています。

 建築設計で入社した新人も、最初の1年間は現場で研修を受けます。私も現場に出ました。ところが、他の同期の人たちとは異なり、私だけは2年目以降もどういうわけかそのまま現場にいました。現場は面白かったのですが、入社から4年がたち、自分は施工と設計のどちらなのかを会社に確認すると、設計に行くよう言われ、東京支店の設計部へ異動します。

 同期は3年先に設計の仕事をしていましたが、そうしたことは気にならず、逆に4年間の現場経験を生かしたいと考えていました。

 その年、本社に新設された建築設計統轄部で集合住宅のチームに入って以降、本社で集合住宅や再開発の仕事に携わってきました。ですから私には転勤の経験がありません。転勤が嫌だったわけではないのですが、おそらく社内にこうした人間はいないでしょう。

 若いころに付いた上司の影響というのは大きく受けるもので、私の場合はお客さんとの接し方やグループを率いるのがうまい上司でした。仕事のオンとオフもはっきりされていて、合理的に仕事をすることの大切さなどを学んだと思います。

 印象に深く残るプロジェクトの一つは、当社として初めて手掛けた香川県宇多津町での超高層RC集合住宅の設計です。最初から竣工まで携わりました。現場が終わってこんぴらさん(金刀比羅宮)に行き、そこから遠くに自分が設計した建物が見えた時はとてもうれしかったです。

 設計というのは考えだすときりがなく、どこかで切らないと終わらない仕事です。最短で結果を出すことを求められるため、自分なりの仕事の仕方を見付けずに人の言うことばかり聞いていると、右往左往してしまいます。

 私たちは組織、グループの中で仕事をしていますが、個人の能力が集まってグループ力となります。ですから個人の能力を高めることが重要です。かつて建築設計統轄部長を務めた方が「一芸に秀でたオールラウンダー」と言っていました。自分なりのやり方がないとそうはなれません。皆にも自己流的なことをどんどんやってほしいと思っています。

 若いころに、周りから見れば独特な仕事の仕方をしていた上司に習ったものですから、私もかなりの自己流でこれまで来たのかもしれません。

 (やまもと・よしひこ)1976年東大工学部建築学科卒、戸田建設入社。本社建築設計統轄部設計管理部長兼建築本部BIM推進室長、本社建築設計統轄部長、執行役員などを経て、16年4月から現職。東京都出身、64歳。
入社2年目に休みを利用して出掛けた京都の寺で

2016年10月27日木曜日

【北海道建協らが寄贈】赤レンガ庁舎(札幌市)前のれんが舗装完成!!

 北海道建設業協会と札幌建設業協会が「レンガに刻む私のまち」として共同で進めていた赤レンガ北海道庁舎(札幌市)の前庭をれんが舗装するプロジェクトが完了し、22日に現地で完成セレモニーが開かれた。

 両協会の岩田圭剛会長や北海道の高橋はるみ知事ら関係者がテープカットを行い、新しい前庭の完成を祝った=写真。

 同プロジェクトは両協会の創立100周年記念事業の一環で行われた。中央区北3西6の北海道庁敷地のうち、赤レンガ道庁前アプローチ部分の274平方メートルをれんが舗装で改修し、道に寄贈した。れんが舗装の改修に併せて周辺の縁石を改良し、プロジェクトの概要を説明する掲示板も設置した。

 道内179市町村の小学生もプロジェクトに参加し、敷設するれんがの一部に市町村名や市町村を象徴する絵などを彫った。

【回転窓】パワーナップで活力を

工事現場の事務所への取材は、よほどのことがない限り、昼休み時間を避けるようにしている。大事な昼寝の時間だからだ▼眠気や疲れは、現場作業の安全に直結する。短時間の睡眠でも力の源となる。そうした仮眠は「パワーナップ」と呼ばれる。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」では、作業効率の改善に効果があるとして、午後の早い時間に短い睡眠を取ることを提唱している▼航空機のパイロットが操縦室で短い仮眠を取ると、飛行中の覚醒レベルを高めることに役立つとの研究結果もあるそうだ。長距離トラックの運転手などにも同様のことがいえるのだろう▼試しに自分もやってみた。はた目からはサボっているように見えたかもしれないが、二日酔いでぼんやりしていた頭がすっきりし、集中力が高まった気がした。ただし、長く眠り過ぎると目覚めの悪さにつながるので、仮眠は30分以内にとどめるのが望ましいとも▼そもそも十分な睡眠時間を取ることが最も大事。睡眠不足は生活習慣病になる危険性を高めるともいわれている。過ごしやすい秋の季節。しっかり眠って活力を。

【どんな味わいになるかなー】鹿島と東京・狛江市、市民参加型の緑化と地ビール製造展開

 鹿島が東京都狛江市で進める農地・緑地を活用した循環型まちづくりで、16年度の新たな取り組みとして、市民参加型の緑化活動を実施した。

 市内の小学校や飲食店、行政施設の協力を得て、ビールの原料となるホップを栽培し、そこで収穫したフレッシュホップから地ビールを製造した。ビールは市内の飲食店や小売店で販売され、売り上げの一部は17年度の緑化基金として還元される予定という。

 市内の小学校や飲食店、地域センターなど、9団体・店舗が協力し、アサ科の多年生つる性植物のホップ(セイヨウカラハナソウ)を栽培した。緑のカーテンとして、遮光効果や葉の蒸散による冷却効果が期待されるだけでなく、景観の向上や子どもたちへの環境教育にも役立つ。

 ホップは、収穫翌日に製造委託先のビール醸造所に輸送し、新鮮な狛江産ホップをふんだんに使った地ビールを製造した。数量・期間限定で9月21日に販売を始めた。売り上げの一部を来年度の緑化基金として還元することで、持続的な緑化を目指す。

 前年度に続き、農地から発生する野菜残さや近隣の飲食店から発生する調理くずなどをミミズによって短期間で堆肥化する「ミミズコンポスト」に取り組んだ。環境負荷の低い緑地管理手法として、ヤギやヒツジによる除草も継続したほか、自治会などを対象とした管理者育成の研修会も開催した。

 消費者が地場の生産物を定期的に購入したり、農作業を手伝ったりして地域の農業を直接支援するシステム「CSA(地域が支える農業)」の狛江版として、狛江市と共同で15年度に活動を開始した。本年度の活動は、国土交通省の「平成28年度都市と緑・農が共生するまちづくりに関する調査」に採択されており、30日に狛江市役所で市民フォーラムを開き、本年度の活動成果の中間報告を行う。

