◇ベイスターズの本拠地移転がカギ◇
横浜市の都心臨海部にドーム球場の建設を目指す「横浜ドームを実現する会」(会長・池田典義アイネット会長、横浜商工会議所副会頭)が、国際都市・横浜の新たなシンボルにふさわしいドーム球場の建設実現に向けた活動を展開している。
会には現在、400を超す企業や経済人らが名を連ねる。建設候補地はみなとみらい21(MM21)地区(西区)と山下ふ頭地区(中区)を想定。野球をはじめとするスポーツ、エンターテインメントなど多様なイベントが開催できる施設を提案している。
横浜を訪れる観光客らに地元での消費を促すのが目的。野球以外にコンサートなどのイベントを充実させて集客を図る。実現する会事務局の高宮靖幹事は「横浜に来ても夜には東京に帰ってしまう観光客が多い。横浜で宿泊し、横浜で消費してもらうための核施設にしたい」と説明する。
国内の大都市でドームがないのは横浜だけ。「5大ドーム(東京、ナゴヤ、大阪、福岡、札幌)に対抗できる横浜らしい魅力ある施設整備が可能だ。ドームは天候に左右されずにイベントが開催できる。プロ野球の主催試合は年間70試合ほど。多目的にすることで稼働日数が大幅に増える」と強調する。
とはいえ、横浜には既に横浜スタジアム(中区横浜公園、約3万席)がありプロ野球横浜DeNAベイスターズが本拠地として使用している。ドーム実現にはベイスターズの本拠地移転が大前提となる。横浜スタジアムも大規模改修に着手するなど施設更新を進めており、当面はベイスターズの移転は難しそうだが、「長期的な視点で実現に向けた働き掛けを続ける」考えだ。
同会は横浜市が昨年8月に公募した「みなとみらい21中央地区60・61・62街区」の開発事業者に応募。延べ約17万平方メートル、客席数4万席のドーム構想を提案したが選ばれなかった経緯がある。応募の準備段階ではベイスターズ関係者を招いた勉強会を開催するなど、意見交換も行っている。「今季のベイスターズは、初のクライマックスシリーズ進出を決め盛り上がっている。集客も年々増加している。より大きな施設への移転には魅力を感じているはず」と高宮氏は手応えを示す。
同じくドーム建設を待望する横浜商議所は2月に、ドーム建設が実現した場合の経済波及効果などの試算結果を公表している。それによると建設関係費が600億円。建設に伴う経済波及効果は918億円、雇用創出効果は6246人で合計1464億円の効果が期待できると試算。さらに、ドーム稼働後の経済波及効果は毎年546億円、雇用創出効果は5765人と算定している。
商議所の上野孝会頭は9月の定例記者会見で、ドーム構想について「将来的な横浜経済の起爆剤となる」と言及しており、商議所としても実現に向けた取り組みを進める考えを明らかにした。商議所内に「(仮称)横浜ドーム建設推進協議会」の設立も検討するなど、横浜の経済界を挙げた実現への機運は高まっている。
整備主体など課題は山積しているが、ナゴヤドームのように地元経済界が一丸となって出資・運営するなど、実現に向けた方策を探っている。
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