◇疑問を感じながら仕事する◇
岐阜高専建築学科を今年3月に卒業したばかりの入社1年目。高専で建築学を専攻した理由は「なんとなく」だったが、建築の勉強をするうちに、ものづくりの魅力にとりつかれた。「特に神社・仏閣などの歴史的建造物に興味を持ちました。建造物が何世代も残るというのは素晴らしいことです。卒業研究も三重塔をテーマに選びました」。
就職活動では現場で働きたいと思い、建設会社やハウスメーカーなどを訪問した。そのきっかけとなったのは学生向けの建設工事現場見学会。「現場で働く人たちの姿を見て、格好いいと感じました。建築の仕事をするのなら、現場で直接ものづくりをしたいと思いました」。
入社後、2週間の新入社員研修を受け、4月下旬には現在従事している桑名市総合医療センター建築工事(三重県桑名市)の作業所に配属された。配属当初、「何も分からず、会議で飛び交う言葉の意味がほとんど理解できませんでした」と戸惑う日々が続いたが、今は仕事にも少しずつ慣れてきた。
「上司や先輩に丁寧に指導してもらっています。職人さんも穏やかな人が多く、優しく接していただき、皆さんに感謝しています。この現場は週休2日なので、すごく恵まれた環境の中で仕事をさせてもらっています」。先月からコンクリート担当を正式に任された。「先輩に付いて数量拾いや手配、立ち会いなどしていたのですが、これからは一人です。皆さんに迷惑を掛けないよう、ミスのない仕事をするのが当面の目標です」。
現場に出る際に心掛けていることが二つある。一つは「笑顔であいさつする」こと。もう一つは「疑問を持つ」こと。「仕事上で分からないことがたくさんあります。いつも疑問を持ち、分からないことはそのままにせずに自分で調べるか、誰かに聞くようにしています」。その積み重ねがスキルアップにつながると分かっているようだ。
高専時代は短距離の陸上選手で、中部地区でトップクラスの成績を残した。「練習は辛かったですが、その時の経験が自分の考え方の基礎になっている気がします」。何でも前向きに取り組む姿勢は、アスリート精神から育まれているのだろう。
(あさの・なみ、桑名市総合医療センター建築工事建築係員)
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