【主要ゼネコン27社に独自調査】2次下請までの社保加入、17年度内達成見通し

主要ゼネコンの多くが、2次下請までの専門工事業者について、企業単位での社会保険加入率を17年度内に100%達成できる見通しであることが、日刊建設工業新聞社の調査で分かった。

 アンケートに回答した27社のうち22社が17年度までに達成可能と答え、このうちのほぼ半数は16年度内の達成も視野に入れていた。一方、ゼネコンと直接契約関係のない2次下請業者まで管理するのは難しいとの声もあり、1次下請を通じた2次以下の下請業者への加入指導が今後も必要になりそうだ。

続きはHP

【BIMの課題と可能性】BIMデータを使用した建築確認申請・3

 「BIMデータを使用した建築確認申請手続きによる国内初の確認済証を交付」を実現したフリーダムアーキテクツデザインの今後に向けた戦略を探る。

 □3次元モデルで考え設計力向上+製図(図面出力)を削減する当初のBIM導入目的は達成□

 木造在来工法向けシステムではなく、大規模建築向き(と思われがち)のBIMソフト「Revit」を導入した逆説的ともいえる選択の中に、設計行為が作業としての製図に堕している現状を改革し、建築設計事務所本来のあり方を再構築するとの強い意向が感じられた。

続きはHP

【建設技術展近畿が開幕】171者が出展、先進500技術を紹介

 日刊建設工業新聞社と近畿建設協会が主催する「建設技術展2016近畿」(特別共催・土木学会関西支部)が26日、大阪市中央区のマイドームおおさかで始まった。171の企業・団体が出展し、500に及ぶ先進技術などを紹介する。27日まで。

 開会式では、主催者と特別共催者、出展者代表、来賓によるあいさつに続き、近畿地方整備局の小林稔企画部長が開会を宣言。主催者、共催者の代表がテープカットを行い、技術の祭典が華やかに開幕した。

 26日は橋梁模型製作コンテストの会場製作や関西ライフライン研究会の地震防災フォーラム、NPO法人あすの夢土木と西日本高速道路会社によるシンポジウムなどが行われた。27日も橋梁模型の載荷試験や近畿整備局による「i-Constructionフォーラム」、土木学会関西支部の学生キャリア支援など多彩なイベントが繰り広げられる。
橋梁模型づくりに熱中する出場者


2016年10月26日水曜日

【空港整備問題はヒースローに軍配】英国政府が第3滑走路整備にゴーサイン、総投資額は2・2兆円

 長く議論されてきた英ロンドンの空港整備問題に決着がついたようだ。世界トップクラスの旅客数を誇るヒースロー空港と、郊外のガトウィック空港のいずれかに新滑走路を建設して英国首都圏の旅客処理能力を増強する計画をめぐり、両者は激しく綱引きしていたが、現地時間10月25日、英政府はヒースロー空港の計画を承認すると発表した。

 計画によると、ヒースロー空港は北西部に延長3500メートルの第3滑走路を新設するほか、ターミナルビルやホテルなども建設する。完成すると処理能力は年間74万便に増加し、40以上の長距離便が新規就航可能と見込む。

 総投資額はおよそ180億ポンド(2兆2700億円)。すべて民間資金で賄われる。英政府は航空輸送能力の増強などで最大610億ポンド(7兆7000億円)の経済波及効果が期待できると予想、雇用創出効果も見込め滑走路新設に大きな期待をかけていた。地域住民や政府内にも反対意見が多く承認が先延ばしになっていたが、新首相誕生などもあってか政治的な決断がくだされたようだ。

 ヒースロー空港の新エリアのコンセプト設計は、コンペで選ばれた設計事務所グリムショーが担当。

 ヒースロー空港へのコンサルティングを提供するプロジェクトパートナーには、Arup CH2M MACE Turner & Townsendのグループが選ばれている。

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【回転窓】いなくなってからでは遅い

余震が起き、娘をきつく抱きしめた母親がうずくまる。21日午後に鳥取県を中心に発生した地震のニュース映像を見て、地震が構造物だけでなく人の心も深く傷付けるのだとあらためて感じた▼地震直後、国土交通省中国地方整備局や全国建設業協会(全建)傘下の地方協会の対応は早かった。いずれも幹部が岡山市内で地域懇談会に臨んでいたが、震源や震度が明らかになるや、整備局の一行は会場を離れ、協会幹部も被害確認などを開始した▼危機対応を担う機関としては当然だろうが、緊迫したやり取りや、携帯電話を片手に駆け出す姿に危機対応力の高さがうかがえた。避難者も少なくない。一日も早い復旧・復興を願うばかりだ▼「住民の生命と財産が守れなくなってもいいのか」。各地の懇談会で地域建設業者からそうした指摘が相次いでいる。地域・企業間で工事量の格差が顕在化し、災害対応に欠かせない最低限の人員や重機の維持に必要な受注量を下回るとみる会員は多い▼地域建設業者の役割をそれぞれの地域の中に明確に位置付ける必要がある。地域から建設業者がいなくなってからでは遅い。

【3大会ぶりに国際大会出場へ】協和エクシオ、技能五輪で金メダル獲得

大会に出場した(左から)牧野、清水、太田、内藤の各選手
山形県内の各会場で21~24日の4日間、第54回「技能五輪全国大会」が開催され、協和エクシオの清水義晃さんが情報ネットワーク施工職種に出場し、金メダルを獲得した。同社からは太田卓也さん(銅メダル)、牧野直征さん(敢闘賞)、内藤郁弥さんも参加した。同社社員が金メダルを獲得したのは3大会ぶり通算6回目。清水選手は、17年10月にアラブ首長国連邦のアブダビで開かれる第44回「技能五輪国際大会」に日本代表として出場する。

 技能五輪全国大会は、地方予選などを勝ち上がった原則23歳以下の技能者の日本一を競う技能競技大会で、毎年開催している。今年は41職種に約1300人の選手が参加し、熱戦を繰り広げた。

 清水選手らが出場した情報ネットワーク施工職種では、メタル成端や光ファイバー融着接続の速さを競ったほか、宅内やビル構内を想定した配線施工課題などを2日間、計約8時間かけて競技した。

 競技後、清水選手は「前回大会では体調を崩し実力を発揮できず悔しい思いをしたが、それをばねにここまで一生懸命訓練してきた。今回、最高の結果を残すことができて本当にうれしい。小園文典社長をはじめ、応援してくれた方々や指導チームの皆さんに深く感謝している。これからは来年開かれる国際大会で金メダルを獲得できるよう、さらに訓練を重ねていく」と意気込みを語った。

【象徴復活へ第一歩】熊本城天守閣復旧DB(中央区)、大林組に


 ◇大天守、19年3月までに入場可能めざす◇

 熊本市は、熊本地震で被災した熊本城天守閣の復旧事業の設計・施工者を選定する技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)の「熊本城天守閣復旧整備事業」の公募型プロポーザル(WTO対象)で優先交渉権者に大林組を選定した。

 提案によると震災復興のシンボルとして大天守を19年3月末に復旧し、21年3月末の全体工事完了を目指す。事業費提案額は66億4300万円。11月上旬にも工事契約までの手続きに関する基本協定と基本・実施設計の契約を結ぶ。

 提案書によると震災復興のシンボルとして大天守を19年3月末までに復旧。4月から最上階まで入場できるようにし、同年に日本で開催されるラグビーワールドカップや世界女子ハンドボール選手権で国内外に震災復興をアピールする。小天守は19年4月から完成までを復旧工事の公開期間とし、普段見られない熊本城を新たな観光資源として活用できるようにする。

 安全な天守閣として耐震ブレースや耐震壁による耐震補強工事で耐震性を向上。大天守最上部まで昇降可能なエレベーターを設けバリアフリーに配慮する。歴史や史跡への理解を深め、震災復興について共感・感動できるストーリー性のある展示を目指して展示計画を刷新し、復旧に関する現代の技術や技術者の思いも紹介する。

 施工に当たっては伝統工法を守りつつ最新の技術も導入し、工事計画の立案ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の3次元データを活用する。

 工程計画としては本年度でバリアフリー・躯体復旧・外装設計、耐震設計、石垣設計などを終え、内装・展示の実施設計と並行して17年度に工事着手。19年3月末に大天守の工事を完了し、大天守を公開しつつ小天守の工事を進め、20年10月末に小天守の工事を完了する。その後、付帯設備工事などを進め21年3月末に全体の工事を完了するとしている。事業費提案額の内訳は設計業務費3億0825万1000円、建設費63億3474万9000円。

 事業場所は中央区本丸。事業内容は熊本城天守閣復旧整備に関する基本設計(展示計画、防災計画などを含む)、実施設計(施工技術検討を含む)、工事(躯体復旧、耐震補強、外装、石垣、展示・内装、関連設備など)。

 対象施設はSRC一部RC、S造地下1階地上6階建て延べ3068平方メートル(うち大天守1759平方メートル、小天守1309平方メートル)。工事請負契約は設計の過程で価格交渉を行った上で締結する。プロポーザルには2者が参加を申し込み、同社だけが技術提案書を提出した。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/主要施設で耐震評価義務化に懸念浮上

不特定多数が利用するデパート・ホテル・病院や公共庁舎、トンネル・道路などの主要な施設52カ所が耐震性能評価を受けておらず、議論になっている。

 竣工後20年を超えた主要な施設に対して耐震性能評価を義務化したものの、違反した場合の過料が300万ウォンに過ぎないことから、実効性が低いとの指摘もある。

 国土交通部と韓国施設安全公団によれば、竣工後20年が過ぎた第1種施設(施設物安全管理特別法)であって定期的な精密安全診断の際に耐震性能評価を受けなければならない施設は、昨年3月末時点で179カ所に上るが、うち約30%の53カ所が耐震性能評価結果を施設安全公団に提出していない。

 竣工後20年以上経過した第1種施設に対する耐震性能評価義務化は、2014年7月14日の施設物安全管理特別法改正で新設された。施行後2年を経過したが、民間はもちろん、公共施設管理者でさえこの事実を知らない所が多いのが実情だ。

CNEWS 10月17日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)、積水化学工業がホーチミン市に雨水貯留池建設

 国内の洪水被害が深刻だ。最近2カ月間の降雨量が非常に多く、南部ホーチミン市の多くのエリアで大きな被害が報告されており、政府は対策を急いでいる。

 ホーチミン市人民委員会は19日、日本の積水化学工業が建設する地下雨水貯留池のパイロットプロジェクトを承認した。

 同社の独自技術「クロスウェーブ」は、高耐荷重設計のプラスチック製システムで、施工が容易で都市部の狭小地にも設置可能だ。

 建設費は同社が負担する。容量100m3の貯水池の工期は1週間。ホーチミン市はパイロットの結果で採用を判断する考えで、効果に期待を寄せている。

セイ・ズン 10月21日)

【お悔やみ申し上げます】写真家・村井修氏が死去、建築写真で数々の功績

 建築写真で優れた作品を数多く残し、日本建築学会文化賞も受賞した写真家の村井修(むらい・おさむ)氏が23日、急性心不全のため東京都内の病院で死去した。88歳だった。通夜は28日午後6時、告別式は29日午前11時から東京都中野区中央2の33の3の宝仙寺で。喪主は長男の眞哉(しんや)さん。

 1928年愛知県半田市に生まれ、50年に東京写真大学(現東京工芸大学)卒業後、建築、彫刻、都市の撮影を始め、以降フリーランスとして建築誌や美術誌などの撮影に従事した。2010年には、50年以上にわたって常にフリーな立場で建築と美術、街並みを撮り続け、建築界と社会に独自の芸術的視点で貢献してきた業績が高く評価され、建築学会文化賞が贈られた。

 主な著作に、『世界の広場と彫刻』(現代彫刻懇談会編、第37回毎日出版文化特別賞)、『石の記憶』(写真賞第6回東川賞)などがある。

 9月16日~10月16日には、出身地の半田市にある半田赤レンガ建物で、戦後70年にわたる村井氏の足跡をたどることができる写真展「めぐり逢ひ」を開催するなど、最近まで精力的に作品を発表していた。

【都市公園をより豊かに】都市緑地整備・保全に民間活用、17年通常国会に3法改正案

 ◇民間収益施設の・誘致・整備を後押し◇

 国土交通省は、都市部にある緑地空間の保全や整備に民間の資金やノウハウを積極活用する。

 来年の通常国会に「都市緑化3法」(都市公園法、都市緑地法、生産緑地法)の一括改正案を提出。地方自治体が管理する都市公園で民間事業者が収益施設と緑地や広場などを一体的に整備する制度を創設する。公園のような公開緑地を民間事業者に整備してもらう制度も設ける。

 都市公園法の改正では、全国に約10万カ所ある都市公園(総面積約12万ヘクタール)を対象に、民間の資金とノウハウを最大限に活用してカフェや売店などの収益施設の設置・管理を行う制度を導入する。17年度から「Park-PFI」事業と銘打って推進する。

 公園を管理する自治体が、収益施設を設置・管理する民間事業者を公募方式で選ぶ制度を創設。民間事業者が収益施設と併せて公園内の芝生や多目的広場の整備、植樹などを行うことを条件に、通常は最長10年とされている収益施設の設置期限を20~30年程度へと延ばす。整備費に国が無利子融資を行う新たな支援制度も設ける。

 都市緑地法の改正では、現行法で市町村主体で行うことが原則になっている公園のような公開緑地の整備に民間資金を導入する。市町村が民間主体の事業を認定する「市民公開緑地」制度を17年度に創設。新制度で公園緑地を整備する民間事業者に対し、国と自治体が財政・税制両面で手厚い支援措置を講じる。

 市民公開緑地は都市公園法の「街区公園」と同様の公園を想定。原則として居住地から250メートル圏内に配置し、1カ所当たり2500平方メートルの広さを確保する。

 生産緑地法の改正では、現行法で「生産緑地地区」に指定されている都市農地の保全対象範囲を17年度から拡大する。現在は生産緑地地区の一部を廃止して道路などの公共施設を建設する際、500平方メートル以下の小規模な農地は事実上廃止することが規定されているが、緑地保全と都市農業の振興を両立させるため、面積要件を撤廃または大幅に引き下げる。

 第4次社会資本整備重点計画(15~20年度)では、都市の緑地空間確保を重点施策に掲げている。「都市域における水と緑の公的空間確保量」を指標とし、20年度時点で1人当たり14・1平方メートル(12年度12・8平方メートル)とする目標を設定している。国交省は、民間の資金とノウハウを積極的に導入することで目標の達成を目指す。

2016年10月25日火曜日

【人材育成に利点】日本生産性本部の働き方調査、正社員主流も長時間労働に懸念

産業界労使や学識者で構成する日本生産性本部(茂木友三郎会長)がまとめた16年版「雇用・人事変容調査」結果によると、上場企業の人事労務担当者の多くが「働き方は今後も正社員が主流」としながら、転居を伴う異動や長時間労働が引き続き、対処するべき課題になると考えていることが分かった。

 多様で柔軟な働き方の実現策は「フレックスタイム制の採用」が最多で、回答企業の約半数が導入していた。一方、在宅勤務制や専門業務型裁量労働制、短時間正社員制度の導入率は低い。業績や成果、貢献度に比べて賃金水準が高いと思われる社員の年齢層は「50歳代」との回答が49・6%と約半数を占めた。

 この調査は全上場企業を対象に1997年から実施している。今回は2177社に調査票を郵送し、133社から回答を得た(回収率6・0%)。実施時期は7月下旬~8月下旬。

 企業から見た正社員の利点には「人材の柔軟な異動・配置が可能」「長期的な視点に立った育成ができる」などが挙がった。一方で回答者の60・9%が「転居を伴う転勤・異動があり生活基盤が安定しにくい」、33・8%が「残業や休日出勤など長時間労働になりがち」と問題点を指摘した。

 賃金制度の導入状況は仕事や職務の内容を反映する「役割・職務給」の導入率が高い。管理職層は74・4%、非管理職層では56・4%が採用している。多くの企業は役割・職務給と業務遂行能力を反映する「職能給」を併用。年齢・勤続給の導入率は漸減傾向にあり、管理職層は24・8%、非管理職層では49・6%となっている。

【昼下がりにちょっと一息】スポーツ参加市場は2・4兆円規模、マーケティング会社試算結果

国内のスポーツ市場規模は2・4兆円。前回調査に比べ4%余り縮小した
(写真はイメージ、本文とは関係ありません)
スポーツマーケティング業のマイクロミル(東京都港区)と、三菱UFJリサーチ&コンサルティングは2016年版「スポーツマーケティング基礎調査」の結果を公表した。15~69歳の男女各1000人を対象に、競技場やスタジアムでの観戦状況、スポーツ関連支出、応援しているプロチームなどを調査した。スポーツ用品の購入や施設利用料、観戦費用などから試算したスポーツ参加市場規模は2兆4125億円(2015年2兆5318億円)で、内訳は観戦市場4751億円(5903億円)、用品購入市場8518億円(7637億円)、施設利用・会費市場1兆0857億円(1兆1778億円)となった。

 過去1年間にスタジアムや競技場でスポーツを観戦した人の割合は18・7%。観戦者一人当たりの平均観戦回数は3・5回で、観戦1回当たりの支出額は8751円。年間支出額(2万9471万円、前年比9・1%減)の内訳はチケット代が1万1011円(前年比10・3%減)、交通費が6900円(11・5%減)、飲食費が6248円(6・0%減)、グッズ費が3101円(1・1%増)だった。

 最も好きなスポーツは野球(14・9%)、サッカー(10・8%)、テニス(5・8%)、ウォーキング(5・2%)、バレーボール(4・4%)の順。ファン人口の推計値はプロ野球が2747万人(前年比251万人減)、サッカー日本代表3017万人(205万人減)、サッカー女子日本代表1386万人(919万人減)。Jリーグのクラブを応援している推計人数は939万人(15万人増)だった。

 この調査は9月16~19日にインターネットを利用して実施。15~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳の年代別に200人から得られた回答を集計・分析した。男女比は1対1。今回で13回目の実施だった。

【回転窓】節度を持って楽しむ

先週末、買い物に出掛けたショッピングモールで、仮装した子どもたちをたくさん見かけた。どうやらモールの運営会社が主催するハロウィーン企画だったようで、魔女やお化けにふんした子どもたちが店舗を訪ねてお菓子をもらっていた▼秋の収穫を祝う古代ケルト人の祭りが起源とされるハロウィーン。日本への普及の歴史は比較的浅く、某テーマパークが2000年代初めに始めたイベントが火付け役との説が有力という。世間に認知されるようになるにつれ市場規模は年々拡大。経済波及効果は1000億円超との試算もある▼警視庁は大勢の人が集まると予想される今週末、混雑状況を見ながら東京・渋谷の一部道路で交通規制を実施する。人があふれて車両や一般の歩行者に影響が出ないよう、歩行者天国を設けてしまうという▼こうした措置を警視庁が取るのは今回が初めて。昔ならイベントを規制するのが初手だと思うが、これも時代の変化だろうか▼お祭り騒ぎの後はごみの放置や器物の破損などが問題になる。集まる人も集める人も楽しむのは結構だが、常識と節度が大事なのはいうまでもない。

【渋谷ストリームと渋谷キャスト】渋谷大規模開発の施設名称決まる

渋谷キャストの完成イメージ
(ⓒ 渋谷宮下町リアルティ)
東京急行電鉄は24日、東京・渋谷駅の近接地で建設を進めている二つの大規模開発プロジェクトの施設名称を発表した。駅南側の東横線の旧線路跡地を中心とした一帯(渋谷区渋谷3の21ほか)を開発する「渋谷駅南街区プロジェクト」は「渋谷ストリーム」、都営宮下町アパート跡地(渋谷1の23の2)を借り受けて開発する「渋谷宮下町計画」は「渋谷キャスト」にそれぞれ決定した。
渋谷ストリームの完成イメージ
(ⓒ 東京急行電鉄)
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【32kmを歩いて移動】日大土木工学科1年生が帰宅困難者体験

 日本大学理工学部土木工学科の1年生約60人が22日、千葉県船橋市の船橋校舎から東京都千代田区の駿河台校舎までの32キロの区間を歩いた。

 大地震が発生した際に帰宅困難者となったことを想定して行われたこのイベント。人の歩く能力を体験すると同時に、土木構造物を眺めながら都市の現状を把握することも狙いとして企画された。

 帰宅困難者体験は、個人の体力に合わせて三つのコース(32キロ、22キロ、10キロ)を設定。最長の32キロコースに9割以上の学生が参加し、午前9時に船橋校舎をスタートした。途中、西船近隣公園と新小岩公園の2カ所のチェックポイントを通過し、ゴールの駿河台校舎を目指した。最も早く到着した男子学生3人のグループは、午後1時55分に到着。5時間を切ってゴールした。

 今回の企画は、土木工学科に学ぶ1年生幹事が自ら主催。有志の土木工学科幹事会と女子の会が協力した。学生の指導や育成に熱心な日本構造エンジニアリング(テクノブリッジNKE)がスポンサーとなり、参加学生が身に付けたゼッケンにも同社の名称が明記された。

 午後4時前に3人グループで到着した利根川鉄生さん(20)はこのイベントの企画に参加した一人。「街の境界線を越えると雰囲気が変化することを実感することができた」と述べた。

 普段学校で学ぶ土木を実体験しようと初めて企画されたが、参加者一人一人が達成感を得られる貴重な機会にもなったようだった。

【記者手帖】当事者の視点の大切さ

先週金曜日に取材したある団体主催の表彰式で、「先ほど、鳥取で地震があり、ヒヤッとした」と始まった主催者代表のあいさつ。続きを聞くと、「ヒヤッ」にとどまって安堵(あんど)したのは、鳥取の被害状況ではなく、来賓として出席予定だった省庁の幹部らが無事に出席したことについてだった◆直前の地震発生で式典が無事開催できるか、主催者としては頭がいっぱいだったのだろう。被災地を軽視していたわけでもないだろう。それでも、地震の話に触れながら、現地の安否を気遣う言葉が先に出なかったことが気に掛かった◆その前日、ある企業で活躍する女性職員の合同インタビューの際、ある記者が「もっと女性が働きやすくなるために必要だと思うことは」と質問した。女性はその問いにしばらく沈黙した後、「自分は女性だからと意識したことはない。男性と女性を区別する必要はないんじゃないか」と答えた◆地震発生後のあいさつと女性技術者インタビュー。一見まったく関係のない出来事だが、共通するのは、どちらも当事者の視点が足りなかったこと。もちろん自戒を込めて。(ほ)

【完成予定は18年9月】花園ラグビー場増築・改修入札公告


改修後の完成イメージ㊤と現在の花園ラグビー場
 大阪府東大阪市は24日、花園ラグビー場整備に係る増築・改修工事等と、電気設備、機械設備工事の制限付き一般競争入札3件を公告した。各工事とも11月22日まで電子入札参加申請書や工事費内訳書、入札書を受け付け即日開札する。

 19年ラグビー・ワールドカップ日本大会の開催会場の一つ「花園ラグビー場」は、1929年に日本初のラグビー専用グラウンドとして開場。全国高等学校ラグビーフットボール大会や全国大学ラグビーフットボール選手権、ジャパンラグビートップリーグで使用されるなど、ラグビーを楽しむ人々の憧れの聖地として知られている。規模はSRC造5階建て延べ2万8444平方メートル。西日本のラグビー拠点としてふさわしい施設となるよう増築・改修などを行う。設計を梓設計が担当。

 公告内容は次の通り(▽件名=公告日〈1〉締切日〈2〉開札日〈3〉参加資格〈4〉工事場所〈5〉工事内容〈6〉工期〈7〉予定価格〈8〉他)

 ▽東大阪市花園ラグビー場整備工事=10月24日〈1〉11月22日〈2〉11月24日〈3〉単体、2~3者JV。単体とJV代表者は第1・第2希望の工事種目「建築一般」で登録し、市内業者は16年度総合点が1600点以上、準市内・市外業者は経審の総合評点が1600点以上であることなど〈4〉松原南1の40の1他〈5〉増築・改修・スタンド観覧席改修・外構・撤去工事一式〈6〉18年9月19日〈7〉38億3290万円〈8〉最低制限価格34億0748万7000円

 ▽東大阪市花園ラグビー場整備電気設備工事=10月24日〈1〉11月22日〈2〉11月24日〈3〉単体、2~3者JV。単体とJV代表者は第1希望の工事種目「電気一般」で登録し、市内業者は16年度総合点が1500点以上、準市内・市外業者は経審の総合評点が1500点以上であることなど〈4〉松原南1の40の1他〈5〉その1(ナイター照明・大型映像装置・スタジアム音響工事一式)、その2(増築・改修・外構・撤去・仮設大型映像装置工事一式)〈6〉18年9月19日〈7〉18億4990万円〈8〉最低制限価格16億5779万円

 ▽東大阪市花園ラグビー場整備機械設備工事=10月24日〈1〉11月22日〈2〉11月24日〈3〉単体、2~3者JV。単体とJV代表者は第1希望の工事種目「管」で登録し、市内業者は16年度総合点が1200点以上、準市内・市外業者は経審の総合評点が1200点以上であることなど〈4〉松原南1の40の1他〈5〉増築棟工事・改修・外構・撤去工事一式〈6〉18年9月19日〈7〉8億9613万円〈8〉最低制限価格8億0047万5000円。

【鹿島が9連覇】ゼネコン大手5社駅伝大会、皇居周回コースで開催

 ゼネコン大手5社(清水建設、鹿島、大林組、大成建設、竹中工務店)の有志が健脚を競う第38回「SKOTT駅伝大会」(SKOTTは各社の頭文字)が22日、東京の皇居周回コースで開かれ、鹿島のチーム「トルネードB」が優勝し、同社が9連覇を果たした。

 同一企業のチームによる9連覇は1977年に大会が始まって以来初。2位には同じ鹿島の「トルネード鹿島」が入り、鹿島が7年連続で1、2位を独占した。

 鹿島の優勝は今回で22回目。同社ランニング部の監督でトルネードBの第3走者を務めた京極剛選手はレース後、「今回はトルネード鹿島とトルネードBの両方で優勝を狙えるようにチームを編成した」と勝因を分析。「若手の奮起を促し、チームとしての底上げを図っていきたい」と早くも10連覇への意欲を見せた。

【日刊建設工業新聞からのお知らせ】11月から紙面刷新、12段組移行でより読みやすく

 日刊建設工業新聞社は読みやすい紙面づくりの一環として、11月1日付紙面から、現在の1ページ15段から12段組みに移行します。1行の文字数を11字から12字に増やすほか、文字、掲載写真などのサイズも大きくし、紙面をより見やすく、読みやすくします。同時に1面と最終面をコーポレートカラーを基調とするデザインに一新し、新たなシリーズ企画もスタートさせます。

 新企画「建設のススメ」36 最終面を使い、新シリーズ「建設のススメ」を始めます。建設産業で働く方々やこれからの建設産業を担っていく若者に向けた企画紙面です。

 建設現場の第一線で施工管理に取り組む技術者や「現場力」を支える職長などへのインタビューで構成する「現場を担う」、技能教育研修機関を取り上げる「技能教育リポート」、大学の研究室で実践されている工学教育の最前線を紹介する「研究室訪問」、建設関連企業が求めている人材にスポットを当てる「こちら人事部!」、建設分野で役立つ資格情報などのコンテンツを月2回(原則第1・3水曜日)に分けて掲載します。

 草柳俊二氏(高知工科大学名誉教授、東京都市大学客員教授)による「建設契約講座」も連載していきます。草柳氏は国際建設プロジェクトマネジメントが専門の研究者であり、この連載で「建設プロジェクトと契約管理」について論理と実践的手法の両面から分かりやすく解説してもらいます。 

 2018年10月に創刊90周年 36 他の通常面でも建設プロジェクト、建設業行政、入札契約制度、企業、団体、技術、人物などに関わる記事を充実させていきます。

 本紙は2018年10月に創刊90周年を迎えます。地球に優しく、人々が安全で安心して暮らせる環境の創造と維持に建設産業は不可欠です。国と地方の基盤づくり・維持、建設産業の健全な発展のため、本紙は「これからも読者と共に」をコンセプトにさまざまな情報を正確かつ迅速に発信していきます。

 11月からの新紙面にご期待いただくとともに、記事検索や各種資料がダウンロードできる「日刊建設工業新聞オンラインサービス」も引き続きご活用ください。

2016年10月24日月曜日

【超大型プロジェクトに照準】古河ロックドリル、新型ドリルジャンボ開発

 削孔機メーカー世界最大手の古河ロックドリル(東京都中央区、三村清仁社長)は、新型ドリルジャンボ「JTH3200R-VH」シリーズを開発した。

 高出力の油圧ドリフターを搭載し、従来機比で最大出力を25%向上させたのが特徴。打撃数の向上につながり、穿孔速度も上がるため、山岳トンネル工事の工期短縮を実現する。

 リニア中央新幹線に加え、延伸計画のある北陸新幹線や北海道新幹線など、大規模な岩盤掘削を要する工事向けとして、ゼネコン各社に積極的にアピールしていく。

 打撃出力25キロワット(電動モーター75キロワット)の「HD250型」高性能油圧ドリフターを装備した。打撃力を維持したまま打撃数を増やす新ピストン作動機構にしたことで、作業効率の改善を実現。さらに、穿孔状況の変化を自動的に検出して制御するデュアルダンパー機構を採用した。エネルギー伝達効率を高めたくさび形ピストン形状にしたことで、岩質の影響を受けずに穿孔性能を発揮する。

 最新の油圧制御システム「FIDS PLUS」の搭載により、作業効率の改善も図った。実際の工事では、超硬質から軟弱までさまざまな岩質が存在する。FIDS PLUSは、岩質の変化に合わせて打撃圧や回転圧、フィード圧をバランス良く制御できるため、余分なエネルギーを使うことがなく、ビットなどの消耗を抑える。

 エンジンには、先進の環境配慮技術である「尿素SCRシステム」を搭載。排ガス中の粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)とも1%以下に低減した。

 JTH3200R-VHは、油圧ドリフターを搭載するブームが3本、作業台(ケージ)を搭載するブームが2本の油圧ホイールジャンボ。価格は2億8500万円(税込み)。北陸新幹線(金沢~敦賀間)や北海道新幹線(函館~札幌間)の山岳トンネル工事での導入を想定。リニア中央新幹線など超大断面向けのロングブームを搭載した「JTH3200R-VH PLUS」や、一般道路トンネル向けの「JTH2200R-VH」も同時展開する。

 同社は20日、群馬県高崎市にある吉井工場でJTH3200R-VHの実機を報道関係者に公開し、穿孔作業のデモンストレーションを行った。新型機と従来機で同じ花こう岩を2メートル穿孔し、作業が新型機の方が30%以上速いことなどを説明した。

【輝く!けんせつ小町】戸田建設名古屋支店・浅野奈美さん

 ◇疑問を感じながら仕事する◇

 岐阜高専建築学科を今年3月に卒業したばかりの入社1年目。高専で建築学を専攻した理由は「なんとなく」だったが、建築の勉強をするうちに、ものづくりの魅力にとりつかれた。「特に神社・仏閣などの歴史的建造物に興味を持ちました。建造物が何世代も残るというのは素晴らしいことです。卒業研究も三重塔をテーマに選びました」。

 就職活動では現場で働きたいと思い、建設会社やハウスメーカーなどを訪問した。そのきっかけとなったのは学生向けの建設工事現場見学会。「現場で働く人たちの姿を見て、格好いいと感じました。建築の仕事をするのなら、現場で直接ものづくりをしたいと思いました」。

 入社後、2週間の新入社員研修を受け、4月下旬には現在従事している桑名市総合医療センター建築工事(三重県桑名市)の作業所に配属された。配属当初、「何も分からず、会議で飛び交う言葉の意味がほとんど理解できませんでした」と戸惑う日々が続いたが、今は仕事にも少しずつ慣れてきた。

 「上司や先輩に丁寧に指導してもらっています。職人さんも穏やかな人が多く、優しく接していただき、皆さんに感謝しています。この現場は週休2日なので、すごく恵まれた環境の中で仕事をさせてもらっています」。先月からコンクリート担当を正式に任された。「先輩に付いて数量拾いや手配、立ち会いなどしていたのですが、これからは一人です。皆さんに迷惑を掛けないよう、ミスのない仕事をするのが当面の目標です」。

 現場に出る際に心掛けていることが二つある。一つは「笑顔であいさつする」こと。もう一つは「疑問を持つ」こと。「仕事上で分からないことがたくさんあります。いつも疑問を持ち、分からないことはそのままにせずに自分で調べるか、誰かに聞くようにしています」。その積み重ねがスキルアップにつながると分かっているようだ。

 高専時代は短距離の陸上選手で、中部地区でトップクラスの成績を残した。「練習は辛かったですが、その時の経験が自分の考え方の基礎になっている気がします」。何でも前向きに取り組む姿勢は、アスリート精神から育まれているのだろう。

 (あさの・なみ、桑名市総合医療センター建築工事建築係員)

【今回は高松で】吉本女性芸人、職人育成塾に体験入塾

職人養成塾を訪れた大西市長(右端)ら
今月、高松市の旧塩江小学校の施設を利用して開校した職人育成塾(岡村真史代表理事)に20日、吉本興業グループ所属の女性芸人とタレントが体験入塾し、塾生と一緒に内装ボードの切り出し作業などを体験した。建設業での女性の活躍を応援する国土交通省と同グループのコラボレーション企画「建設業女性活躍キャンペーン」の一環。

 職人育成塾は、内装施工に特化して職人を育てるのが特色。内装業は、繊細さが求められる職種でもあることから多くの女性の入塾が期待されている。

 この日、塾を訪れたのは、お笑いコンビ「尼神インター」の誠子さんと渚さん、タレントの山田菜々さん。3人は、大西秀人高松市長に塾に来てみての感想や建設業の担い手不足の状況などを聞いた。大西市長は「建設業は人手が不足しており、特に手に職を持った人材が求められている。この塾で十分に学んでほしい」と答えた。

 この後3人は、塾生と一緒に講師の指導を受けながら、図面通りに内装ボードを切り出す作業などを体験した。

【施工は鹿島JV】リニア南アルプストンネル、長野工区は11月1日起工

JR東海は、リニア中央新幹線の建設プロジェクトで、南アルプストンネルの長野工区(長野県大鹿村、施工延長約8・4キロ)の安全祈願・起工式を11月1日に行うと発表した。

 リニア関連の本体工事で安全祈願・起工式を行うのは、同トンネルの山梨工区、東京側のターミナル駅の品川駅に続いて3都県目となる。

 長野工区の施工者は鹿島・飛島建設・フジタJV。最大土かぶり1400メートルは、標高3000メートル級の山岳地帯を貫く同トンネルの全工区で最大となる。工期は2026年11月30日まで。

 21日に地元の大鹿村などの同意を得られたことから工事着手を決めた。式典は大鹿村内で行われ、同社の山田佳臣会長、柘植康英社長のほか、来賓として阿部守一長野県知事や地元関係者らが出席する。

【回転窓】宴の後にかみしめたい言葉

今年のノーベル文学賞の授与が決まった米ミュージシャンのボブ・ディランが沈黙を続け、事務局も本人への直接の連絡を断念したと先週、外電が伝えていた▼ここ数年、日本人の連続受賞もあって、ノーベル賞をめぐるメディアの騒ぎは、日本ではこの季節の風物詩のようになっているが、海外ではどうなのだろう。ようやく収まった一連の報道の中でとりわけ印象深かったのが、2000年に化学賞を受賞した白川英樹筑波大名誉教授の発言だ▼「騒ぎ過ぎだと思う。特別扱いしないでほしい」と苦言を呈し、「選ばれない分野にも重要な研究はたくさんある」と強調したという(15日時事)。確かに、受賞者の家族から同級生、幼なじみまで引っ張り出しての報道合戦にはいつも閉口させられる▼白川さんの言う通り、派手な光が当たらなくても重要な研究はどの分野にも多かろう。今年の医学生理学賞が授与される大隅良典東京工業大栄誉教授は、記者会見などで地道な基礎研究の大切さを訴え、すぐ役立つ成果ばかりを求める風潮を繰り返し批判していた▼どちらも宴(うたげ)の後に忘れずかみしめたい言葉である。

【凜】長谷工リフォーム東京支社・松橋あゆみさん


 ◇「諦めたくない」と再び現場へ◇


 前職の建設会社で新築工事の現場などを約6年間経験した後、長谷工リフォームに入社した。

 入社2年目ながら、その経験や実績を買われ、現場責任者である作業所長を任されるほど会社からの信頼は厚い。リフォームは新築と異なり、居住者がいる状態で工事を進めることも少なくない。それだけに神経をすり減らすことも多いが、「ものづくりは楽しい」とやりがいを話す。

 作業所長として気を付けているのが「判断のスピード」。例えば、降水確率が高い日に外部足場の組み立てや解体を行う場合には危険度が増すため「迅速な判断が必要になる」。工事中は居住者への最大限の配慮が必要で「現場の常識を世間の常識と思い込まず、住民の方々に迷惑を掛けないよう心掛けている」という。

 建設業の仕事に興味を持ったのは小学生のころ。家族が持ち家を買ったことで帰れる場所ができたことをきっかけに「家の重要性に気付いた」。それからは、大学を卒業するまで脇目もふらず建設業への就職を目指した。

 前職では仕事のつらさを理由に一度は現場を離れたが、「諦めたくない」という思いで再び現場で働く決意をした。今の目標は「ずっと仕事をやり続けること」。

 疲れた時は趣味のウクレレで心を癒す。目標は「人を集めて演奏すること」。仕事もプライベートも充実している。

 (工事2部工事1課作業所所長、まつはし・あゆみ)

【中堅世代】それぞれの建設業・149

一般公開を始めた国管理施設は多くの観光客でにぎわっている
◇好きな仕事ができる喜びかみしめて◇

 政府が取り組む成長戦略の看板政策の一つ「観光立国」。東京五輪が開かれる2020年までに訪日外国人旅行客(インバウンド)を現在の倍となる年間4000万人に増やす目標が掲げられ、交通インフラの機能強化や多言語対応サービスの充実といったハード、ソフト両面の政策が活発化している。

 東京・霞が関の中央官庁で働く三浦豊さん(仮名)も今、観光政策に関連する戦略作りやさまざまな施策の企画・立案を担当。それまでの約15年の公務員生活では経験したことのない強力な追い風を受けながら充実した日々を過ごしている。

 公務員になった当初は、大学で専攻した都市計画の知識を生かし、都市の将来像を描くような仕事を担当するのが目標だった。きっとそうなれるとも思っていた。だが、現実は違った。

 任された仕事は、市街地再開発事業や土地区画整理事業などの制度設計が中心。理想とする都市づくりよりも、関係者間のスムーズな合意形成といった部分に知恵を絞ることがほとんどだった。「都市づくりで合意形成に配慮しなければならないのは当然だが、自分なりの理想ばかりを描いていた若いころは、そんな現実をなかなか受け入れられなかった」と振り返る。

 理想と現実のはざまで悩む日々がしばらく続いていた時に、観光政策担当への配置転換という転機が訪れた。大学で知識を学び、理想として描いた分野とは必ずしも同じではないが、新たな仕事はそれまでの葛藤を一掃してくれた。

 前向きな気持ちに転換できた最大の理由は、一番の趣味が海外旅行だったこと。上司から次々と求められる施策の企画・立案は、以前の仕事では強いストレスと感じていたが、海外の各地で外国人旅行客の立場で経験したことや感じたことを直接反映できるため、苦にならない。

 例えば、数年前にフランスを旅行した際に見学したベルサイユ宮殿にはさまざまな国から多くの観光客が訪れていた。本来なら国内外の要人だけが利用できる国の管理施設にも大きな観光需要があることを実感。日本でもこれをヒントに今年、外国の賓客を接遇する迎賓館(東京、京都)など多くの国管理施設の一般開放が始まった。観光客でにぎわうこうした施設を見て「自分の最も好きなことを仕事に直結できるのが、こんなに幸せなことだとは思わなかった」という。

 今、個人的な思いから可能性を模索している企画がある。観光政策と、政府が本格着手した「稼げる」スポーツ施設づくりを柱とするスタジアム・アリーナ改革とのコラボレーションだ。神奈川県出身で地元のプロ野球横浜DeNAベイスターズの大ファン。海外旅行先では、必ず現地のプロスポーツの試合を観戦する。そんな経験から温めている企画だ。

 ただ、気掛かりなのが次の配置換え。霞が関の官庁では、一つの職務に継続して就く期間は平均2~3年だ。「今」を大切に、自身の知恵と情熱を全力で注ぐ決意を固めている。

【サークル】日本コムシス・コムシス関西MRC


 ◇ランニングの輪をさらに広げたい◇

 1989年に発足した。クラブ名に付けられている「MRC」は、MOON・RUN・Clubの略で「月に駆ける エンドレス・ラン」という意味が込められているという。

 発足時は有志によるランニングクラブだったが、現在は会社公認のクラブ活動になっている。当初は10人程度だった部員数も、現在はコムシスグループの社員・OBを中心に20人程度にまで増えた。

 活動のモットーは「夢、老いることなく」。代表を務める重吉邦博さん(中国支店担当課長)は「生涯現役で活動したいという思いを込めている」と話す。

 大阪城公園での合同練習会を毎月開催するほか、各種マラソン大会に参加。宿泊付きのレクリエーションやバーベキューなども毎年行っており、和気あいあいと活動している、

 これからの活動について重吉さんは「さまざまな地域で開かれる大会へ参加することに加え、過去3回の出場経験があるホノルルマラソンなど海外ツアーへの参加も検討している」と話す。「勧誘ポスターなどを掲示して部員を募り、メンバーの輪を広げ、自ら大会を主催するなどもっと幅を広げていきたい」とも。

【駆け出しの頃】ナカノフドー建設執行役員東北支社長・赤坂頼義氏

 ◇努力と心配りで時を待つ◇

 人生を舵(かじ)取りしてくれた言葉が二つあります。最初の言葉は高校2年生の時。サッカークラブでゴールキーパーだった私は手首を骨折し、二度と運動はできないと診断されたことがありました。がくぜんとする私を「まだ1年ある。手を動かす努力をせよ、また時が過ぎるから」と励ましてくれたのがクラブの部長でした。そのおかげでクラブにマネジャーとしてとどまり、リハビリを続けて回復することができました。

 就職の助言をしてくれたのもこの方でした。全国を渡り歩く橋梁とびで、私に跡を継がせたかった父を「立派な現場監督になる」と説得し、中野組(当時)への就職も薦めてくれたのです。社員教育をモットーにした会社であるというのが理由でした。

 入社して1年は本社の現場で過ごします。その後に東北勤務となり、会津から八戸まで各地の作業所を回りました。会津の水力発電所管理棟建設では、作業所まで電気が通っていなかったため、一日の勤務を終えると午後8時にはもう消灯でした。飯坂温泉(福島)の現場では宿舎が置き屋さんで、工程の打ち合わせと言いながら職人さんが毎日来ては宴会を始めてしまいます。これには困りましたが、職人さんからは、事前に代表を決めておき、工程内での納め方を話し合うという打ち合わせの仕方を教えられ、予定工期より早く落成を見ることができました。

 それでもここまでの現場は学ぶことに夢中で、知識と技術を身に付けながらも、肝心なところに気付いていなかったと思います。それが、宮城県塩釜市での郵便局地下工事で聞かされた二つ目の言葉につながります。

 初めて外周部の山留め工法にSMWを採用し、山留め支保工にはアイランドカット工法を用いた工事でチーフを担当しました。この施工中にアイランドの土の残量が気掛かりでならないでいると、上司から「心配と書いて『心を配る』」と言われました。心配、心配と口ずさみながら毎日現場を見て歩けという教えです。私の技術屋暮らしに本当の意味で魂が宿った瞬間でした。

 こうした経験は八戸営業所で最後の現場を担当した時にも生かせました。施主からの「うちと比べて工事が進んでいるよそより早く竣工させてほしい」という要望に応えるため、協力業者と知恵を絞っていろいろと工夫し、結果を残せました。これが後に営業所が北東北支店に昇格するきっかけとなります。

 建設の仕事は楽しく、人間関係の表れる場でもあります。まさに和をもって仕事をすることが大切です。努力を重ね、心を配り、時を待つことで、チャンスは誰にも訪れます。

 (あかさか・よりちか)1973年青森工業高校建築科卒、中野組(現ナカノフドー建設)入社。東北支店八戸営業所長、東北支社副支社長、東京本店北海道支店長、東北支社長を経て15年4月から現職。青森県出身、61歳。
現場では「和を持って仕事をする」大切さを学んだ
(右側が本人)